国内最大級の規模を誇る美容専門の情報サイト「Beauty Park」を運営している株式会社オーエス。中国での越境ECサービスも展開しており、「Beauty Park 玩美花园(ガンビカエン)」は、日本の美容トレンドや新作コスメなどのコンテンツを海外発信している。コロナ禍のメディア戦略を再構築するため鬼速PDCAを取り入れた同社に、導入後の感想や効果について伺った。
導入のきっかけ
メディア事業を強化するために導入。自ら課題を洗い出し、解決できる組織を目指す。
鬼速PDCAを導入した経緯について教えてください。
織田社長本格的に導入を検討し始めたのは、新型コロナウイルスの影響で訪日外国人が激減した2020年の前半からです。日本を訪れる中国人旅行者に向けた情報提供サービスを行っていたのですが、コロナ禍でそれまでのニーズがほぼ完全に無くなってしまいました。その状況を改善するため、中国で展開している越境EC(Beauty Park 玩美花园)に注力するなど、メディア事業を強化したいと考えていたんです。
それまで全社目標は毎年達成できていたものの、絶対的に安心感のある組織運営ができていないという不安を感じていました。特に自信がなかったのは「課題解決力」です。メンバー自身で課題を見つけ、それを解決できる「自走する組織」をつくりたいと思っていました。そんな時、交友のあった経営者数人から「(鬼速サービスを)導入して良かった」という話を聞き、鬼速PDCAに興味を持ち始めました。
導入の決め手はなんですか?
織田社長MindMap(マインドマップ)を活用した“因数分解”にとても魅力を感じました。課題や事業をかなり細かい部分まで分解できることを知り、社内で仕組み化できれば今までより強い組織に成長できると思ったんです。やり方を覚えてシステムを一旦作ってしまえば、弊社でも活用しやすいのではないかと。
実は、他社のコンサルティングを受けたことがあるのですが、強制力の強い感じで無理矢理やる気にさせられるという印象がありました。サービス提供中は講師がいるので良いのですが、サービス終了後に私たちだけで継続するのが難しいと思っていたんです。
一方、鬼速PDCAは「内部から変えていくサービス」だと導入前の段階で感じられました。組織に根付くところまでサポートしてくれるような印象でしたね。もちろん私たちの自発的な行動も必要だと思いましたが、「自走する組織」に向けて最適なサービスだと感じて導入を決めました。
導入後の感想
“工数棚卸し”で無駄な時間を大幅に削減。
各事業部の連帯感が生まれて、スピード感のある課題解決へ。
導入後の感想を教えてください。
織田社長
毎月の工数を見直せる“工数棚卸し”があるじゃないですか、あれは非常に良いですね。必要のない工数を調整して、自分がやりたいことに時間を使えるようになります。週一回のペースで行うことに最初は少し驚きましたが、実際にやってみるとそれぐらいのペースで時間管理したほうが、工数を最適化できると分かりました。
自分が抱えている業務を他のメンバーに委託できるし、不要な業務はそれ自体をカットすることができます。その結果、自分に必要な時間が以前よりも豊富に確保できているので、すごく有意義なサービスだと感じています。
担当エンジニアの皆さんから色々な話を聞けたのも、すごく良かったですね。金融系の知識が豊富な方が多く、社内からは出てこない意見やアイデアをたくさんいただきました。私たちの業界に活用しやすい知識やアドバイスが多く、最新の知見も提供してくれたので助かりました。
“因数分解”でインバウンドの事業戦略を分解しましたが、戦略設計についてどのように感じていますか?
織田社長非常に細かい部分まで課題を分解して“見える化”できたので、進むべき方向とやるべきことを明確に整理できました。それは私だけではなく、事業部長もそうだと思います。特に大きな戦略を決定することについて、すごく役立ちましたね。
例えば、国内のインバウンド事業については、観光客が来ないので全く収益性がありませんでしたが、それ以前から日本企業の海外進出をサポートしていたので、現在の越境ECのメディア事業につながっています。現在はコロナ禍の逆境を乗り越えるため、中国専門のサービスを一層強化することを解決案として実行に移しています。
他にも越境ECの拡大施策として、中国以外の国を視野に入れた海外メディア事業展開や、国内の地方自治体との連携など、新たな解決策も出すことができました。以前から実現したいと思っていた構想を具体化できたのは、大きな収穫だと感じています。
社員の皆さんは、導入をどのように感じていますか?
