多くの企業が倒産し、世界中がリセッションに陥った2008年9月のリーマンショック。その中で1兆円以上稼いだのが、ヘッジファンド「ポールソン&カンパニー」を率いていたジョン・ポールソンです。彼の投資手法は、トレンドやムードに流されない「逆張りスピリッツ」の大切さを教えてくれます。
逆張りで得た利益は150億ドル
リーマンショック前の2005年当時、アメリカ経済は絶好調で金融市場も低金利が続き、バブル景気に浮かれていました。そんな中でポールソンは、逆張りの機会を密かにうかがっていたのです。彼が探し求めたのは、景気が少しでも悪くなれば真っ先に破綻するもの、そして目をつけたのがサブプライムローン(低所得者向け住宅ローン)です。
当時アメリカ人は、「住宅価格は上がり続けるもの」と思い込んでいました。だからこそ、本来は返済能力の乏しい層にまでローンを提供していたのです。やがて住宅の価格上昇が止まると同時にこのロジックは破綻、サブプライムローンを組み込んだ債券CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)を買い込んでいた銀行・保険会社は次々と苦境に追い込まれます。
一方で、CDSを空売り(手元にない株式を信用取引などで借りて売ること)していたポールソン&カンパニーは、150億ドルもの利益を手にしたのです。
連戦連勝とは限らない
リーマンショックの逆張りで大儲けしたポールソンですが、その後は鳴りを潜めます。ピーク時には380億ドルに達した運用総資産も、その後は投資の失敗などもあり90億ドルまで減少しました。多くの投資家が去り、残ったのはポールソン自身の自己資産です。2018年には連邦・州税10億ドルの支払い命令を受けています。
そんな彼は最近、一発逆転をかけて高レバレッジの投資に手を付けているそうです。かつての勢いを取り戻すのか、どうか……。
いずれにしても、ボラティリティ(相場変動の度合い)が急低下している現在のマーケットで、ポールソンに限らずヘッジファンドが利益を出すのは難しい状況のようです。
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