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今年リリースしたゲーム「パラダイス・ベイ(写真=King)


翻訳だけがローカライズではない 日本のユーザーにこそ喜んでもらえる工夫

日本法人の役割として主に企業戦略、ローカライズ、マーケティングを分担して担っている。アジアではほかに中国、韓国に拠点、シンガポールに開発スタジオがあり、日中韓は同じくらいの時期に立ち上がっている。

世界的な企業の日本法人代表立ち上げ。単に「これがやりたい」と起業するとは違いそうだが、その点について尋ねると、「たしかに自分が起業した会社ではないですが、意識としてはスタートアップ、起業だと思ってやっています。ベンチャーマインドにあふれる会社で、毎日どきどきわくわくしています」と答えてくれた。港区の住宅街にあるオフィスは、ゲームの世界さながらのポップで楽しい雰囲気に包まれ、まさにベンチャー、スタートアップといった雰囲気だ。

海外で開発されたゲームのローカライズとは、たとえば英語を日本語にするといったことなのだろうか? 枝廣氏はそれだけではないといい、「たとえば画面の中に富士山を入れたり、ゴールデンウイーク期間には鯉のぼりを出してイベントをしたりといったことを含めて、細かな工夫を多数施しています」と説明する。

世界でウケたタイトルが日本でも受け入れられる保証はないわけで、そうした細部へのこだわりが、世界でも競争の激しい日本市場で支持を受けている理由なのかもしれない。
マーケティング面ではTVCMの内容、起用するタレント、イメージ戦略などを総合的に決めている。「キャンディークラッシュソーダ」のCMに関ジャニ∞を起用したことがきっかけで、パラダイス・ベイも同グループの村上信五さんが出演している。


なぜパズル以外のゲームに進出したのか

代表就任から1年半ほど、ビジネスは順調のように見えるが、「思いどおりにいかないことは?」という問いに対して、「(トレンドの)流れが早いことですかね」と答える。「参入している企業もタイトルも多いですし、ゲームのタイプや広告・マーケティング手法も様々で、常に研究しつつ、先進性をいかに保ち続けるかには常に頭を悩ませている」という。

一定の評価を得ているパズルの分野から、今回初めてシミュレーションタイプのゲームを出したわけだが、その狙いは何だろうか?

枝廣氏は「カジュアルなパズルゲームではそれなりにシェアを持つことができました。既存のユーザーの皆さんに新しい体験を楽しんでもらいたいこと、また新しいユーザーを獲得するというチャレンジが目的です」と説明する。もともと日本ではシムシティやサンシャイン牧場などが支持をされていたこともあって、シミュレーションゲームが受け入れられる素地はあっただろう。

その「パラダイス・ベイ」の舞台は南の島。畑で収穫した農作物、海で取れた魚などを調理したり、衣類や帆などを作ったりしながら、島を成長させていくゲームだ。欲しいアイテムはゲーム内の通貨で別のユーザーから購入することもできる。シミュレーションゲームだがストーリー性もあり、進めていくと住民の素顔、裏の顔が見えるようになるなど、次々と展開があって飽きさせない。