エンジニア向け独立支援サービス(フリーランス支援サービス)を基軸に、ベンチャー企業への開発支援や、オフショア開発などの事業も展開しているNKC ASIA。
リモートワークが社会に浸透し、働き方が大きく変化していく中で、同社へのニーズが高まっている。急成長を続けるビジネスモデルをさらに加速させるため、鬼速PDCAを導入。社内でどのような効果が生まれたのか、導入後の感想についても伺った。
導入のきっかけ
鬼速PDCAの考え方をベースにして、「課題ファースト」の組織にしていきたい。
株式会社NKC ASIA
代表取締役 中島 一樹 氏
中島社長私が鬼速PDCAという考え方に出会ったのは、冨田社長が話していた勉強会です。もともと、『鬼速PDCA』という本があることは知っていて、興味がありました。しかし、あれは個人のPDCAの話が主体であり、勉強会のテーマは「組織のPDCAをどう回すか」という内容でした。組織の成長になぜ天と地の差が生まれるのか、という講義で「なるほど」と思うことばかりでしたね。
特に印象に残った言葉は、「課題ファースト」という言葉です。私の会社は当時、新卒採用をしていなかったので、全員が中途入社の社員で構成されていました。そうすると会議の場では、ほとんどの社員が過去の成功体験から「前の会社ではこうでした」と伝えてくるんです。これは一概に悪いと思いませんが、「本当にこれは目標達成につながるのか?」と思うことも当時は多く、組織として課題に感じていました。鬼速PDCAという考え方・理論を導入することで、「課題ファースト」の組織へと変革したい、そう考えてすぐに導入を決めました。
導入後の流れ
営業マネージャーからスタートした“因数分解”。
MindMapを通じて、思考を可視化し、課題を発見していく。
中島社長プログラムは、「講義」とPDCAエンジニアの皆さんによる「コーチング形式のサポート」の両軸で構成されており、我々の課題に沿ってサポートを受けることができました。鬼速PDCAの考え方を取り入れる第一歩として、営業部門のマネージャーたちが、私と一緒に講義とコーチングを受けています。営業部門は同じルールの中でやっているので、鬼速PDCAの考え方を取り入れることが成果につながるかどうか、分かりやすく確認できると思ったんです。
ZUU塩田私たちエンジニアのフォローとしては、まず営業マネージャーの皆さんにヒアリングを重ねながら、業務を分解していきました。それぞれ1,000以上の因子に細分化されていき、徐々に課題が可視化されていきましたよね。
中島社長MindMapを使って、塩田さんがどんどん因数分解をしてくれたのですが、このMindMapはなかなかすごいと思いました。話しながらどんどん枝が伸びていき、思考が可視化されていく。これは「なるほどな」と。
今では私の会社でもこのやり方が浸透してきていて、打ち合わせもMindMapを開きながら行うようになりました。思考が可視化されたことで、なぜそう考えたのか、プロセスなども理解しやすくなりましたね。「課題はどれ?」などの会話もしやすくなってきています。
ZUU塩田社内でもMindMapが浸透してきているのは大変ありがたいです。今でも継続支援の形で皆さんのサポートにあたっておりますが、課題発見のプロセスや会話など、どんどんブラッシュアップされているように感じます。
中島社長ありがとうございます。これが「課題ファースト」の第一歩かなと、私自身も考えています。
鬼速PDCAの解決案
未来の“因数分解”で中長期的な課題が浮き彫りに。
管理部門12名を、約2ヶ月でスピード採用。
株式会社ZUU 鬼速PDCAエンジニアリング事業本部
塩田 健太郎
中島社長エンジニアの皆さんに“因数分解”をサポートしていただいて、全体を可視化してみると、営業マネージャーがそれぞれの業務を理解することができ、改善できると分かりました。今まで業務が見えずに不安な部分もあったので、安心しましたね。
ZUU塩田中島社長が仰っていた通り、現状の営業組織にはそこまで大きな課題はありませんでした。課題がないというよりは、「的確に進んでいた」という表現の方が正しいかもしれませんね。
そこで、私たちはもう一歩踏み込んで、未来視点で分解する“因数分解”を提案させていただきました。具体的には「5年後のNKC ASIA」。未来に視点を変えると、課題の優先順位が変わりますし、中長期的な課題を浮き彫りにすることが可能です。
中島社長自分が5年後に目指したいNKC ASIAを考えたときに、ビジネスモデルは今の形でもどんどん伸びていくイメージがありました。営業メンバーを増やしていけば、どんどん売上は伸びていく。そんなイメージですね。
でも、その成長に合わせて社員を2,000名、3,000名としていくときに、「どんな体制が必要なのか?」と問いかけられ、ただ単に営業メンバーがいるだけでは、業務が回らないことに気付きました。管理体制はどうすればいいのか、働く場所はどうすればいいのか。大きく成長するためには、盤石な管理部門を作り上げることの方が先決だと気付いたんです。
