中長期投資は、長期視点で運用することで平均的な価値が安定し、初心者でも失敗しにくい投資方法といわれています。では、短期投資は失敗しやすい投資方法なのでしょうか。短期投資と中長期投資を単なる期間的な違いだと捉えてしまっていると、大きな失敗を招くことになります。本記事では、短期投資の特徴と種類、メリットとデメリット、短期投資に向く金融商品などを取り上げます。一概にリスクばかりではない短期投資のおもしろさを確認しましょう。

目次

  1. 投資には中長期運用と短期運用がある
  2. 短期投資のメリットとデメリット
  3. 短期投資におすすめの投資手法とは?
  4. 短期投資におすすめの金融商品
  5. 短期投資におすすめ!使えるネット証券
  6. まとめ:短期投資は値動きをとりにいく投資手法、冷静さが大切
  7. 平均利回り4.5%の手堅い利回りファンド

投資には中長期運用と短期運用がある

短期投資におすすめの手法と金融商品は?注意すべき点も解説
(画像=(写真=sitthiphong/stock.adobe.com))

明確な定義はありませんが、一般的に1年以内に利益が確定するものは「短期投資」、数年以上運用するものは「長期投資」と呼ばれています。1~3年程度の「中期投資」や10年以上の長期投資などもありますが、今回はまとめて「中長期」としてお話します。

まず、知っておくべき短期投資と中長期投資の違いは、「投資目的」と「収益を得る方法」です。

中長期と短期、投資目的の違いとは?

中長期投資は、企業の価値に対して投資を行います。数年かけて利益を積み上げていることを目指すため、投資期間も自然と長くなります。

短期投資は、株価の値動きに注目して行う投機的な意味合いが強い取引です。値動きの大きい銘柄を売買し、短期間で次々と乗り換えていくことで利益を追及します。

キャピタルゲインとインカムゲイン

投資で得られる収益は2種類あります。1つは、金融商品を買ったときよりも高値で売る売買差益です。これを「キャピタルゲイン」と呼びます。もう1つは、金融商品を保有することで得られる利益で、「インカムゲイン」と呼びます。株式の配当金や株主優待、債券の利子などがインカムゲインにあたります。

中長期投資では、保有期間中に受け取るインカムゲインと手放すときのキャピタルゲイン、両方の利益を狙うことができます。

短期投資は、頻繁に売買をくり返し、複数のキャピタルゲインを積み重ねます。保有期間が短いため、インカムゲインは期待できません。

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短期投資のメリットとデメリット

短期投資におすすめの手法と金融商品は?注意すべき点も解説
(画像=ZUU online)

投資初心者には中長期投資が向いているといわれる理由の1つに、中長期投資のほうが時間的な猶予があるということが挙げられます。判断をくだす場面はありますが、1分1秒を争うような事態にはなりにくく、比較的落ち着いて構えていることができます。

しかし、短期投資では即断即決が求められます。どうしようとためらっている間に、局面は大きく変化してしまいます。しかしそのぶん、利益を得るまでの時間が短く済むという点に魅力を感じている人も多いようです。

ほかにも、短期投資には次のようなメリットとデメリットがあります。

短期投資のメリット1:保有期間が短いため、リスクを持ち越さない

金融商品にはリスクがつきものです。価格変動リスクや、投資先企業の安定性にかかわる信用リスク、海外の商品や通貨を取引する場合の為替変動リスクなど、さまざまな観点でのリスクが存在します。

こういったリスクは金融商品を保有している限り、ついて回ります。しかし、短期投資ではすぐに手放してしまうため、保有することで受けるリスクを回避できます。

短期投資のメリット2:同じ元手で何度も投資できる

中長期投資の「元手」である購入資金は、一度投資をしたら数年後に運用成果が出るまで戻ってきません。しかし、購入した銘柄をすぐに売却をする短期投資の場合は、利益が出ていれば購入資金と同額以上の資金が手元に戻ってくることになり、それを元手にくり返し投資することができます。

また、最初の売買で得た利益を次の売買の資金に加えれば、元手を増やすことも可能です。うまく運用できれば元手が徐々に増え、投資資金が潤沢になる可能性もあります。

短期投資のメリット3:損失が膨らみにくく、取り戻しやすい

短期投資の場合、常に値動きを追っています。そのため、値下がりしてしまってもあらかじめ決めたタイミングでの損切りができ、損失を最小限におさえられます。

また、投資には投資対象を分散することでリスクを軽減する効果がありますが、それは短期投資でも同様です。同時進行で複数銘柄の取引をしていれば、ある1つの銘柄で損失が出たとしても、ほかの銘柄の運用でカバーできる可能性があります。「その日」あるいは「その月」のトータルリターンがプラスになれば利益になるのです。

