2003年の創業以来、企業の映像コンテンツを創り続けてきたサムシングファン社。年間450社、1,600本の映像を制作し、マルチメディア展開や効果測定など、戦略的な動画活用にも取り組んでいる。
オウンドメディア一体型のコーポレートサイトは月間100万PVを獲得。豊富な実績とノウハウを活かした「動画クリエイター派遣」の新規事業も好調で、動画制作の内製化支援が注目を集めている。
導入後に売上を大きく伸ばし、「鬼速PDCAは即効性がある」と感じている代表取締役CEOの薮本直樹氏に、導入の経緯や活用状況について伺った。
導入の経緯
成長のメソッドを明確に言語化するプログラムに共感。
鬼速PDCAの伴走で、中期的な経営戦略を構築したい。
まず最初に導入の経緯についてお聞かせください。
薮本社長弊社は2016年に上場企業のグループ傘下に入り、2020年4月に独立しています。その4年間は、中期計画や事業の方向性を一緒に決めるスタイルだったのですが、独立後には再び自分がオーナーシップを持って中期ビジョンを策定する必要が出てきました。
コロナ禍で人々の考え方やコミュニケーションの環境が、大きく変わっていく節目だと考えたときに、私たちの想像の範囲内で中期計画を立てるのは不十分だと感じました。もっと様々な視点で、今後のビジョンを策定していく必要があると思っていたんです。
経営の視野を広げるにはどうしたらいいのか、と考えていたときに偶然出会ったのが鬼速PDCAです。経営者の知人に誘われて、まずは勉強会に参加してみました。課題を“因数分解”して、成長のスピードを高めるメソッドが、とても分かりやすいと感じましたね。
勉強会が終わってからも、そこで学んだ内容がずっと気になっていました。中期計画で悩んだときには、書籍の「鬼速PDCA」を読んでみたり。メソッドへの理解を深めていくうちに、もしかすると私たちの会社に合っているかもしれないと思うようになりました。
鬼速PDCAのどんな部分が御社に合っていると感じたのでしょうか?
薮本社長弊社は多くのクリエイターが所属する組織で、経営陣にとってはクリエイターマネジメントがコアな業務だと思っています。つまり、経営陣がクリエイターとの間に、どれだけ信頼と尊敬を築けるかが重要なんです。そのため、弊社のクリエーターが受け入れられないようなメソッドは導入できないと感じていました。
例えば、他社のサービスでは会議への全員参加が求められることもありますが、クリエイターにとっては沈黙も1つの意思表示です。
一方、鬼速PDCAは企業にとって最適なかたちを見つけながら、エンジニアが一緒に伴走するサービスなので、クリエイターたちにも受け入れられると感じました。
導入の決め手であり強く共感したポイントは、鬼速PDCAの徹底的に言語化していくスタイルです。鬼速PDCAでは課題を言語化して、とことん“因数分解”で掘り下げていきます。そのスタイルが私たちには最適だと感じました。
言語化については弊社でも、「お客さまの価値を映す」というビジョンの元、徹底的にこだわっています。成長のメソッドを曖昧に伝えるのではなく、具体的な方法を言語化し、誰でも実践できる仕組みを構築していることが興味深かったですね。
導入効果①
「思考の壁」を打ち壊し、経営者のポテンシャルを最大化。5年後の成長ビジョンが明確になる。
プログラムの中で重点的に取り組んだ内容についてお聞かせください。
薮本社長一番の課題であり、導入前に悩んでいたポイントは「自分の思考の壁を本当に取り払うことができるのか?」ということです。鬼速PDCAの導入には一定の金額を投資するので、経営者である自分のポテンシャルを最大化できないと意味がありません。
実際のプログラムの中では、KGIをどの高さに置くかということが、ものすごく重要なポイントだったと思います。
導入前まで、中期計画や経営ビジョンを考えるときには、実現可能な下からの積み上げで最終的なKGIを設定していました。いわば堅実な思考法で、リスクが少ない代わりに大きなリターンもありません。
そのため、“リミッター外し”のプログラムで将来的な売上100億円を想定するとなると、途端に現実味がなくなるというか。KGIを思いっきり上方に設定したつもりでも、そのベースになっている考え方は今までと変わらない現実的な積み上げ式でした。そのため、最初はジャンプする地面も無いのに、思いっきり跳んでいるような感覚でしたね。
しかし、プログラムを続けるうちに「思考の壁」を打ち破るブレイクスルーが訪れました。それは、ゴールに向かってジャンプするのではなく、上からスカイダイビングをするようなイメージです。
スカイダイビングのように上から全体を眺め、最終的な着地点(KGI)を確認してからそれぞれのマイルストーンを決めていけばいいんだと。 “リミッター外し”で達成したいゴールをしっかり見定め、そこから逆算することが、中期計画の最適化につながることに気付いたんです。
全てのポテンシャルが解放されたとは言えませんが、5年後を見据えた中期ビジョンに現実味を感じるようになりました。自分の「思考の壁」を打ち壊せたのは、ものすごく貴重で新鮮な体験になったと実感しています。
リミッターを外してからの戦略設計についても、感想をお聞かせください。
薮本社長“リミッター外し”で非常に大きな目標を設定したことで、各事業の展望が一気に広がっていきました。全社でのKGI達成を目指す中で、事業の水平展開や新規事業の戦略設計など、新たなフレームで各事業を進められるようになったと思います。
今までは新規事業についてKGI、KPIを決めたものの、KDIが全くイメージできなかったんです。しかし、鬼速PDCAの導入によって全体のビジョンが明確になったので、KDIの解像度もかなり上がってきました。
新規事業の「動画クリエイター派遣」についても、構想で終わらせるのではなくKDIにまでしっかり落とし込めたのは大きな収穫だと感じています。
そして、今やっていることを軸にKDIを積み重ねていけば、結果的に新規事業のKPIも達成していける。このことに確信を持てるようになりました。
新規事業を担う社内リソースについても、気付きがあったそうですね?
