株式市場における下落相場への対応は、さまざまな指標や過去の値動きなどから総合的に判断する必要があります。下落相場にうまく対応するための判断材料にはどのようなものがあるのか、格言を交えながら学び、相場予想の力を身につけましょう。

目次

  1. 相場の上昇・下落とは
  2. 下落相場への対応と相場格言
  3. 相場急変時の「温度計」となる指標
  4. 下落相場の下値目処はどう判断する?
  5. まとめ:下落相場への対応は指標や過去の下落幅の分析から

相場の上昇・下落とは

金融
(画像= Naypong Studio/stock.adobe.com)

取引されるタイミングによって価格が変わるものとしては、外国為替や債券などから不動産や原材料までさまざまあります。そしてもちろん、上場企業の株式も日々刻々と値が動いています。このような株式や債券、外国為替などその時々の取引価格のことを「相場」と呼びます。

株式投資の世界で「相場が上昇する」とは、株式市場において全体的に各銘柄の取引価格が上昇傾向にあるということを指し、逆に「相場が下落する」とは、全体的に各銘柄の取引価格が下落傾向にあることを指します。

相場の動きに合わせて売買戦略を適宜見直すことは極めて重要です。たとえば日本株の相場が下落しているのにも関わらず、そのことに気づかずに積極的に株式を購入していくと、結果として損失が出やすくなってしまいます。もちろん、その直後に相場が上昇に転じ、利益を上げることもあります。しかし、少し厳しい言い方をすれば、それは単に運が良かっただけといえます。

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下落相場への対応と相場格言

株式市場の相場は上昇するときもあれば下落するときもあります。当然、相場が上昇しているときは株式投資の成果を出しやすいですが、下落相場では利益をあげることが難しくなります。

では、下落相場において株式投資家はどのような対応をすべきでしょうか。こうした点は長年にわたって株式投資家にとっての大きなテーマであり、さまざまな格言が生まれてきました。様子見をするべきだという格言もあれば、逆張りをすべしという格言もあります。下落相場の際に思い出したい格言をいくつか紹介しましょう。

格言:「売るべし買うべし休むべし」

「売るべし買うべし休むべし」という格言は、いつも株式を売ってばかり買ってばかりいるのではなく、ときには様子見をすることも重要だということを意味しています。

株式を売買しなければ利益を生み出すことができないのは事実ですが、売買してばかりでは市場をじっくり分析する余裕を持てません。株式の売買を終えたあとで相場が下落し始めたら、焦って株を売ったり買ったりするのではなく、いったん売買を休み、落ち着いて相場を眺めてみることも大切なのです。

似た格言としては「休むも相場」「売り買い休みの三筋道」などのほか、米ウォール街では「疑わしいときはなにもするな」という格言がトレーダーの間で言い継がれています。

格言:「落ちてくるナイフはつかむな」

「落ちてくるナイフはつかむな」も、相場が下落しているときは様子見をすることを推奨している格言です。

落ちてくるナイフをつかむことは困難でケガをする可能性もあります。この格言では、株価が下落しているときにその銘柄を購入するというのは、まさにこうした行為だと指摘しています。つまり、株式投資で損失を出さないためには、下落している株価が底を打ってからその銘柄を購入するべき、ということを強調しています。

格言:「下手なナンピン、素寒貧(すかんぴん)」

「下手なナンピン、素寒貧(すかんぴん)」という格言を理解するためには、まず「ナンピン買い」について知っておく必要があります。ナンピン買いとは簡単にいえば、株式の平均取得価格を引き下げるテクニックのことです。

ある株を高い株価で買ってしまったあと、その株の株価が下がったタイミングで買い増すと、結果的に平均取得価格が下がります。平均取得価格が下がるということは、それ以後、利益が残る株価の水準が下がるということです。

このナンピン買いは投資手法としては実際に実践されているものではありますが、株価が下落しているときにその株を追加購入することになるため、その後も株価の下落が続くと大きな損失につながります。下落相場は確かにナンピン買いの機会ではありますが、素寒貧までとはいかなくても結果として大損してしまうリスクがあることも覚えておきたいところです。

格言:「人の行く裏に道あり花の山」

ここまで説明した3つの格言はどれも下落相場に対して消極的姿勢を推奨するものですが、4つめに紹介する「人の行く裏に道あり花の山」は少し毛色が異なる格言です。この格言は「人があまり行かない裏道にこそ絶好の花見の場所がある」という意味で、人と反対のことをすることで利益を出すという「逆張り」の視点の大切さを説いています。

「落ちてくるナイフはつかむな」という格言になぞらえるならば、落ちてくるナイフをつかんで利益を出すということです。当然、恐怖感やリスクを伴う行為ではあるものの、うまく逆張りが成功すれば人並み以上の利益をあげることもあります。