短期投資のデメリット1:こまめに株価をチェックする時間と技術が必要

短期投資の場合、刻々と変化する株価を追い、リアルタイムで分析しつつ、売買注文を出すかどうかの判断をしなければなりません。このため、即断即決ができるだけの知識と判断力を身につける必要があります。

また、取引は平日の昼間に行われます。会社勤めなどの本業を持つ人にとっては、時間的な拘束もデメリットになります。

短期投資のデメリット2:売買手数料などのコストがかさむ

もう1つのデメリットは、取引のコストがかさむということです。

取引手数料は一般的に「取引ごと」にかかります。短期投資では売買回数が多い分、手数料もかかります。証券会社によっては、取引手数料を1日あるいは一定金額まで定額で扱うプランなどが設けられていますので、口座開設前に確認しておくと安心です。

短期投資におすすめの投資手法とは?

短期投資とは一般的に1年以内に利益確定させる取引方法と解説しましたが、より短い期間で行う方法もあります。代表的なものが「デイトレード(デイトレ)」「スイングトレード」で、そういった取引をメインで行う投資家を「トレーダー」と呼んでいます。

デイトレとは?

デイトレとは正式名称デイトレード、つまり1日で取引を終える方法です。市場が開いたら買い始め、売買をくり返し、翌日以降には持ち越さず市場が閉まるまでにすべて売り終えます。1日に何度も売買をくり返す手法を「スキャルピング(超短期売買)」と呼ぶこともあります。

デイトレードではわずかな値動きの気配で売買判断をくだすため、場中(取引時間内)は株価から目を離せません。平日の昼間に集中して売買状況を追う環境を整えられない人は、手を出さないほうが賢明です。

デイトレードのメリットとは

決算発表や社会情勢の変化などで突然株価が暴落することがありますが、デイトレードの場合、時間外にはなにも保有していないため影響を受けません。また、市場全体が下降していても、値動きさえあれば利益を出せるのがデイトレードのメリットです。当日中に利益や損失が確定するため、うまく運用できた場合はすぐに資金を増やせます。

デイトレードのデメリットとは

株価は必ずしも上がるとは限りません。値動きが大きいということは、大きな利益をあげる可能性がある反面、大損をする可能性もあるということです。終日下がり続けることもあるため””。””、損失を最小限にとどめるための技術として「損切り」は必要不可欠です。

また、取引手数料や利益にかかる税金などのコストが高いといったデメリットもあります。

スイングトレードとは?

取引の完結まで、数日から数週間程度かける投資方法を「スイングトレード」と呼びます。基本的にはデイトレードと同様に、値動きをチェックしながら売買をくり返し、キャピタルゲインを狙います。

  • スイングトレードのメリットとは

金融商品のなかには、当日中に価格が変動しないものもあります。その場合は、日数に融通が利くスイングトレードが向いています。

スイングトレードはデイトレード同様に、相場の動きをみながら保有期間を判断します。デイトレードほど売買注文板に張り付く必要がないため、投資家のなかには副業でも可能だとする人もいます。ただし、場中に相場チェックができる人のほうが有利なのは間違いありません。

  • スイングトレードのデメリットとは

デイトレードのメリットの1つは、暴落による影響の回避効果があることでした。しかし、数日間保有することがあるスイングトレードでは、その効果は薄れてしまいます。一方で、デイトレードのデメリットであった価格変動リスクや税金コストについては、薄まることなく当てはまります。

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短期投資におすすめの金融商品

短期投資はさまざまな金融商品で行うことができます。ただし、中長期投資とは「投資の目的」が異なるため、銘柄を選択する基準もまったく違うところに注意が必要です。

短期投資に向いている株式投資の銘柄とは?

短期投資は中長期投資とは銘柄の選び方も異なります。中長期投資では、将来が有望だと思う銘柄が成長して大きな利益になることを期待します。また、業績が安定している企業の株を保有し、定期的なインカムゲインを狙います。

一方で短期投資は値動きのよい銘柄の売買をくり返し、小さな利益をコツコツと積み重ねます。まだ安定していない新興企業の株式のほうが、短期向けといえるでしょう。その日の値動きだけが重要なため、株式を発行している企業を入念にリサーチする必要は比較的ありません。

投資信託やETFでも短期投資はできる?

