コロナ禍における外来患者数の減少や、診療報酬の削減で厳しい経営状況に陥っているクリニック。病院を受診したくても通えない患者との間で、ジレンマが生まれている。両者の課題を解消する有効な手段として、注目されているのがオンライン診療だ。
株式会社オンラインドクター.comは、オンライン診療の普及に努めており、患者とクリニックをマッチングするオンライン診療のプラットフォーム『イシャチョク』をリリースしている(2021年6月にβ版)。
同サービスを開発・運営しているのは、現役の医師であり、株式会社オンラインドクター.com で代表を務める鈴木幹啓氏だ。“日本で一番忙しい小児科医”ともいわれ、「患者ニーズに寄り添うこと」をモットーに自らの医院も経営している。『イシャチョク』も、そんな鈴木氏の理念の延長線上にあるサービスだ。
このオンライン診療の新規事業は、鬼速PDCAのプログラムを通して戦略設計されている。「より良い事業に発展させることができた」と語る鈴木氏に、導入後の感想や実際の効果について伺った。
導入のきっかけ
伴走する戦略設計が導入の決め手。患者とクリニックに寄り添う、オンライン診療のプラットフォームを作りたい。
導入前に感じていた課題はどんなことでしょうか?
鈴木社長昨今のコロナ禍では、感染リスクを恐れるあまり、多少の身体の不調があっても病院の受診を控えるようになっています。そうした受診控えの影響で、多くの医療機関が苦境に立たされているのが現状です。
和歌山県の田舎で経営している私のクリニックでも、受診控えはかなり起こっています。都心部ではもっと大きな影響を受けているので、「将来このままクリニックを続けられるかどうか分からない」という危機感は正直ありましたね。
その解決策をずっと考えていた中で、オンライン診療が最適な方法だと思い至りました。患者が自宅で気軽に利用できる、オンライン診療のプラットフォームを作れば、苦境に喘ぐ医療機関を救うことができると考えたんです。
そんな新規事業の構想自体はあったのですが、それを具体化する実行計画に落とし込むときに難しさを感じていました。自分一人で事業計画を完成させるのは、時間的にも難しいので何とかしたいと考えていたんです。
鬼速PDCAを知ったきっかけについて、お聞かせください。
鈴木社長最初に知ったきっかけはFacebook広告なのですが、そこに書いてあった因数分解というキーワードに興味を惹かれましたね。内容をよく読んでみると、「事業を“因数分解”する」というテーマだったので、面白そうだなと思って勉強会に申し込みました。
参加した勉強会では、事業のプロセスを分解していたのが印象に残っています。例えば、ボトルネックとなっている事業の売上を高めることで、大きなインパクトを生み出せるなど。自分の事業を考えたときに、どこがボトルネックになるのか気になって、思いを巡らせたりしました。
その後、個別で新規事業について相談させてもらったのですが、その時の親身な対応が心に残っています。セールスではなく、経営者の目線で考えてくれているというか。
また、私が伝えた内容をMindMap(マインドマップ)で整理して入力していくうちに、思考も整理されて事業がどんどん出来上がっていくような感覚になったんです。このサービスを導入すれば、もっと良い事業にできるかもしれないと感じたのが導入の決め手ですね。
事業計画をクリアにすれば、経営陣の強化や資金調達もスムーズになるのではないかと期待していました。
導入効果①
新規事業のイメージを2か月のプログラムで具体化。
“リミッター外し”で実現可能なビジョンが大きく広がる。
導入後に効果を感じていることについて教えてください。
鈴木社長リミッター外しは大いに刺激がありましたね。自社の売上が100億や1000億になったときに、どんな事業を展開するのか具体的に考えることで、発想がどんどん膨らみました。
丁寧なヒアリングと具体的なアドバイスで、最初に考えていた事業規模よりも、より発展性のある事業に仕上げることができたと思います。しかも、ただ壮大な夢をみるということではなくて、その実現に向けてどんなアクションを起こすべきなのか、具体的に考えられるようになったのが良かったですね。
わずか2か月でしっかりした計画に仕上がったので、「実現可能な未来に向かって突き進もう」と新規事業へのモチベーションがさらに高まりました。
プログラム中には、“因数分解”で新規事業を深掘りさせていただきましたが、それについてはどのように感じましたか?
