香港、台北、東京を始めとするアジア圏でも盛り上がりを見せているFinTech(フィンテック)。なかでも「世界で最もビジネスのしやすい国」として知られるシンガポールは、国の総力をあげてビジネス改革を実施している。


シンガポール全体を「ビジネス研究所」に

シンガポールが目指しているのは企業や都市単位の発展ではなく、国全体を「ビジネス研究所」に創り変えるすることだという。過去10年間で政府が国内企業の発展に費やした資金は220億ドル(約2兆 7125億円)と、その意気込みが伺われる。

こうした寛大な援助があって初めて、企業や研究者、学術者などが一丸となって、新商品やサービスの開発や調査に打ち込めるというわけだ。

世界中の投資家がアジア諸国のベンチャー企業をこぞって支援し、その投資額は今年だけで既に284億ドル(約3兆5015億円)に達しているというのも納得だ。


英スタートアップ企業の3分の1以上がグローバル化に積極的

そんなシンガポールがグローバルなパートナーシップ先として意識しているのは、FinTechの最先端を行く英国のスタートアップ企業だ。

シンガポール情報通信開発庁(IDA)は、スタートアップが直面しやすい問題や海外事業の可能性や発展について理解を深める目的で、英国のスタートアップに関する調査を実施した。

対象となったのは設立5年以内の成長段階にある英企業で、金融からヘルスケアまで多様多種なビジネス分野に取り組んでいる。

これらの企業はスタートアップが成長するうえで最も重要な要素として、「需要に見合った商品開発(54%)」「信頼できる公共インフラへのアクセス(48%)」「供給業者の確保(44%)」と見なしており、立ち上げにともない平均110万ポンド(約2億459万円)の資金調達に成功しているが、今後1年間の資金としてさらに65万ポンド(約1億2089万円)を調達する必要があると回答している。

既に15%が海外事業に乗り出しており、17%が「今後視野に入れている」、19%が「将来的に検討する」という姿勢を示している結果から、英スタートアップもグローバルな成長を目指していることが分かる。


レオナルド会長「英、シンガポールのスタートアップ提携に期待」

IDAのスティーブ・レオナルド会長は、シンガポール、英国ともに人口増加や高齢化社会にともなう問題が生じており、「共通の突破口を見つける糸口としても、提携関係を結ぶ価値が大いにある」とし、両国のスタートアップが自然に協力しあい、ともにグローバルな成長を遂げる可能性に期待しているという。

政府のサポート、急成長中のスタートアップ・コミュニティー、既に確立された大企業、リスク資本など、「シンガポールには新しいビジネスを立ち上げ、成長させる全ての材料が揃っている」。

シンガポールの「FinTech熱」に共感している英国のスタートアップも多数あり、今後どのような形で両国間の提携関係が結ばれていくのか、大いに楽しみである。(ZUU online 編集部)

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