今までもぼんやりと考えていましたが、具体的に数字の目標をおいて“因数分解”してみると、今動く必要があると思えるようになったんですよね。営業メンバーについても考え直し、2か月で12名採用することを決めました。
ZUU塩田それからは、どうやって12名採用を、短期間で達成していくか“因数分解”していきました。経営課題から採用課題へと粒度を細かくして、さらにそれを分解していくという進め方です。どれくらいのスピードで、どんな人材や手法が必要なのか。また、どんな接点を持てば採用できるのか。これらの内容を明確にして、すぐに動き出せるようサポートしました。
中島社長現在視点から未来視点への転換から、経営課題から採用課題への転換まで、色々な観点を提示していただけるのはありがたかったですね。様々な“因数分解”の経験があるプロにサポートしてもらうことで、課題の発見から解決案の策定まで最短で進められると思います。
今回の取り組みの中で“解決案リサーチ”という、解決案を最短で簡単に探すための手法も教えていただきました。“因数分解”や“解決案リサーチ”を使って、素早く仮説を立てることが重要だと感じる機会が多かったです。プログラムを導入してからすぐに採用へ着手することができ、12名の採用に成功しました。
鬼速PDCAの効果
鬼速PDCAが組織に浸透し、解決までのスピードが向上。
この厳しい環境下でも、過去最高益を達成。
ZUU塩田現在は管理部門のメンバーの方を中心に、継続的に支援しておりますが、“因数分解”の質がどんどん上がってきていると感じています。
中島社長「課題は何か」という会話が、スタンダードになりつつあると感じています。「同業他社がやっているからウチも」という考え方は、やはり意味がなくて。自社の課題に合わせて、何が必要かを考えられるようにはなってきていると思います。
例えば、「なぜ4月に数字が上がっていないの?」とメンバーに聞いたとして「コロナだからです」と片付けられてしまうようでは、本当の課題には辿り着けません。コロナの影響でどんなことが起こり、どの数字が下がったのか、というところまでメンバーが分解できるようになってきています。これは大きな変化ですね。
また、弊社のビジネスモデルは案件をフリーランスとマッチングする事業なので、案件を継続的に獲得することが重要です。業務に必要なリストが“因数分解”でどんどんブラッシュアップされてますね。
具体的に説明すると、例えば案件を多く持つものの相対的に仕事が減少している大手SIer(システムイングレーター)にアプローチするのではなく、いま急成長中のベンチャーや、伸びている会社にシフトして案件獲得を目指しています。そのあたりを柔軟にコントロールしながら、現状分析のスピードが高まっていると感じています。
弊社はこの環境下でも2020年5月は過去最高益を達成し、6、7月もそれを維持できています。これには、鬼速PDCAの考え方が浸透してきた管理部門メンバーの組織力が、寄与しているのではないかと思います。変化に強い組織に変わったと言えるかもしれません。
今後の活用
解決案を教わるのではなく、自分で見つける力をつける。
鬼速PDCAは、「課題ファースト」の組織に変革するための仕組み。
NKC ASIA 中島氏、 株式会社ZUU 鬼速PDCAエンジニアリング事業本部 塩田 健太郎、江口 伸二
中島社長知り合いの会社でも、「あの会社でこんな解決案がうまくいったから自社でも」という話はよく耳にします。 「課題ファースト」で考えたいものの、無意識のうちに解決案を探してしまうというか。そういう方向にどうしても陥りがちですよね。
鬼速PDCAは「課題ファースト」をきちんと組織の仕組みとして回していくために、大切な考え方だと思います。きちんと手法として確立できているから、組織に浸透しやすいのではないでしょうか。
MindMapで要素を分解し、ビジュアル化してどんどん広げていくという“因数分解”のやり方も、その一つです。課題やアイデアを可視化して会話するので、「課題ファースト」により近づきます。誰でも真似してすぐに始められる方法をインプットしてくれるのが、とても良かったかもしれません。「課題ファースト」の組織にするための基礎力をつけてもらった、というところでしょうか。
私たちの顧客は、ほとんどが個人事業主なのですが、そういった方々にも鬼速PDCAを学んでもらって、どんな人でも「課題ファースト」で解決できるように考え方が浸透していくのが理想だと思いますね。現在は、弊社の管理部門や営業のメンバーが鬼速PDCAを学んでいますが、その先にいる何千という顧客に鬼速PDCAの考え方を広めることも考えています。それほど、重要な力だと私は感じています。
そして、私たちが今後、100億、200億と成長し続けるためにも、鬼速PDCAは重要な基礎づくりの役目を担っていくでしょう。組織が「課題ファースト」で事業を進められるよう、今後も活用していきたいと考えています。