鈴木社長今まで何となくのイメージでしかなかったことを具体的に文字化して、分かりやすいMindMap(マインドマップ)に落とし込んだことで、細部まで一気に鮮明になったような感覚がありました。エンジニアの方と一緒に取り組むことで、解像度が驚くほど高まりました。
私は今まで医者として働いてきたので、会社や事業の運営に関しては経験が不足している部分もあります。それを補うように、“因数分解”では色々な視点で知見やアドバイスをいただいたので、とても参考になりました。
例えば、新規事業で一つのことをやろうと思ったら、販売チャネルはどうするのか、そこに割くリソースはどうするのかなど、課題が色々と出てきます。それをさらに細かく分解していくことで、より深い課題が見えてきて、優先的に取り組むべきポイントが明確になっていきました。
戦略設計の段階で、それらを一つ一つ解決できたことに大きな成果を感じています。やはり、一人だけで考えるには、限界があるということですね。
様々なアイデアや解決案を反映して、2021年6月にオンライン診療の新規事業「イシャチョク」を無事にスタートすることができました。ベータ版でありながら既に月間250万円の売上を記録しています。
MindMapを使った“因数分解”は現在も活用しており、進めている事業について深く考えるときに役立っています。私の考えを他の社員に説明するときにも、非常に便利ですね。
導入効果②
鬼速PDCAで構築した経営戦略に、各業界のトップランナーが続々と共感してアサイン。
戦略設計ではエクイティストーリーの資料についても、一緒に作らせていただきました。その中で価値を感じていることはありますか?
鈴木社長まず、私が想定していた新規事業の市場規模について、正確に捉えてくださっていたのが心強かったですね。IPO (上場)を見据えたときに、オンライン診療という大枠だけでは難しいことを私も認識していたので。
マネタイズポイントを一緒に考えていくなかで、より大きな事業にしていけるという実感が湧きました。自分が感じている事業の面白さに、第三者から見た新たな魅力が加わって、事業自体に厚みを持たせることができたと思います。
その経営戦略は、プログラムの終盤でエクイティストーリーの資料に落とし込んでいただきました。
実はこの資料を使って、経営陣の強化に成功しています。EC、広告、放送、金融などの業界で豊富な実績を持つ方々にアサインしていただきました。各界の名だたる方の参画は、大きな効果だと感じています。
エクイティストーリーの資料のどの部分が効果的だったのでしょうか。
鈴木社長事業計画と成長ストーリーはもちろんですが、IPOまでのマイルストーン(中間目標)が一番大きな影響力があったようです。3年後までの売上、時価総額、調達額などを算出して、フェーズごとの発展性を示すことができました。
このフェーズで事業拡大して急速に成長するなど、具体的なビジョンを提示できたのが良かったのだと思います。現在も事業内容やビジョンを説明する際には、この資料の成長ストーリーを主軸に活用させてもらっています。
今後、新規事業には著名人をアサインしていくことも考えているので、それらの場面でもこの資料が役立つのではないかと思います。
今後の活用
患者目線で医療と健康のプラットフォームを作りたい。
鬼速PDCAの導入で、加速度的な成長曲線を描き出せる。
今後の展望についてもお伺いできますか。
鈴木社長健康のインフラを目指して、治療はもちろん日頃から自分の健康状態を全部把握できるような、使いやすいプラットフォームを作っていきたいと考えています。
医療業界は保守的な部分もありますが、患者目線を大切にしながら、患者のためになる事業をどんどん進めていきたいですね。そのビジョンを実現するためにも、今以上に早いスピードでPDCAを回していきたいと思います。
導入を検討されている企業に伝えたいことはありますか?
鈴木社長「時間をお金で買うことができた」という感覚もあり、忙しい経営者に最適なサービスだと思います。鬼速PDCAのエンジニアの皆さんが優秀なので、自分一人でやるよりもはるかに効率良く進められたと感じています。
また、導入費用に関しては、投資だと捉えた方が良いと考えています。弊社の例でいえば、鬼速PDCAで成長スピードが飛躍的に高まったので、中長期的に見れば大きな費用対効果を得られたことは間違いありません。
新たに事業を始めるときは、Jカーブをイメージすることが大事だといわれることがありますが、その通りだと思います。事業のために初期投資して、最初の赤字は当たり前なんだと。そこでどれだけ良いビジネスにして、Jカーブのように成長曲線で浮上していくのか、それが大事なんです。
自分だけでビジネスを考えたら、その成長曲線は伸び率の低い一次関数的な成長でしかありません。マイナス幅が少ない代わりにプラス幅も少ない小規模店舗のビジネススタイルになってしまいます。成長幅の大きい二次曲線に変えたいのなら、鬼速PDCAを導入するべきだと思います。