通常の投資信託やETF(上場投資信託)は、長期保有することでメリットが顕在化するようにつくられているものが多く、中長期投資向きです。しかし、なかには短期投資向けにつくられたものもあります。

  • ブルベア型ファンド、レバレッジ型・インバース型ETFとは

投資信託などでは、それぞれに運用の指標(ベンチマーク)を定めており、その多くは日経平均やTOPIXなどの株価指数(インデックス)を指標とし、連動や上回る運用成果を目指しています。また、なかには原指標の「プラス数倍」「マイナス数倍」となるように計算されている指標もあります。

ブル型ファンドやレバレッジ型ETFでは、「原指標のプラス数倍」として計算されたベンチマークを目指して運用し、株価が上昇したときには、より大きな利益を得られます。

また、ベア型ファンドやインバース型ETFが目指すベンチマークは「原指標のマイナス数倍」です。こちらは、株価が下落したときに、より大きな利益を得られるようにつくられています。

これらは先物取引やオプション取引などを活用して、短期運用するのが一般的です。

短期投資に向いているFX取引

FX(外国為替証拠金取引)は、為替変動による売買差益を狙う取引です。一定の保証金を預託することで、その何倍もの金額で売買を行い、差し引きした利益だけを受け取ります。レバレッジ(てこの原理)効果により、大きな収益を得るチャンスがありますが、大きな損失を招く恐れもあります。デイトレードなどの短期投資向け商品にあるイメージですが、中長期投資でも取引されています。

為替取引は一方の為替レートが上がれば、もう一方は必ず下がるゼロサムゲームです。株式取引は、需要によって市場全体が拡大する可能性があるため、非ゼロサムゲームです。

短期投資におすすめ!使えるネット証券

株式の短期投資を行うことを前提にネット証券を探す場合、確認したい点は「手数料プラン」です。いくら取引ごとの手数料が安くても、何度も売買を行う短期取引では意味がありません。短期投資向けのプランがあるかどうかをしっかり確認しましょう。

また、口座を開設するときの注意として税金対策が挙げられます。投資で得た利益は課税対象で、利益が確定するたびに約20%の税金支払い義務が生じます。中長期投資の場合は「源泉徴収あり」の特定口座が便利で、短期投資の場合は「源泉徴収なし」の特定口座、あるいは一般口座のほうが適しています。これは、翌年の確定申告まで納税を遅らせ、資金効率をあげることができるためです。

松井証券

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現物取引手数料 1日定額 「ボックスレート」 1日の約定金合計額 10万円まで 0円
50万円まで 0円
100万円まで 1,000円
信用取引手数料 1日定額 「一日信用取引」 約定金額 金額不問 0円
金利・貸株料 100万円未満 年利 1.80%
100万円以上 年利 0.00%
取扱商品 取引所 東・名・福・札
投資信託・ETF 約1,356本
FX 13通貨ペア

※2020年12月19日現在の情報を元に作成しています。手数料は税別価格です。

大正時代から続く老舗証券会社の松井証券には、短期取引に最適なプランが2つ用意されています。

「ボックスレート」では、現物取引・信用取引ともに1日の約定(取引成立)代金合計50万円までが無料です。信用取引を行う場合は、なんといってもデイトレード専用の「一日信用取引」がお得です。約定金額にかかわらず取引手数料が無料、さらに、1注文あたりの約定金額100万円以上の金利・賃株料が0%と業界最安値です。コストを抑えて、資金効率のよい取引が行えます。

SBI証券

SBI証券
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現物取引手数料 1日定額 「アクティブプラン」 1日の約定金合計額 10万円まで 0円
50万円まで 0円
100万円まで 0円
信用取引手数料 1日定額 「アクティブプラン」 1日の約定金合計額 100万円まで 0円
200万円まで 877円
以降100万円追加ごと 400円ずつ増加
3,000万円以上 0円
取扱商品 取引所 東・名・福・札
投資信託・ETF 約2,650本
FX 29通貨ペア

※2020年12月19日現在の情報を元に作成しています。手数料は税別価格です。

口座数№1ネット証券であるSBI証券にも、お得な1日定額プランがあります。

現物取引・信用取引ともに、約定金額100万円まで手数料0円で行えます。信用取引だけでなく現物取引も行いたい人に向いています。また、SBI証券では取扱商品数が豊富なため、自分の取引スタイルに合ったものが見つかる可能性が高いでしょう。

まとめ:短期投資は値動きをとりにいく投資手法、冷静さが大切

短期投資では、あらかじめいくつかの取引ルールを決めておきましょう。たとえば、どのくらいで損切りするかを決めることで、決断をずるずると先延ばしにして損失が増えることを防げます。また、うまくいっているときに調子に乗ってルール変更をしないことも気をつけなくてはなりません。一喜一憂せずに、冷静に進めていくことが大切です。

短期投資と中長期投資の違いを知り、しっかり意識しておくことが、短期投資での致命的な失敗を回避するコツです。初めての短期投資は、レバレッジ型・インバース型ETFやブルベア型ファンドから始めて、次第に慣れていく方法がおすすめです。

文・高井 怜
国内生命保険会社にて生命保険・損害保険の営業職、大手外資保険会社にて顧客相談室を経験。退職後は、保険についての「わからない。めんどうくさい」を少しでも解消できればと、保険・金融記事の執筆を開始。関心分野は、保険や年金など生活に密着した金融サービス。2級ファイナンシャル・プランニング技能士。

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