重度訪問介護で圧倒的な成長を遂げた株式会社土屋。ZUUの「鬼速PDCA」コンサルティング導入後、経営戦略に大きな影響を与えた従来の介護業界の常識にとらわれず、「リミッター外し」の思考で目標を大幅に引き上げ、スターバックスの接客哲学からヒントを得て、利用者やケアマネージャーとの「信頼」を深める独自の戦略を構築した。
コンサルを通じて、特に「リミッター外し」の効果について実感しているといい、売り上げ70~80億円ほどの時点で、目標として5年で500億円 を設定。さらにその後、代表は「1000億」という、より大きな目標を発信するようになったという。その上で、定期巡回サービス事業を担当されている常務取締役の高浜将之氏は、「たとえ2000億円という目標を掲げても、社内から『絶対無理』とあきらめの声は社内含めて上がらないと思う」というほどに意識が変化している。
個人の思考力向上と組織全体の成長を両立させる具体的な取り組みと成果について、常務の高浜将之氏に詳しく聞いた。
企業情報
- 株式会社土屋
- 本社所在地
- 〒901-1202
岡山県井原市井原町192-2 久安セントラルビル2F
- 代表取締役社長
- 高浜 敏之 (たかはま としゆき)
- 事業内容
-
障害福祉サービス事業及び地域生活支援事業、 介護保険法に基づく居宅サービス事業、訪問看護事業、研修事業、シンクタンク、出版事業
- 企業サイト
-
https://tcy.co.jp/
※プロフィール情報は公開時(2026年3月)のものです。
導入のきっかけ・感想
「鬼速」のインパクト KDIを設定しても気合いだけではダメ
ZUUを知ったきっかけをお聞かせください。
高浜常務 弊社の前CFOが冨田代表と学友で、書籍『鬼速PDCA』の本が売れていることを知っていたことです。
まず、PDCAやKPIという言葉は一般的ですが、「鬼速」が強烈で名前がインパクトあるなという記憶があります。特にKGIやKGIではなく、御社のネーミングでいうKDIや、一般社会で「要素分解」と呼ばれることを「因数分解」と呼んでいる点を知り、その内容にきわめて強烈なものを感じました。
KPIを達成するためにKDIを設定しても、結局KDIで何をやるかが明確でないということはよくあります。設定だけされて「やらなければ」と気合だけ入れても達成できない。そのためにどうするのか、というところをもう一歩踏み込むこと。何かが起こったときに一歩踏み込むこと。そして細かく一つひとつ見ていくことが大事だと、改めて本を読んで感じました。
導入効果1
自分たちだけでは、あそこまで思い切ったリミッター外しはできない
コンサル期間を通して印象的だったことは?
高浜常務
二つあります。一つは2週間に1回コンサルティングをしていただいた期間、脳みそが課題に対して深く集中していったこと。寝ているときにも脳みそを使って、寝ている間にアイデアが出てくる感覚は、初めての経験でした。寝ている間にマインドマップのロジックツリーが頭に浮かび、朝起きて「忘れないうちに書き留めなければ」ということがありました。私は性格的にこまかいほうではないのですが、コンサルタントの方々とマインドマップを広げながら、事業の状態を細かく見ていく中で、自分自身の思考レベルが高く引き上がっていくことがわかりました。
もう一つは「リミッター外し」です。自分たちだけで考えたのでは、あそこまでの外し方はできない。常識からだいぶ外れた角度からの提案を受け、言われた瞬間は驚いても、考えてみると、「ありかもしれない」と思えるような視点の切り替え、視座の転換は非常に面白かったです。
実例としては、売り上げ70~80億円くらいの時に、5年で500億円という目標を設定した時でした。普通の考えでは到底実現不可能な目標を設定し、「この状態になった時の土屋や事業部はどういう組織、どういう価値を提供できている会社になっているか?」そして「これをやるためにはどうしたらいいか?」と考えたことで、自分達の思考の枠組を取り払って、「意外とできるかもしれない」と思えたことがポイントだったと思います。
今では売り上げ500億円ではなく、1000億円という数字を弊社代表も発信するようになったので、さらにその上を目指していますね(笑)。
仮に目標が今後売り上げ2000億円となったとしても、「それは絶対無理だ」とあきらめの声は社内含めて上がらないと思います。むしろ「夢があるな」「想像できないことを目指そう、そこまで行けたら良いよね、その土台を作りたいよね」という感想になるかと思います。
こまかい性格ではないとのことですが、ご自身の考え方や行動思考の方法が変わったと感じられたのでしょうか?