織田社長鬼速PDCAでは、目指すべき目標の数値をKGIやKPIで明確にしますが、今までメンバーにあれだけはっきりと数字を伝えることはなかったので、かなり刺激を受けたと思います。今までよりも真剣に目標達成の方法を考えるようになりました。
各部署の重要な課題を“因数分解”で可視化して、全員でそれを認識できるようになったのは大きな成長だと思います。解決方法についても具体的に何をすればいいのか、MindMapを使って行動に落とし込んでいくじゃないですか。その一連のプロセスでチームとして進むべき方向が明確になるので、以前よりも結束力が強くなったと感じています。
それまで弊社の事業部長は、それぞれの担当事業をひたすら深掘りして進めていたんです。各事業部を俯瞰してバランスをとりながら進める感じではなかったので、横のつながりやチームワークという面では、スムーズな連携が難しいという印象でした。
しかし、MindMapを活用するようになってからは、各事業部の課題をお互いに見比べて、この事業はこういう問題点があるとか、この人はこういうところで悩んでいるというのが分かるようになりました。そうするとメンバー同士で「こんな解決方法がある」、「それはウチの部署が手伝う」などの連携が自然と生まれるようになったんです。課題感が共有され、解決に向けてチームで動けるようになったと感じています。
鬼速PDCAの効果
“リミッター外し”の活用でWebマーケティング事業が急成長。目標への最短ルートを自ら描き出す。
実際の効果については、どのように感じていらっしゃいますか?
織田社長“リミッター外し”の考えで目標設定の数値を今まで以上に引き上げられたのは、大きな変化です。目標倒れの無謀なゴールを目指すのとは全く違います。メンバーが事業や会社の状況と目指すべき未来をしっかり考えて、精度の高い目標を設定する場面が増えましたね。
導入以前は、ただ高いだけの目標を掲げてくることがあって、大体達成できなかったんです。それが達成できるのはどういう時かというと、明確に道筋が見えている時なんですね。鬼速PDCAの効果はそれと同じで、“リミッター外し”と“因数分解”を活用して、達成プロセスを自分たちで設計できるようになりました。
また、社内ではWebマーケティング事業が特に成長しています。そもそも業界自体が伸びていたこともありますが、コロナ禍でWeb広告やWebマーケティングがさらにフォーカスされています。想定以上の結果が出ているのでうれしい限りです。
事業の進捗確認でも効果を感じているそうですね。
織田社長ええ、社内の数字を圧倒的に把握しやすくなりました。例えば、導入前に悩ましかったのは「目標の数字は大丈夫か?」という会議でのやりとりです。その時に担当者は「大丈夫です」と言うことが多かったのですが、本当は達成不可能なケースもあったんです。
それがなぜ起こるかというと、確認する側も今の状況を把握していなかったり、その部門を深掘りできていないからです。つまり、私たち経営陣が進捗状況を確認して理解していれば、そんなことは起こらないんです。
MindMapを使えば事業の進捗状況を可視化できるので、正確な数字を報告するようになります。そのため、伸び悩んでいる数字に早いタイミングで気付き、挽回の施策をすぐに実施できます。責任を追求するのではなく、数字を取り返すための建設的な議論ができるのでかなり助かっています。
他にも、各事業部長が出してきた予算について質問した時、その結論に至った理由をMindMapで説明してくれるので、内容を理解しやすいですね。以前は明確な根拠がないケースも多かったんですけど、今はかなり減りました。私の考えていることも、以前よりスムーズに理解されるようになりました。
また、普段の会議でもMindMapを活用しており、確認作業の工数をかなり削減できています。例えば、今まで一度の会議では投資判断を決めかねていたのに、導入後には理解してすぐにGOを出せるようになったケースもあります。会議の質が高まって、事業の推進スピードが上がったように感じますね。
現在の活用
新卒メンバーにも鬼速PDCAが浸透。
「活用すれば絶対に成果が出ると思う」
鬼速PDCAの導入開始から1年ほど経過した、現在の活用状況はいかがですか?
織田社長今年の新卒メンバーに対しても、鬼速PDCAが浸透し始めています。人事担当が中心になってMindMapの作り方などをレクチャーしています。若手のスキルアップにつながっているので、今後は社内教育として根付いていくのではないでしょうか。どんな成果を出してくれるのか楽しみです。
他のメンバーも“因数分解”を活用して、各々の課題が見つかるなど様々な効果を感じています。組織にしっかりと根付いているので、導入して良かったと思いますね。その理由について考えてみると、やはり鬼速PDCAのプログラムの中で、自分のことを深掘りすることが大きな要因ではないでしょうか。
その結果、“自分事”として動けるようになって習慣化するのではないかと感じました。鬼速PDCAは、活用すれば絶対に成果が出ると思います。私は個人のMindMapも作っているのですが、ビジネス以外にも使えますね。社員にも言っているのですが、普段の生活を充実させるためにプライベートも“因数分解”するのがオススメです。
最後に今後の展望について教えてください。
織田社長私たちが目指しているのは、今まで通りにやって到達できるゴールではありません。達成するためには、ただ目標に向かってがんばるのではなく、視野をもっと広げることが大切です。
役員や事業部長、さらには他のメンバーも私と同じ感覚を持ってやってくれれば、組織としてもっと良くなると思います。それが会社をより大きく成長させる重要なポイントではないでしょうか。鬼速PDCAで私の工数をかなり有効活用できるようになったので、さらなる成長に向かってコミットしていきたいですね。