薮本社長そうですね、今までは新規事業がスムーズに立ち上がるイメージを持てたとしても、それを担う事業責任者などのリソースが足りていないことが課題でした。その解決についても、鬼速PDCAのKGI、KPI、KDIを切り分ける考え方が、大きなヒントになっています。
最初から新規事業に独立した人員を充てていく必要性がないのではないかと。現在は、興味や関心のあるメンバーが、既存事業と兼任しながらサービスの立ち上げを担当しています。ある程度KPIが達成できたときに、事業として立ち上げて専任者をつけることが、KPIの視点では最適だと考えられるようになりました。
導入効果②
事業部間のチームビルディングが活性化し、前年対比で売上165%の成長を記録。
組織として効果を感じているのは、どんなことでしょうか?
薮本社長何よりも、描いた中期計画が絵に描いた餅ではないという実感値ですね。KPI・KDIを積み上げていけば、「高い山でも必ず登ることができる」という感覚を持ち続けられます。その確信をメンバー全員で共有し、モチベーション高く事業を進められるのが大きな効果だと感じています。
やっぱりその確信がないと、出し合うアイデアがありきたりな内容になったり、無難な内容に収まってしまうと思うんですよね。今はKDIに意味があるかどうか、その先にあるKPIにどんな意味があるのか、ということを常に意識するようになりました。
できないことはアイデアとして出てこないですし、逆に出したことに関してはやり遂げられるという自信や使命感にもつながっていると思います。
KDIの質が全社で高まったことにより、導入後の4か月(2021年4〜7月)には、前年対比で売上165%を達成することができました。組織の改善は鬼速PDCAがベースになっているので、導入後の即効性を大いに感じています。
また、ある事業部のKPI達成率が高まると、他の事業部でもそのKPIを有効活用することができます。つまり、事業部の垣根を越えてその資産やリードを共有し、KGI達成のスピードをさらに加速させることができるんです。
導入後にはそういった横軸のコミュニケーションやチームビルディングが、非常に増えたと思いますね。コミュニケーションの質についても、目標達成に向けて高まっていると実感しています。
導入後の組織への浸透についてはいかがですか?
薮本社長マネジメントメンバーに関しては、鬼速PDCAがしっかりとインストールできています。各事業部についても、“課題解決型ミーティング”を取り入れて、週次のアップデートができるようになった手応えがあります。
今までの報告と共有をベースにする会議が、KPI・KDIを軸に話し合うミーティングに変わりました。事象を報告するだけではなく、その事象の課題を出し合って、仮説や解決案を出し合うようになっています。
鬼速PDCAの根本となるKPIやKDIの質と量を、週次でアップデートして改善できているのは大きいと思います。メンバーが自発的に様々な課題へ目を向けられるようになったことは、マネジメントする立場として非常に大きな導入メリットです。
会議資料にMindMap(マインドマップ)を入れ込むなど、可視化できる仕組みも取り入れることによって、メンバーの姿勢や考え方の深さが目に見えて変わってきていると感じます。
以前は、場当たり的に改善策を考えていたのが、今は各自がPDCAを回しながら精度の高い解決案を出すようになりました。週次で新しいアイデアや取り組みをやっていく中で、最適なソリューションを見つけていけると思っています。
全ての課題に対して改善策がすぐに用意されるわけではありませんが、社内でKDIの質を高め続ける仕組みを作ることができたので、いずれ最適なソリューションを見つけられるという確信があります。
今後の活用
鬼速PDCAでワクワクするカンパニーストーリーを。
新規事業で12億円のビジョンを達成していく。
今後の展望について、お聞かせください。
薮本社長弊社は「お客さまの価値を映す」動画制作を強みにしているのですが、今後は動画の活用部分へさらにフォーカスしていきたいと考えています。
今回のプログラムで弊社の事業を深掘りしたときに、私たちはどこまでいってもコミュニケーションの会社なんだと気付かされました。それをさらに推進し、コミュニケーションのDX化にコミットしていきたいと思ったときに、「最大の武器は動画」だと再認識できたんです。
そのビジョンが見えたときに、市場規模やタイアップできる企業などのイメージが一気に広がっていきました。鬼速PDCAを提供しているZUUが既に上場していることもあり、投資家や市場も意識しながら戦略設計できたのはとても良かったと感じています。
今後は自分たちのポテンシャルを最大化して、お客様の成長にコミットしていきたいですね。それが結果としてKGIや、達成したい市場規模っていうところにつながっていくと思うので。継続的な成長で、メンバー全員がワクワクするカンパニーストーリーを目指します。
新規事業で目指している目標についても、お聞かせください。
薮本社長「動画クリエイター派遣」の新規事業は、売上規模が月商で数十万〜数百万円からスタートしています。しかし、鬼速PDCAのプログラムが終わってすぐの段階で大きく成長し、現在は月商ベースで800万円を超えてきました。
今後の5年を考えたときに、堅実な成長ではなく12億円という大きな目標に向かって突き進んでいます。おそらく、鬼速PDCAを導入していなければ、誰も12億円なんて信じることなく、「がんばって2億円にしよう」みたいな感じだったと思うんです。
しかし、鬼速PDCAの考えが既に社内に根付いているので、その数字が実現可能で手応えのある目標として感じられるようになりました。明確なゴールに向かって、みんなが同じストーリーを見られるようになったことは、大きな収穫だと感じています。