高浜常務
ええ。それまで部下に「来週までにこれやっといてね」と軽く指示していたところが、「来週までにこれをやってほしい。そのためには何をしたらよい?」とコーチングのようなスタイルで指示出しするようになりました。
結果の報告についてもただ報告を受けていた状態から、プロセスを含めて、「何を課題と捉え」、「何をやろうと決め」、「結果としてどうだったのか」という部分まで、確認するようになりました。結果、より深いレベルの課題や行動計画についても把握できるようになり、クリティカルな指示出しができるようになったと思います。
● ZUU コンサルより
代表・常務ともにパワフルで頭の回転が早い方で、こちらも圧倒されるほどでした。一例を上げると重点課題を設定したら、翌週にはその重点課題を解決に向けてすでに動かれ、手離れされていたので、さらに先手を打つ必要があり、コンサルにとってもチャレンジングでした。
導入効果2
マックでも、地元のコーヒー店でもなく、スタバを目指す
ミーティングでのご提案内容で印象的だったことは?
高浜常務
毎回のミーティングでは、事前に事例を持ってきていただき、様々な角度で提案をしていただけたのが、非常にありがたかったです。
印象的なのは、今後の事業運営の参考とする事例の中でスターバックスの経営方針や運営方針、取り組みについて聞いた事です。「介護事業とスタバになんの関係が?」と最初思ったのですが、要点を聞いていくうちに類似性があると感じたのです。
スタバが目指すのが「サードプレイス」というのは有名な話ですが、スタバの接客と我々介護業界が目指している接客は非常に近いことを、資料とご提案から強く感じるようになりました。
たとえばマクドナルドとスターバックスの違いは明確だと思います。マクドナルドは基本的に定型の接客であり、スターバックスは礼節を大切にしながらも親しみを感じられるような、ある種、無理なく距離を詰められるような接客です。
我々介護業界は、最終的には相手の信頼をつかまなければなりません。「この人にだったら安心して任せられる」という状態が、我々が望む接遇です。
ただ丁寧にやっているだけでは信頼には至りません。信頼されるには距離を詰めなければならない。何かあったときに「困ったから手伝ってくれない?」と言っていただけるようになるには、礼節を保ちながらも、親しみを持った接遇が必要。その意味で、介護業界とスターバックスが目指しているところが、接遇面において非常に近いということに気づけました。
マネージャーたちにも、「我々介護業界におけるマクドナルドは目指さない、スターバックスを目指そう」と伝えるようになりました。同時に「こだわりのコーヒー店も目指さないよ」とも伝えています。
こだわりのコーヒー店というのは、接客や親しみやすさではなく、とにかく味で勝負する、美味しいものを出すから来てくれ、というようなたとえでしょうか。
高浜常務そうですね。介護業界は、大手よりも小規模事業者のほうがはるかに注目されやすい不思議な業界なのです。海外から視察が来る事業者さんでも、だいたい1事業所しかやっていない。それは、事業を広げることよりも、その場所を作ること、その機能を高めることにすべてのリソースを割くためです。
もちろんその方針の価値は認めますが、私たちが目指すのは、規模を広げた上で、一定のクオリティもあり、なおかつ地域にもなじめるような事業所を作っていこうということです。
● ZUU コンサルより
スタバの接遇については、当社からご提示させていただきました。
実は重度訪問介護についてリサーチを行うと土屋グループの総合研究部門である土屋総研の情報が必ず上位にヒットする状態で、企業様に常に先回りされている感覚で、ご提案内容を充実させる事が非常に難しかった事を覚えています。常務と取り組んだ定期巡回サービスについても比較的新しい産業で、まだどの会社も確固たる成功モデルが確立できていない市場でした。
「同業種は参考にならない」と判断し、事業グロースに向けた必要な要素について、再度因数分解を行い、結果、必要な要素として次の3つを特定しました。
1:マニュアルではなく、従業員個人の特性を活かしたサービスを提供しているモデル
2:サービスクオリティが高いとされるモデル
3:その上で多拠点展開しても質を保つ事ができるモデル
この結果、スターバックスの事例がまさに該当すると判断し、ベンチマークとするモデルとして、ご提示したところ「とても納得感が高い」と喜んでくださいました。
導入効果3
数字で管理する運営体制へ
介護で全国展開している事業者は多くないのでしょうか?
