Webマーケティング領域において、SEOコンサルティング、コンテンツ制作、M&A、DXなど様々な事業を展開しているウィルゲート社。累計の取引社数は6,500社を超え、そのビジネス革命のノウハウを伝えるセミナーには毎月1,000名以上が参加している。
成長中のベンチャー企業に対してのデジタル化支援も行っており、自社でも「デジタル変革」と「働き方変革」を実践。9年連続で、日本の「働きがいのある会社」ランキングに選出されている。
「新規事業でブレイクしたのは鬼速PDCAがきっかけ」と語る専務取締役COOの吉岡諒氏に、その導入効果について伺った。
導入のきっかけ
5年で上場したZUUの成長力が導入の決め手。
資本投下よりも組織改善で、成長を加速させたい。
鬼速PDCAの導入前に感じていた課題はどんなことでしょうか?
吉岡専務(2020年当時に)課題だったのは、ウィルゲートの成長速度についてですね。規模が小さいときは、2倍や倍々の成長が達成できていたのですが、14期目になって成長速度が落ち着いてきました。
その状況を打破するため、経営改善のPDCAをどんどん回して、会社の成長力を高めたいと感じていたんです。
また、新規事業が連続して立ち上がっていく中で、少しリソースが分散しているような印象がありました。伸び悩んでいる事業と成長している事業の差が大きく、利益の差分が経営課題として挙げられていました。
導入の経緯について教えていただけますか?
吉岡専務最初に鬼速PDCAを知ったきっかけは、周りの経営者からの推薦です。「鬼速PDCA」の書籍を勧められたので読んでみました。組織の改善が一気に進むようなイメージがありましたね。以前からPDCAという言葉が好きなので「これはいいかも」と感じました。
その後、導入の決め手になったのは「資本と改善」についての話ですね。当たり前ですけど、社員を増やせばそれだけ売り上げも上がるのが一般的です。でもそれは「資本」の投下で伸びているだけなので、組織自体の生産性が「改善」したわけではありません。
それよりも現場レベルで大切なのは、その組織の生産性をいかに「改善」していくのかということです。例えば、受注率、受注粗利、粗利率、営業利益率など。それらの指標をより高めていくことが重要だということを説明していただきました。
「資本」と「改善」を切り分けるという考え方が、私の中できれいに腹落ちしたので、鬼速PDCAなら弊社の生産性を最大化できると感じました。
それに、サービスを提供しているZUU自体が急激に成長しているじゃないですか。そのことに説得力を感じたし、成長の秘訣を知りたかったですね。
短期間で急速に成長しているということは、成長するための仕組みや思考回路をきちんと言語化して、社内で共有しているからだと思うので。そのメソッドやノウハウを吸収したいというのも、導入の決め手です。
導入効果①
1か月あたり90時間以上を創出。新たな工数を新規事業の拡大に注ぎ込む。
導入後に効果を感じていることについて教えてください。
吉岡専務
当時は日々の業務に追われて、自分の工数管理をほとんどできていなかったのですが、“工数棚卸し”でどれぐらいの時間を各業務に投下しているのか可視化されたのは良かったですね。この業務は削除する、これは委託するべきなど、一目で分かるようになりました。
オンライン秘書にも自分の業務を誰でもできるように型化(標準化)して切り出すことを繰り返していった結果、1か月に90時間以上も生み出すことができました。
もう1人の秘書にも業務を切り出して、自分は今まで以上に多くの業務をこなしているので、「吉岡は2人いるんじゃないの?」と言われることもあります(笑)。
自分の業務を他の人に型化して切り出すのは、鬼速PDCAで学んだ方法なんですけど、そのおかげで今まで以上に仕事が回り始めました。例えば、今までスカウトなどの採用業務に1か月20時間ほど使っていたのですが、それも型化して外部に委託できます。
それらの業務効率化で捻出した時間は、新規事業に使うことができています。まとまった時間で集中して取り組んだ結果、2年を経たずして2つの新規事業で、月粗利3,000万円まで成長させることができました。鬼速PDCAで自分の工数を最適化できたおかげだと思っています。
導入効果②
2年目の新規事業で目標値330%を記録。わずかな広告費で過去最高益を達成する。
新規事業でも導入効果を感じていらっしゃるようですね。
吉岡専務ええ、現在2つの新規事業が好調です。まず1つ目はWeb・ITに特化したM&A仲介支援サービス「Willgate M&A」です。事業や株式の譲渡・譲受を希望する経営者に対してM&A仲介支援を行っています。取引社数は1年半前に比べて約6倍増の伸び率になっており、買い手と売り手の合計は1,400社を越えています。
これも鬼速PDCAのメソッドで、自分がどこまで事業に携わって人に委ねればいいのか、と考えられるようになったのが大きいと思います。
MindMap(マインドマップ)でマーケティング戦略を深掘りした結果、ほとんど広告費を投下せずに垂直で立ち上げられました。その結果、新規事業の第1クォーターのKPI(目標値)達成率は330%という成果を残すことができました。つまり、第1クォーターを終えた時点で、第3クォーターの目標が既に達成されていたことになります。
こちらの新規事業についても業務効率化を追求しているので、わずか4人のチームでありながら3ヶ月間で6,000万円ほどの売り上げが立っています。