似た格言としては「相場師は孤独を愛す」「友なき方へ行くべし」などがあるほか、ウォール街のトレーダーのなかでも「人が売るときに買い、人が買うときには売れ」という考えを持っている人は少なくありません。

相場急変時の「温度計」となる指標

下落相場の際にうまく立ち回るためには、こうした格言を知っているだけでは不十分です。上昇・下落に関わらず相場が急変したときには「相場の温度計」ともなり得る、さまざまな指標を分析することも重要です。

ここからは相場を読むために使える指標とその見方を解説していきます。ちなみにこうした指標はネット証券の取引ツールなどで確認できます。ただし、ネット証券によってツールの機能や見やすさは異なりますので、ネット証券選びの際にきちんと比較するようにしましょう。

日経平均PER

「日経平均PER」の「PER」(Price Earnings Ratio)とは「株価収益率」のことで、数値が高いほど割高であることを示します。日経平均の組入れ銘柄が割安であれば基本的には買い時であるといえ、下落相場の際の売買判断の参考にできます。

騰落レシオ

「騰落レシオ」は株式市場において「買われすぎ」「売られすぎ」を見るための指標です。「値上がり銘柄数÷値下がり銘柄数」で計算され、パーセントで示されます。底値を探る際に使える指標で、一般的には70%を下回ると底値ゾーンとされます。

RSI

「RSI」は「Relative Strength Index」の略で、日本語に訳すと「相対力指数」です。上昇変動の勢いと下落変動の勢いのどちらが強いのかを判断する際に役立つ指標で、パーセントで示されます。50%以上は上昇局面、50%以下は下降局面とされます。

信用評価損益率

信用取引で買った株式の含み損益の度合いを示す指標で、この指標がマイナスになると相場がさらに下落する可能性が高まります。評価損を抱えている投資家が「追い証」(※信用取引における追加担保の差し入れ義務のこと)の発生を恐れ、売りに動くことが多いからです。

移動平均線乖離率

「移動平均線乖離率」からは、相場の反転を予想できます。移動平均線とは過去の株価の平均値をグラフ化したものです。このグラフからどれくらい離れているかを示すのが移動平均乖離率で、乖離が一定以上大きくなると相場が平均に引き戻されやすくなるとされます。

売買代金

売買が成立した株数のことを「出来高」と呼び、出来高に売買単価を掛けたものが「売買代金」です。売買代金は相場変動のエネルギーを示す指標とされており、一般的には下落相場で売買代金が増えると底を打って株価が上昇するタイミングが近いと判断されます。

年初ライン

現在の株価の高低を分析する際、過去のいずれかのタイミングの株価と比較します。その際によく比較されるのが「年初ライン」です。

PBR1倍ライン(日経平均)

「PBR」(Price Book-value Ratio)とは「株価純資産倍率」のことで、1株あたり純資産の何倍の値が付けられているかを示す指標です。この指標において1倍を割れているかどうかが、底値を判断する際の基準の1つとして使われます。

下落相場の下値目処はどう判断する?

これまで紹介してきた指標は下落相場における売買判断に大いに役立ちます。そして底を判断するためには、過去の下落相場時の下落率や底を打ったときの株価を知っておくこともポイントとなります。

ちなみに、過去の金融ショックが起きた際の日経平均の下落率は、それぞれ以下のようになっています。ショック直前のピークとその後の最安値の下落幅から下落率を算出しています。

▽過去の金融ショック時の日経平均下落率

  • リーマンショック(2008年):14,489→7,055(下落率51.3%)
  • 東日本大震災(2011年):10,254→8,605(下落率16.1%)
  • チャイナショック(2015年):20,868→14,953(下落率28.3%)
  • コロナショック(2020年):23,861→16,553(下落率30.6%)

最も下落率が大きかったのはリーマンショックの51.3%、最も小さかったのは東日本大震災の16.1%となっています。

まとめ:下落相場への対応は指標や過去の下落幅の分析から

基本的には相場急変時の温度計となる指標から総合的に判断することが重要ですが、過去に起きた金融ショックなどの下落率も参考に、底を打ったかどうかを見極める力も必要になってきます。

相場に関する格言を知っておけば、マクロ的に相場を分析する視点を持つこともできます。株式投資では「木を見て森を見ず」は厳禁です。マクロ的視点と各種指標の両方を分析しながら、相場の先行きを予想するようにしましょう。

文・岡本 一道
政治経済系ジャーナリスト。日本の国内メディアと海外メディアの両方でのジャーナリスト経験を経て、現在は国内外の政治・経済・社会・文化など幅広いジャンルにおけるトピックスで多数の解説記事やコラムを執筆。ニュースメディアのコンサルティングなども手掛ける

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