通信業界に特化したセールスプロモーション事業で成長を続けてきたピアズ社。他業種への業務効率化支援も行っており、販売チャネル強化やオペレーション改善を通して、店舗収益の向上を実現している。
2020年には東証マザーズに上場。リテール業界のDXを促進するために、国内初となるリテールテック特化型のWebメディア「リテールテックプラットフォーム 」を公開している。10カテゴリー20種以上のソリューションを提供しており、世界中の最適なテクノロジーをマッチングさせることが可能だ。
このリテールテック領域への事業拡大は、鬼速PDCAの戦略設計のプログラムで作り上げたエクイティストーリーを元に構築されている。その後に導入した幹部育成のプログラムでは、経営戦略が幹部層にも浸透し、今まで以上の組織成長を実現している。
同社の代表取締役社長 桑野 隆司氏に、導入の経緯や実際の効果について詳しく伺った。
導入の経緯
IRで伝わりにくい自社の企業価値に課題感。
投資家の知見が豊富なZUUと、新たな成長ストーリーを描きたい。
まずは鬼速PDCAを知った経緯についてお聞かせください。
桑野社長元々のきっかけでいうと「鬼速PDCA」の書籍を読んだことですね。その内容が興味深かったので、知人の経営者の紹介で鬼速PDCAの勉強会にも参加しています。
弊社でも業務プロセスを分解することは元々やっていたのですが、それよりもさらにロジカルに考えられているという印象でした。仕組みが分かりやすいと思いましたし、このサービスなら社内でも活用できそうだと感じましたね。
導入前に感じていた課題感について教えていただけますか?
桑野社長私たちにとっては、上場することが一つの目標だったので、そこから先の成長ストーリーを投資家へ上手く伝えることができていませんでした。いわば「上場後の壁」のようなものを感じていたんです。
自社の株式価値を高めるため、IR資料よりも成長戦略を優先して考えていたのですが、もしかすると「投資家が成長の答えを持っているのかも」ということも、何となく感じていました。
投資家たちが弊社に対してそれぞれ異なるイメージを持っているので、会社目線の成長ストーリーを伝えても、投資家の思惑に合わない可能性があるのではないかと。そう考えたら、投資家の目線で弊社の成長ストーリーを見直すことも必要だと思ったんです。
例えば、弊社はそれまでHR(人的資源)を強みだと考えており、HRの領域で社会にもっと価値を提供できると考えていました。しかし、それは投資家目線であまり価値を感じられないんだと上場後に気付かされました。
導入の決め手はどんなことでしょうか?
桑野社長「投資家はどんなことを考えているんだろう?」と思い悩んでいた時期だったので、タイミングがドンピシャだったんです。上場後に少し時間が経ち、株価が伸び悩んでいる時でした。新たな成長ストーリーを投資家に向けて公表しましたが、思うような反応がなく解決策を探していました。
そんな時期だったので、既に上場しており投資家向けのメディアも運営しているZUUと組めば、投資家目線の成長ストーリーを描けるかもしれないと思ったんです。投資家目線でエクイティストーリーを考えられるのは、大きなメリットでしたね。
「自分たちの売りたいものを売るんじゃなくて、相手が欲しいものを売ればいい」という説明にも納得感がありました。弊社は初上場でIRに関しての知見が全くないので、IR資料を数多く手掛けているZUUに任せたいと思ったんです。
また、上場企業として事業規模を拡大していくなかで、幹部たちにはさらに成長してもらいと考えていました。鬼速PDCAは組織改善にも効果があると周囲の経営者から聞いていたので、幹部育成にも効果を期待していました。
導入効果①
投資家目線でエクイティストーリーを構築。
リテールテック事業のローンチ後には過去最大の反響に。
戦略設計のプログラムについて感想をお聞かせください。
桑野社長一般的なコンサルティングは「相手の意見を聞いて、答えを引き出す」ことが多いと思うんですけど、鬼速PDCAのエンジニアの方には「こうした方がいいのでは」という、今までの経験や知識に基づいた確度の高い考えがあるんですよ。
私の中にあるアイデアや方向性を十分に理解した上で「こういうことですよね?」と建設的な意見を数多くいただきました。当時はどのように進んでいけばいいのか明確にできず不安も感じていたので、とても心強く感じました。弊社のことをしっかりと理解して、導いてくれるような印象を受けましたね。
「さあ、どうしましょうか?」というヒアリングから入るのではなく、確度の高い提案で進めていただいたので、スピード感もあったように感じています。相談したときのレスポンスも早かったので助かりました。
リテールテックの戦略設計については、いかがでしたか?
