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株投資をしていると、Webや雑誌で目につくのが「目標株価」です。多くのブロガーやアナリストが個別銘柄の目標株価を発表しており、目当ての銘柄があれば思わず目を留めてしまいます。この目標株価とは、いったい何でしょうか。はたして株の売買にどんな影響があるのでしょうか。また、同じような指標に「レーティング」もありますが、どのように違うのでしょうか。それぞれの株式投資に有効な活用法を紹介します。
目次
目標株価とは?
株式の売買はなんといってもタイミングが重要です。株価の上がりきったところで購入してしまうと、そのあとは値下がり局面が続き、売り時がなかなか巡ってきません。逆に、売り時と判断して売った直後に、さらに値上がりすることもあります。
タイミングの判断は、長年投資をしている投資のプロでも簡単ではありません。そこで投資初心者からベテランまで活用しているのが目標株価です。
アナリストが銘柄ごとに予想株価を算出
ファンドマネージャーやアナリストが、担当するセクターごとに算出する予想株価が目標株価です。国や企業の財務状況や業績などをチェックするだけでなく、ときに企業トップへのヒアリングなども行いつつ、好材料や不安材料を分析して算出されます。アナリストはそれぞれに得意分野があり、銘柄企業の業種や「5G」「再生可能エネルギー」といったテーマ、あるいは金融商品ごとに担当セクターが設定されることもあります。
目標株価は、主に各証券会社が顧客向けに発行するレポートのなかで、「買い」「中立」「売り」といった「レーティング」とともに公表されます。投資についてのポータルサイトなどでも各社の目標株価は見られるので、証券会社の顧客でなくても確認可能です。
レーティングとは?
レーティングとは、アナリストによる投資判断の格付けです。ムーディーズやスタンダード&プアーズ、格付投資情報センターなどの格付機関が、国や企業が発行する債券の信用度やリスクを評価した格付とは別物です。
レーティングはアナリストや企業調査会社が、独自に評価したものです。判断材料は多岐にわたり、財務状況や業績はもちろん、業界全体の景況感なども加味されます。
レーティングと目標株価は連動しやすい
レーティングと目標株価は比較的連動しており、レーティングが引き上げられればその株価の評価が上がったことになり、目標株価も高くなる傾向にあります。
目標株価は具体的な価格を提示し、現在の価格が割高か格安かを判断するものであるのに対し、レーティングは証券会社ごとに表記方法が異なります。
▽証券会社ごとのレーティングの種類
証券会社 | レーティング |
野村證券 | Buy/Neutral/Reduce |
大和証券 | 1~5 |
みずほ証券 | 買い/中立/アンダーパフォーム |
岩井コスモ証券 | A/B+/B/B-/C |
三菱UFJモルガンスタンレー証券 | Overweight (OW)/ Neutral (N) /Underweight (UW) |
SMBC日興証券 | 1~3 |
各社それぞれにレーティング判断への定義も違います。たとえば野村證券は、直近12カ月のパフォーマンスがベンチマークを超えるかどうかで判断しています。三菱UFJモルガンスタンレー証券は、銘柄ごとに独自にサブセクターを定めていて、サブセクター中の順位を加味してレーティングを評価しています。
アナリストの「主観」も含まれる
レーティングが引き上げられたり、目標株価が高く設定されたりすると、注目が集まりその株式を買う人が増え、なかには目標株価を超える高値を付けることもあります。
しかしレーティングや目標株価は、アナリストが独自の分析や判断で評価したもので、客観的なデータ分析だけではなく主観も含まれています。また、レーティングの評価方法も会社ごとに異なります。
レーティングや目標株価はその性質上、完璧な予想をもたらすものではありません。経験値の乏しい投資初心者は目標株価やレーティングに振り回されがちですが、あくまでも「参考」にとどめることが重要です。
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目標株価の活用法
では目標株価を参考値として利用し、株式投資や銘柄選定に生かすには、どういったことに注意すればいいのでしょうか。
アナリストの評価
分析力や情報収集能力に長けたアナリストの目標株価は信憑性が高く、実際の株価も予想通りになる場合があります。このこと自体が投資家にとってはメリットですが、さらに評価の高いアナリストの予測が投資家の取引を促し、株価に影響を与えるケースもあります。つまり評価が上がれば上がるほど、そのアナリストの予想は実現しやすくなるのです。
投資家から評価の高いアナリストを探すことは、投資の成功率を高めます。また自分とは見方の違うアナリストの意見も参考にするなど、なるべく多角的に情報を収集することも重要です。
