リミッター外しで黒字転換
経常利益100億「夢じゃない」

ウォーターワン株式会社

代表取締役社長船木 拓志氏

2023.2.1

全国で介護福祉事業や携帯電話販売事業などを展開するウォーターワン。鬼速CXOを受講し、1年で赤字事業を黒字に転換した社長の船木拓志氏に、鬼速を導入した背景から印象に残った取り組み、社内や事業の変化、今後の展望までを語っていただいた。

企業情報

ウォーターワン株式会社
本社所在地
〒220-0023
横浜市西区平沼1-1-3 合人社高島橋ビル6F
代表取締役社長
船木 拓志
事業内容

移動体通信事業、テレマーケティング事業、介護事業、情報通信事業、放課後等デイサービス事業、広告宣伝カー事業など

従業員数

720名(パート・アルバイト525名含む)

企業サイト
http://www.waterone.co.jp

※プロフィール情報は取材時(2022年12月)のものです。

導入の経緯

グループ月間利益3,000万円の壁   PDCAの方法に課題があった

鬼速を導入しようと思ったきっかけについて教えてください。

船木社長弊社では半年に1回、社員がコミットメントシートに思っていることを自由に記載します。5〜6年続いていますが、残業をなくすとか、稼働率100%を目指すとか、健康を大切にするとか、内容は社員によってさまざまです。

私は、「ウォーターワン チャンピオンズリーグ」という当時36あった事業所・店舗の収益表で、グループ全体の月間利益目標を3,000万円として掲げていました。毎回惜しいところまではいくのですが、ずっと到達しませんでした。

当時は、会社全体に目標が共有されておらず、無理して伸ばさなくてもいいという雰囲気があったような気がします。各事業部は方針が不明確で、経営サイドも忙殺される時間が多く、将来を考える余裕がなかったのです。

PDCAの方法に課題があると感じて鬼速PDCAの本を読んだところ、会社で実践してみたいと思うようになり、問い合わせをしました。

プログラムの料金を聞く前は事業部長クラスに受講してもらうつもりでした。しかし、事業部長クラスは7〜8人いるので、全員分の講習費を支払うのは現実的ではありません。

話し合った結果、社長の私が経営者向けの「鬼速CXO」を受講し、内製化することになりました。このような講座を受けるのは、実に10年ぶりぐらいでしたね。

最終的な決め手は、キックオフの前に受けたプレゼンテーションです。弊社でもPDCAサイクルを効果的に回せると思いました。

社長の冨田さんから話を聞けることも魅力的でした。1回目と最終回に社長が来られるとなった時は、本社でお会いして受講したいと希望しました。ZOOMでも受講できましたが、直接会って話すのとは全然違いますからね。

導入効果①

リミッター外しにどよめく社員 マインドマップで道筋が見えた

鬼速CXOの取り組みで印象に残っている部分についてお聞かせください。

船木社長リミッター外し”が印象に残りました。目標は単純にゴールだと思っていたので、通過点だと捉える考え方に感動しています。

最初の目標は経常利益22億円でしたが、自分自身のリミッターを外した結果、経常利益100億円になりました。「え、利益ですか?売り上げなら・・・」と社員がどよめいたのを覚えています(笑)。

「マインドマップ」も衝撃的でした。ビジネスでは、課題が多いと何から手をつけるべきか迷ってしまいがちです。そこで、各事業部の業務をマインドマップで因数分解して、最重要課題を3つまで絞ることに。タスクと期限が明確になり、確認すべき点もシンプルになりました。今ではほとんどの幹部が、事業を整理するためにマインドマップを使っています。

マインドマップの作成方法は、私が講習で習った内容を社員に細かく教えました。いつの間にか社員がYouTubeでも学ぶようになり、今では私の知らないマインドマップの使い方を駆使しています。 “工数棚卸し”も印象的でした。管理職はどうしても、自分だけで仕事を抱えてしまいます。その点、新しいことを始めるときは、自分の仕事を整理して不要な業務を削るという発想を知れてよかったです。

タイムマネジメントの3大原則

「工数棚卸し」という鬼速用語はブームといえるくらい社内で使われるようになりました。「忙しいのでここは工数棚卸していきます」というように、鬼速用語が共通言語として飛び交っています。

導入効果②

因数分解で見えた課題をクリアして黒字転換 新事業にも挑戦できた

鬼速のメソッドを活用して各事業に変化はありましたか?

船木社長劇的に変わったのはテレマーケティングのコールセンターです。1年前は商材不足が原因で赤字でした。コールセンター長が忙しくて、商材を見つける時間を取れなかったことが原因だとわかりました。

そこで、社長室の西村と新入社員2人がネットで情報収集したり電話をかけたりして商材を掘り起こしました。コールセンターのある八戸や和歌山で始めたところ、どんどんお客さんを探してくれました。チャンピオンズリーグの売り上げは、先月は八戸、今月は和歌山がトップになっています。

現在のグループ数(事業所・店舗数)は50なので、まぐれではトップになれません。因数分解で課題を明確にしたことが成果につながりました。

介護事業の一織庵ではどのような課題がありましたか?