桑野社長投資家や市場全体で見たときの事業の打ち出し方や、エクイティストーリーについては、とても参考になりましたね。例えば、携帯ショップの業務効率化について取り組んでいた事業を、小売業界全体の「店舗DX」の取り組みとして再定義することができました。
携帯ショップ以外の分野に進出したいという展望は以前からあったのですが、それはHR(人的資源)としての成長戦略だったんです。そうではなく、店舗の業務効率化を「店舗のDX」として新たに定義できたことは、大きな価値だと感じています。従来の価値観に囚われていたら、決して出てこなかった発想だと思いますね。
また、プログラムの中で他社の事例を色々と聞くことができたのも良かったです。やっぱり、私たちとは圧倒的に引き出しの多さが違うんですよね。世界のマーケットを考慮しながら「リテールテック」という新たなキーワードを出していただいたのは、プロジェクト全体にとって大きな前進だったと思います。
鬼速PDCAで設計したIRや広報活動について、感想をお聞かせください。
桑野社長リテールテックの事業自体を、よりブラッシュアップできたと思っています。ビジネスモデルの構築や目指すべき事業の方向性について、大きな影響を与えてもらっています。
「リテールテックプラットフォーム」の発表記者会見では、16媒体のメディアが参加して、個別取材も複数いただきました。取材理由としてリテールテックに興味を持っていただくことが多いようなので、まさに鬼速PDCAの効果ではないかと感じています。
上場後のIR活動はまだまだ改善の余地がありますが、取材の問い合わせ数でいうと過去最大の数値で、今までの倍以上の反響をいただいています。
また、プログラムの中でIRについての基本的な考え方を学ぶことができ、大いに参考になりました。今までは「投資家が自社の価値を勝手に判断してくれる」とどこかで思っていたのですが、それでは投資家に全く伝わらないんだと気付かされたんです。
「弊社のビジネスは単価がいくらで、これぐらいのシェアで、これだけの利益が」という誰にでも分かる計算式にして、ようやく伝わるということを改めて学びました。
エクイティストーリーで上手く伝えるためのコツやテクニックを、色々と吸収できたので良かったですね。
導入効果②
幹部育成のプログラムで目標達成のPDCAが加速。効率的な業務運営に向けて、思考プロセスを“見える化”する。
幹部育成のプログラムでは、“因数分解(※)”を実践するツールとしてマインドマップの使い方についてもレクチャーさせていただきました。導入後の活用状況はいかがですか?
※因数分解とは?
桑野社長MindMap(マインドマップ)は、幹部層を中心に事業予算を立てる場面で活用できています。主観的な考えではなく、客観的な数字をMindMapに落とし込んで会話ができるようになったので、数値管理の精度が高まったと実感しています。
また、日々のミーティングでは全社でMindMapを使うようになりました。物事を組み立てて思考するプロセスを、分かりやすく“見える化”できるので進捗状況を全メンバーが理解しやすくなったと思います。
今まではお客さんに喜んでいただいて満足している部分もあったのですが、その後の工程でもチームの連動性が出てきています。
成功に満足することなく、「この数字を出すためにはもっとこれをしなきゃいけない」「あれもしなきゃいけない」という風に、さらなる改善策がどんどん出てくるようになりました。社内のPDCAが自然と回るようになったのは大きな収穫です。
鬼速PDCAを組織改善にも活用されていますが、組織のどんな部分に課題を感じていたのでしょうか。
桑野社長事業を拡大しようとする時に、今まで10数年間の仕事のやり方や実績があるので、最適な事業運営をフラットな目線で考えられないと感じていました。どうしても過去の経験に囚われてしまう部分があったので、メンバーの意識を刷新したいと思っていたんです。
私は色々な経営者と話す機会も多く、意識が変わるようなインプットがたくさんあります。しかし、社内での業務だけではメンバーの視野が自然と狭くなってしまうのではないかと。弊社が上場企業として次のステージに向かうためにも、幹部層の視点をもっと広げたいと思っていました。
また、今までは目標達成のロジックよりも、行動・パッションで事業を進めていくことが多かったのですが、それではどうしても手数の勝負になってしまいます。そうするとリソースも時間も不足してしまうので、なんとか改善したいなと。
鬼速PDCAを導入してからは、目標とする数値 ( KPI ) からの逆算で考えられるようになり、とても効率的に事業を進められるようになりました。
例えば、「良い会社を作るために頑張ろう」という精神論ではなく、「良い会社は、こういう結果が出せる会社だ」という定義を作って、その要件をさらに細分化していくようなイメージです。幹部層の考え方や戦略設計についても、数字ベースに変わってきていると感じています。
今後の活用
時価総額300億に向けて、リテールテックNo.1企業を目指す。鬼速PDCAでより筋肉質な組織体制へ。
今後の展望についてお聞かせください。
桑野社長大きく二つあって、まず一つ目は経営者の視野を広げてくれることです。物事をすごく柔軟に見られるようになってきたのではないかと実感しています。特にリミッター外しのメソッドで、より大きな事業規模になった時のことを考えられたのは良かったと思います。
二つ目は、幹部層が自ら成長することです。経営者が変わるだけではなく、幹部育成も進めていくことで、組織に強力なレバレッジを効かせることができます。トップ層とミドル層の両方からアプローチできることに大きな価値を感じています。
鬼速PDCAは経営者と幹部層の両者を成長させ、組織改善を早期に実現する仕組みがあるので、自走できる組織を目指して今後も活用していきたいと思います。