アジア新興経済レビュー
(写真=PIXTA)

◆実体経済

生産面の伸び率(前年同月比)の動きを見ると、足元で国内需要または輸出の緩やかな回復が進む韓国・マレーシア・フィリピン・インドでは持ち直しの動きが見られる一方、台湾・タイ・インドネシアのように回復が遅れる国・地域もある。

フィリピンは主力の電気機械の好調や輸送用機器のプラス転化によって2ヵ月連続のプラスとなった一方、台湾はアジア向け輸出の不振で主力の電子部品や機械設備のマイナス幅が拡大し、6ヵ月連続のマイナスを記録した。

◆消費者物価上昇率

10月の消費者物価上昇率(前年同月比)は、昨年後半から続く資源価格下落による下押し圧力は後退し始めており、総じて底打ちの動きが見られる。インドは祭事期に伴う消費需要の増加や昨年高騰していた食料品価格のベース効果の剥落、またモンスーン期(6-9月)の雨不足による一部食料品価格の高騰により2ヵ月連続で上昇した。

◆金融政策

11月は、韓国・インドネシアの中央銀行で金融政策会合が開かれたが、それぞれ政策金利は据え置かれた。なお、インドネシアでは預金準備率の0.5%引下げが決まった。

◆11月の注目ニュース

-マレーシア・タイ・インドネシア・フィリピン・インド:7-9月期GDPを公表
-タイ :クラスター型投資奨励政策を発表(23日)
-インド :ビハール州選挙で与党連合敗北(8日)

◆12月の主要指標

12月は、韓国・台湾・タイ・インドネシア・フィリピン・インドの中央銀行で金融政策会合が開かれる。各国・地域ともにインフレ率が低く、利下げ余地を残しているが、15~16日に開かれる米FOMC(連邦公開市場委員会)で利上げが決まれば金融市場が混乱する可能性があることから、各中央銀行は過度な通貨安を引き起こす恐れのある金融緩和には踏み切りにくい状況にあると言える。