日系企業はグローバルな地平での「存在感」を上げるべし

ヘルマン・サイモン氏は「日本企業には技術力がある。日立やホンダは世界級の企業がある。しかし、弱点はグローバルな存在感についてだ。将来的にグローバルな経済で重要な地位を占めるであろう「グローバリア」で活動するには、技術力を生かし、弱みはグローバルの存在感だ」との趣旨で発言。日本企業の世界市場での存在感の低さを補うことでさらに強力な事業展開もできるのではないかとの示唆が示された。

同氏はほかにも、日本の製造業の長所と課題にも言及。自動車や電気機器産業ではなお競争力を日本は保持しているものの、言及によれば、日系企業では、欧米の企業に比べて中央集権化されているという。さらに、分散型の構造に改めることで、特に、マーケティングや販売などの機能で、「グローバリア」の需要にアプローチできるとの解説が展開された。


マーケターはセールスマンから「交渉」について学べるのでは?

ドン・シュルツ氏は、主要課題については動き始めたばかりだと指摘。マーケティング分野においては「交渉」についてはあまり取り扱ってこなかったとした上で、交渉事の重要性を示唆した。現在見通されるような時代には、価格は交渉可能になるか、さもなければ消費者が離れていくだけだと同氏は解説した。

同氏のスピーチによれば、消費者が情報にアクセスでき、市場で何が起こっているか知っているような時代には、新商品の比較が可能になり、交渉にかかわらざるをえなくなるという。だとすれば、「マーケティングにおいては、セールスマンから学ぶことが大いにあるだろう」との趣旨でシュルツ氏は発言を締めくくった。

また、パネル討論に先立って行ったスピーチでは、マーケティングの新たな動きについて、組織内の問題であることを同氏は強調しており、今後、ビジネス組織に求められるであろう諸課題をどのように企業に根付かせていくかが問題となりそうだ。