株と債券はなぜ相性がいいのか

不況になると株価が下落します。一方債券価格はというと、資金需要の減退と、中央銀行の金融緩和政策により利回りは低下するでしょう。 過去の高利回り債券は、いわゆる"お宝債券"となり市場で高値で売却することが可能となります。つまり不況では債券価格は上昇することになります。このように株価と債券価格は逆に動くことが多くなります。リスク分散は値動きが相反する商品の組み合わせほど効果的となります。この意味で株式と債券は良い組み合わせと言えるでしょう。

ちなみに、筆者がこの期間計算した日経平均と長期国債価格の変動率の相関係数は-0.62となりました。相関係数とは2つの商品の値動きの相関割合を示した数値です。

-1から+1までの数値で表し、+1に近いほど値動きの傾向は同一となり、-1に近いほど逆の動きをします。相関係数が-1の商品を組み合わせると、リスクをゼロとすることも可能です。設例の期間では、株式3%、国債97%の場合リスクが最小となります。国債に全額投資するよりもリスクが低くなる、このことに注目してください。


債権はあくまで高格付け

今回のケースはあくまでも2004年末から2013年末までに限定したものです。特に2013年のアベノミクスによる異次元の金融緩和は株高と債券高、本来両立しない現象を引き起こしました。この時点を除くと株と国債の相関係数はさらに小さく(マイナス値が大きく)なるかとも思われます。いずれにしてもリスク分散として、株式と債券の組み合わせは良い組み合わせと言えるでしょう。

ただし債券はあくまでも高格付け債券の場合です。低格付け債券の場合は値動きが、市場金利よりも発行体の信用状況に応じて決まります。株式と似たような動きをすることも考えられ、リスク分散効果は小さくなると思います。

有田宏(ありた・ひろし)
CFP、FP技能士(1級)、証券外務員2種(日本証券業協会)。NPO法人北海道未来ネット/専務理事 会社URL http://www.21mirai.net/

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