市場は常に動いている
ただし繰り返しになりますが、目標株価もレーティングも、アナリストの主観を含んだ参考値です。参考値を信用しすぎることは、投資家自身の判断力を奪うことになります。
株価は銘柄企業の動向だけでなく、国内外の情勢や事件などさまざまな要因で刻々と変化しています。アナリストが公表したレポートと、現時点での市場とは常にタイムラグがあり、市場の変化により記事と相反するような状況が生まれていることもあります。
レポートで示された参考値や情報と、市場の現況とを常に比較しつつ、投資行動を決定する必要があります。会社ごと、アナリストごとに分析方法や数値の算定方法は異なりますが、日頃から各アナリストが発表する目標株価やレーティングと、自分自身の予測値とのズレを確認しておくことで、予測精度を高められるかも知れません。
シンプルに目標株価を計算する方法
アナリストが発表する目標株価に、関心のある銘柄が含まれていないこともあります。アナリスト独自の指標や数値は加味されなくても、シンプルな算定方法を身につけておけば、簡易的な目標株価を算出できます。購入した株式の、売却タイミングの目安として活用することもできます。
PERとEPSで目標株価を算出
株式投資で用いられる指標はたくさんありますが、基本的な指標の1つがPER(Price Earnings Ratio:株価収益率)です。PERは、企業の純利益を発行株数で割ったEPS(Earnings Per Share:1株当たり利益)の何倍の株価が付いているかを示した指標です。PERの数値が低ければ割安、高ければ割高だと判断できます。
PERを計算式で示すと、以下となります。
PER=株価÷EPS
これを変形させると株価を表すことができます。
株価=PER×EPS
つまりPERとEPSの予測値が計算できれば、両者をかけ合わせることで目標株価を算出できるのです。
予想PERの算出
PERは同じ業種の企業との比較で計算されるため、「何倍以上なら割高」といった一律の判断はできませんが、予想値を出すためには一定の基準を設ける必要があります。
近年の日経平均株価からは、日本の上場企業の平均PERは約15倍と見られています。15倍を1つの基準として、ある企業のPERが10倍以下だったとします。その企業の業績が年々アップしていて、株価チャートも上昇トレンド基調であれば、優良株が割安な状態にあると考えられます。PERは現在の10倍から、15倍前後まで上がっていくものと予想することができます。
また、毎年2倍のペースで純利益を上昇させている企業のPERが20倍となっていたとします。平均からすると割高ですが、成長ペースから見るとむしろ割安という判断も可能です。単純に15倍を基準とするのではなく、同業他社の成長ペースとPERを比較した上で、概算であっても適正な予想PERを導きだす必要があります。
目標株価算定の例
たとえば、株価1,500円、PER17倍の株式があったとしましょう。次にその企業の過去の売上高や営業利益、1株あたりの純利益などを確認します。年々業績を伸ばしているのか、横ばいなのか、あるいは下降気味なのかが見えてきます。
次に直近の決算発表や、来期の予想業績を確認します。仮に予想業績が大幅に上がっていれば、何がその要因として挙げられているかも確認し、その信憑性もできる範囲で調べておきます。
そして、過去のPERを調べます。PERの実績値は『会社四季報』(東洋経済新報社)や、ネット証券口座を開設していれば、その情報サイトなどから見ることができます。過去のPERの高値を確認し、今回も同様の好材料が揃っていれば、現在のPERも高値に近づいていくものと予想できます。実績PERの高値平均が30倍であれば、現在の17倍は割高ではなく、株価もさらに上がる可能性があります。
最後に、『会社四季報』や証券会社のサイトで、EPSの予測値を確認します。たとえば今期の予想が80円で、来期の予想が90円であれば、80~90円の幅のなかで目標株価を算出します。仮に短期運用で大きな利益を上げるために最大限に強気の判断を行うということであれば、目標株価は30(PER)×90(EPS)=2,700円です。この数値を上限に、自分の投資方針に合った目標株価を設定し、取引タイミングの判断に活用することになります。
まとめ:目標株価をかしこく活用しよう
投資のプロであるアナリストが公表する目標株価やレーティングを鵜呑みにするのではなく、自分なりに目標株価の仕組みを理解し、算出してみることで、プロが提供する情報の精査も可能です。複数のネット証券に口座を開設すれば、情報ソースも多角的になるので、自分自身の目標株価もより精緻に算出できるかも知れません。
自分の相場観をもち、指標を読み解く力を磨いていくことが大切です。
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