ガス供給事業者が採算割れ

今回の決定が関係国に与える影響もこれまでと同様ではない。以前は、OPECによる減産は、供給サイドであるOPECから、欧米・日本など需要サイドへの影響が主であった。その意味では今回の原油安は、多くの原油需要国経済にとってのプラス材料だ。

しかし、今回の原油安と減産可否の影響はそれだけに留まらない。まず今回の増産は先に述べたように、世界のエネルギー市場における“石油”対“シェールガス”の覇権争いという側面を持っている。シェールガスは原油が1バレル=60ドル以上となって初めて採算が取れるといわれており、もし現在の1バレル=65.84ドル(2014/12/5 終値)という原油価格水準が今後さらに低下に向かうと、その影響で多くのシェールガス供給事業者に採算割れの可能性が出てくるといわれている。

これまで、産油国とアメリカとは原油の供給をつうじた蜜月関係にあり、産油国はアメリカに安定的に石油を供給することと引き換えに、自国の独裁的政治体制への協力を得てきた。しかし、このまま原油安が続けばシェールガス供給サイドとして大きな打撃をうけることになり、中長期的なエネルギーの安定的確保上大きな問題となる。そのため産油国とアメリカとの協力関係は今後、大きな変化を迫られることになるだろう。


サウジアラビアの思惑

また、原油供給者であるOPECの参加国間であっても必ずしも利害は一致していない。現在のような原油安の局面においては、以前はサウジアラビアが率先して減算に動き、原油価格の値下がりを止めるのが一般的だった。

しかし、今回様子が異なるのは、サウジアラビアがむしろ増産により原油価格低下を誘導している傾向が見られることだ。これは、もちろん前述したようなシェールガスに対する牽制のためであるが、この原油価格低下は、シェールガス供給サイドだけでなく、原油供給サイドにも利益低下をもたらす「諸刃の剣」であり、OPEC参加国においても、サウジアラビアなどの大国と、財務的に脆弱な中小国での立場の違いが目立ち始めている。

例えば南米エクアドルは、今回のOPEC会議における「減産の実施」に期待する声明を発表していた。今後、本点での参加国間の温度差が明確になり意見の違いが表面化することになれば、世界のエネルギー市場におけるOPECの影響力低下につながる可能性もある。