船木社長高齢者デイサービスセンターの一織庵(いおりあん)では、人手不足が課題でした。

介護業界には生活相談員などスキルの高い人材が大勢いますが、離職率が高くなっています。介護人材のビジョンが介護施設のポリシーと合わないことが主な原因です。

そこで2023年に福祉マッチングサービスを立ち上げることにしました。介護人材には介護施設などで試しに働いてもらい、自分に合っているか確かめてもらいます。施設側も実際に働く姿を確認できるので、ミスマッチが起こりにくく、雇用が安定しやすくなるというわけです。

新たな事業が思い浮かんだのは、マインドマップによって課題を整理できたからだと実感しています。

介護分野ではネパールの特定技能人材が注目されていますよね。外国人材は活用されていますか?

船木社長介護事業でも数人雇用していますが、弊社では携帯電話事業で多くの外国人を雇っています。

外国人労働者が来日して最初に必要とするのは携帯電話です。ただ、日本語がわからないと購入場所や搭載機能などを把握しづらいですよね。そのため、母国語を話せる外国人材のサポートが必要になります。

実は、外国人にターゲットを絞る方針もマインドマップがきっかけになっています。

日本人に売る場合はどうしても競合が多くなるので、今後増えると予想されている外国人にアピールするほうが効率的だとわかってきました。

コインランドリーの「フトンを洗ってねたろう」はどうですか?

船木社長フトンを洗ってねたろうは1店舗目が横浜の本牧にあり、同業者から成功モデルにさせてほしいと取材を2回受けています。テレビのロケの依頼も2回受けており、最近では2店舗目もオープンするなど業績が好調です。

コインランドリーで敷布団が洗えるのが最大の特徴ですが、布団洗い自体はそこまで流行っていません。カーペットを一括で洗うケースも多いですが、基本的には一般的なコインランドリーとして利用されています。

普通の洗濯機よりも大きいので、一度にたくさん洗いたい人のニーズにマッチしているのかもしれません。目立つ店舗やカフェ風の内装、ネーミングなども好業績につながっているようです。

導入効果③

リミッター外しで「3,000万円の壁」を突破、さらなる高みへ

鬼速の導入後に数字の変化はありましたか。

船木社長2022年度は新型コロナウイルスの影響下にもかかわらず、月間利益が念願の3,000万円を超えました。

引き続き、2023年の目標を3,500万円、2024年の目標を5,000万円に設定しています。すでに5,000万円の達成も見込んでおり、次の目標は8,500万円です。

利益増の流れにともないグループ(事業所・店舗数)も増えました。当社のグループランキング表には今までセリエAとセリエBしかなかったのですが、現在はセリエCも登場しました(全グループを3つに分け、それぞれで利益のランキング表を出しています)。

一番伸びた部門はコールセンターです。年間では、赤字から黒字になり2,000万円の利益に変わりました。前年比141%成長です。

振り返ってみると、和歌山のコールセンターは絶体絶命で、勝負を諦めたほうが懸命だという空気でした。

世間では奇跡は起こらないとよく言われます。しかし私たちは、発想や工夫次第で大逆転を起こせると信じ、窮地を脱しました。ちなみに、和歌山のコールセンターにおける2022年11月の利益は、250万円ほどになっています。

鬼速PDCAの仕組みや考え方に出会えたおかげです。今や全員がリミッターを外しており、社員が目標にたじろいでいた姿が懐かしく思えます。

今後の展望

鬼速を次世代に継承 経常利益100億に向け海外進出も視野に入れる

今後の展望について、鬼速の活用も含めてお聞かせください。

船木社長私個人の目標としては、ネクストジェネレーションを育てることを掲げています。今の世代が鬼速を有効活用できたとしても、次の世代に継承できなければ意味がありません。

そこで「デッドラインミーティング」という取り組みを始めました。事業部長が月に1回集まって会社の現状を共有しています。いわば取締役会みたいなものです。事業拡大を見越して、各事業部の後継者だけを集めた会議も開催しています。

鬼速は、幹部クラスでは浸透していますが、会社全体にはまだ浸透していません。今後は、末端の従業員にも考え方を根付かせたいと思っています。

事業拡大のために、やりたいと考えていることがあれば教えてください。

船木社長弊社では介護事業や携帯電話販売事業、コールセンター事業、その他の新規ビジネスを展開しています。50グループで720人が働いていますが、現状の規模では経常利益100億円は難しいです。

そこでハワイを拠点とした海外戦略も検討しています。日本の景気は良くないように思いますが、世界ではいろいろなチャンスが転がっているからです。近い将来、国内でウォーターワンホールディングスを作って、ハワイにホールディングスを移行するのもいいかなと考えています。

介護事業では主力である一織庵をはじめ、放課後デイサービス「もえぎのクローバー」も拡大路線に乗せておきたいです。もえぎは、なかなか売り上げが伸びず、新しいブランドを立ち上げました。もえぎと似ていますが、小学生ではなく未就学児童や障がいのある子を預かります。対象年齢の幅を広げて利用者を増やす狙いです。

このように事業の展望が開けたのは、経常利益100億円という目標を掲げたからだと実感しています。鬼速に出会ってリミッターを外したことは、私の中で大きな転機になりました。

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