プーチンの狙いは米国のエネルギー系ジャンク債バブルの崩壊?

当初原油の下落でドルは上昇し、NY市場の株価も順調に上昇したが、このエネルギー系のハイイールドボンドの大幅下落以来状況は急変し、デフォルト危機までも叫ばれる事態へと様相は変化しつつある。JPモルガンチェースのエネルギーアナリストであるタレク・ハミド氏はブルームバーグの取材に対し、今後3年間1バレル当たり65ドル以下の水準にとどまった場合、エネルギー関連のジャンク債の最大40%が向こう数年でデフォルトに陥るとの予測をしている。

シェールガス事業を行っている企業は零細事業者が多くハイイールド債の18%近くはこうした事業者が発行していることから、本格的なデフォルトが起きれば第二のサブプライムイシューのような事態も予想され始めているのだ。むしろプーチン大統領は国家的破綻リスクを負いながらこのバブル崩壊を目論んでいるのではないかとの憶測も流れている状況である。


2015年の具体的原油価格見通し

米国のEIA・エネルギー情報局は2015年の原油価格見通しとしてWTIで62.75ドルと予想しており、サウジアラビアはより楽観的な80ドル程度を想定といった報道も伝わってきている。またJPモルガンチェースは2015年の原油価格見通しを82ドルとしており、一旦は80ドル以上にまで回復すると見ている関係筋が多いことを示唆している。

しかしクリスマス休暇前にUAEのマズルーイエネルギー相が市場のコンセンサスは40ドルまで下がるであろうと発言したことから年明けにこのレベルを試しにいく動きが出ることも予想されており、さらにロイターによると12月22日サウジアラビアのヌアイミ石油鉱物資源相が原油価格は1バレル20ドルとなっても減産は利益にならないと発言したことからヘッジファンドなどの売り浴びせで、より下の価格を試す可能性も俄かに高まっている。


すでに原油価格はOPEC主導ではなく需給で決まる時代に

2014年前半までは確かにOPECが1バレル100ドル水準の維持に努め、価格をコントロールする立場にあったが、すでにOPECが需給調整の機能を発揮し続けるのは困難というのがこの組織の総意となっていることは間違いなく、原油相場は需給バランスで価格を大きく変化させていく市場へとシフトしていくことになりそうな状況である。したがって現状の供給過剰が続けば慢性的に60ドル以下の価格が定着することも十分に想定される。

しかしこうした価格が定着した場合経済へのプラスの要素と別に、前述のように米国のジャンク債市場にその影響が波及することにより、金融市場全体が混乱することが危惧されはじめているのだ。この動き次第ではFRBの利上げ時期にも大きな影響を及ぼしかねず、破綻規模が広がればサブプライム並みの混乱も予想されるため、今後の動きが大きく注目されるところである。

(ZUU online)

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