高浜常務全国に展開している事業者さんもあります。スタバを目指そうというのは、大手事業者と、1事業所だけ持っている事業者との中間を目指そう、という意味合いです。
当然ながら、事業を成長させない限り展開はできません。売り上げも立てて、利益を出しながら、しっかりと全国に展開するというストーリーを語っています。
コンサルをしていただいていた時期は過渡期で、セグメントとしてのKPIは明確で、達成するための道筋も見えていないわけではなかったのですが、当時のステージからすると、まだまだ事業自体の認知度が低く、なかなか思うように数字が伸びきらなかった。
そこで事業所の状態、特性、プロセス等、多面的に因数分解を行い、各事業所の状態にあわせた、ゴール、KPI設定を行ったほうが納得性が高いということが明確になりました。その計画は御社に入っていただけていなかったら、多分作れていなかったと思います。
我々の事業は特殊です。サービスはBtoCであるのにもかかわらず、営業はBtoB。使う人がサービスを選んでいない。真ん中にいるケアマネージャーと呼ばれる人たちが選ぶ。営業する相手とユーザーが違うという不思議な業界です。
ケアマネージャーさんというのも、ある意味不思議なポジションで行政のような役割に近い立場の人達だと思っています。完全中立という位置付けながら、それだと誰に対してどうサービスを振り分けていくのかと考えた時に、やはりその人たちにいかに信頼されるか、ということが結局は一番重要になります。
信頼の基準は指標化しにくいですが、一つの目安として、ケアマネージャーさんとの関係性について構造化を進めています。こうした取り組みができたのは、コンサルティングを受けたからこそです。
それで今は事業所ごとにKPIのようなものを立てているのですね。
高浜常務相談をしてもらわないと新規の契約につながりませんが、新規の契約を取ることと、相談をしてもらうことは、似ているようで違います。今は相談を取るということをKPI化していて、数字で管理できる運営管理ができるようには、この1年でなったと思います。
ある事業所の例ですが、相談数は基準内だが、成約率がきわめて低いという事例がありました。そこでマネージャーとともに成約率に関連する因子を因数分解して、抽出された課題に集中して指導を行いました。結果約2ヶ月で成約率が急激に上がりました。以前は、訪問件数を基準にしていたので、回る件数にだけ目が行き、「とりあえず回ればいいだろう」と中身にこだわっていなかった事が考えられます。もちろん訪問数も重要ですが、それでは成約につながらないため、中身に焦点を当てたことでブレークスルーを引き出すことができました。
結果、相談件数が増え、契約につながりだしたことで、地域のケアマネージャーさんたちから信頼を得られるようになってきたのは間違いないと思います。信頼されているからこそ、何か困ったときに相談が来るわけですから。
総評
会社の将来を担う人材には受けさせるべきサービス
総合的にZUUのサービスに点数をつけるとしたら何点ですか?
高浜常務80点だと思っています。あと20点はZUUさんの問題ではなく、私たちの方針転換で立案した事業計画がそのままにはできなくなってしまったからですね。あと反省としては、いろいろ調べていただけるのだったら、「もう少しこういうことも調べてほしい」ということを事前に共有しておけばよかったなと思います。
コンサルサービスを使おうか迷っている方も多いと思います。こういう人にオススメだというアドバイスをいただけますか?
新垣社長あります。特に昨年くらいから良いM&A案件が来ています。競合も増えているので何とも言えませんが、着実に成長できているという実感はしています。ZUUのコンサルティングで得た知見が、M&Aの判断基準や統合プロセスにおいて非常に役立っています。
ZUUのコンサルティングを振り返って、点数をつけるとしたらいかがですか?
高浜常務社内で将来的にこの人には活躍してほしいな、と思っている人に使わせるべきだと思います。
会社は結局、人だと思います。リーダーシップを取る人間が何を考え、何を進めるのか、その思考パターンも含めて、会社、事業に影響します。
最近知ったのですが、日本の企業は欧米の企業に比べて、人的投資への額が大体10分の1くらいだそうです。企業として生き残っていくために、どこに投資しなければならないかというと、結局は中心人物になる人に対してどう投資するかだと思います。
ZUUさんのサービスの最大の特徴は、個人の思考の幅を広げ、深みを作ることだと思います。この人に事業で活躍してほしい、事業の責任者になってほしい、会社の将来的に役員クラスになってほしい、という人たちには、私がお勧めしたいです。
ZUUコンサルより
後日談として常務が「社内で、スタバを目指せ!と発破をかけていた事により、マネージャーの皆様が何度もスタバに足を運んでサービスの研究をしていた」というお話を聞くことができました。
鬼速PDCAはPはもちろんですが、DCAの部分、特に行動の変化を重視しています。常務だけでなく、マネージャーの皆様の行動に変化を促す一助になれたことは、コンサルタント冥利に尽きます。今後の事業グロースについても、引き続きご支援できればと考えております。