2年以内に私が立ち上げた2つの新規事業で、年間で2億円の利益を出せるような勢いです。これも常識にとらわれずPDCAを回しながら、マーケティング戦略に取り組んできた結果だと感じています。
もう一つの新規事業についても教えていただけますか。
吉岡専務ウィルゲートのマーケティングメソッドで、他のBtoBの企業様を支援していきたいと思い、ソーシャルセリングの事業を立ち上げました。
始めた経緯としては、ウィルゲートで立ち上げた新規事業が好調なことが大きいですね。しかも、それらのサービスやプロダクトは、ほとんど広告費をかけずに垂直で立ち上がっているんです。
昨年はコロナでダメージを受けましたが、新規事業が好調なこともあって、ウィルゲートは今期(16期)の第1クォーターで過去最高益を出しているんです。
その背景としてはやはり、鬼速PDCAを活用して顧客ターゲットの見直しに取り組んだことで、社員1人あたりの生産性を改善できたことが大きかったと思います。
導入効果③
業務効率化に鬼速PDCAを活用し、他社の半分以下のリソースで事業運営を実現。
業務の効率化にも鬼速PDCAを活用されているようですね。
吉岡専務そうですね、鬼速PDCAを導入して良かったのが、業務フローや各種の指標ごとに細かく分解できることです。私の頭の中にある次にやるべきことを、MindMap(マインドマップ)で可視化できるので、分かりやすい状態でそのまま部下に渡すことができます。
PDCAには大中小の規模がありますが、部下には中規模のPDCAを渡して、その細部にあたる小規模のPDCAは自分で考えてもらうようなかたちにしています。
吉岡専務頭の中のマーケティング戦略をあらかじめ整理できるので、コミュニケーションがスムーズになりました。私が考えていることがMindMap(マインドマップ)で既にアウトプットされているので、引継ぎが簡単に終わります。「あとは私の方で細かいところを分解して進めますね」と部下から言われることもありますね。
MindMapは業務のプロセス分解にも役立っています。例えば、現在弊社では動画配信も活用しながら月10回のセミナーを開催しているのですが、この業務に必要な人員を大幅に削減できています。
他社ではここに1.5〜2.0人/月のリソースを割いていることが多いですが、弊社の場合はひたすらプロセス分解をして効率性を追求した結果、半分以下の0.5人/月で回せています。
既存事業の戦略設計については、いかがでしょうか?
吉岡専務社内のリソースを整理して戦略設計できたことは、すごく良かったですね。それぞれの事業を因数分解しながら、年間受注者数、受注単価、継続率など現状の売り上げを詳しく見ていきました。普段はそういう時間をなかなか取れないので、時間的な部分でも価値を感じています。
また、“リミッター外し”の考え方で、売り上げが100億になった時に各事業の数字がどんな構成比になっているのかも考えることができました。
将来的な事業構成について考えられたので、ある事業については伸び率の低下から撤退することを決めました。その事業に割いていたリソースは、新規事業やリード獲得強化のためにマーケティング部門へ。
その結果、新規事業の成長やリードが爆増することにつながったんです。これも因数分解でリソースを最適化できたおかげだと思います。コロナ前に迅速に取り組めたことも、大きかったですね。
今後の活用
セールス&マーケティング支援を新たな強みにして、さらに成長していきたい。
今後の展望についてもお伺いできますか。
吉岡専務今まで弊社は「SEOに強いウィルゲート」といわれることが多かったと思うのですが、今後はセールス&マーケティングにも注力していきたいと考えています。なぜなら、ウィルゲートがここまで成長できたのは、少ない営業人員でセールス&マーケティングを効率的にやってきたから。
そのノウハウを他社にも提供することで、新規事業をさらに伸ばしていきたいですね。世の中には、良いプロダクトを持っていても、営業に慣れていなかったりマーケティングが苦手な会社が多いと感じているので、継続的に支援していきたいと考えています。
また、弊社には「一人ひとりのwillを実現する」という経営理念がありますが、それを叶えるためには大きな強みがもう一つ必要だと思います。成長の基礎は、鬼速PDCAで構築できたと感じているので、さらに上手く活用して飛躍的な成長を目指します。
最後に、鬼速PDCAの価値をどんなところに感じているのかお聞かせください。
吉岡専務私はCOO (専務取締役)なので、CEO (代表取締役)が受けることの多いCXOプログラムの受講者としては珍しいパターンかもしれません。しかし、COOだからこそ実務レベルで業務を細かく分解できて良かったと思います。また、売り上げ1,000億などリミッターを外して、大規模なPDCAプロセスを回しながら考えることもできたので、今までにはないアイデアがどんどん出てきました。
経営者の場合、このプログラムを受けることで、現在の企業規模の数十倍になった未来に思いを馳せることができます。その結果、新たなアクションプランや重要課題が見つかると思います。目指すべき未来から逆算すれば、今まで後回しにしていた課題にも取り組むことができるのではないでしょうか。
そのため、経営者と幹部レイヤーのどちらにもお勧めしたいですね。私の場合は、創業者で経営に携わっているCOOなので、2倍のメリットがあったと思います。