最後にMBA取得を検討している人にアドバイス

◆「楽ではないので覚悟は必要だが、大いに価値アリ」

「MBAは名刺に書き込むための飾りではない」というA氏は、「今の自分にどうして必要かを真剣に考える必要がある」と指摘する。

社会人10年目ぐらいまでは誰しもチャレンジ精神旺盛で、積極的に業務に取り組むが、次第に業務や所属している組織や企業、人間関係と、あるべき姿や思い描く将来像とのギャップを感じるようになるといい、「その段階で、広く学ぶことついて一度真剣に考える必要性がある。

経営学は一つの選択肢だと思うが、経営学は経営に対して問題意識を持っている人ほど効果的に学べる。実際のビジネスに活かせる」と意義を語る。

そのうえで、外部環境の急激な変化に企業が対応するためには、経営者は多くの人の意見を聴きながら意思決定を行なう必要があることを指摘。

経営者には多くの人から意見を引き出す能力が、経営を補佐する人には経営者の悩みに応える能力が必要になるといい、「その両者のベースに経営学が必要であり、その能力を養うために経営大学院で学ぶ価値は大いにあると思います」とメリットを話す。

ただし「MBAの学習は決して楽ではないし、所定の単位を修得してMBAを取ったからと言って実践の経営に役立てられるものでもない」と付け加える。

最後に、「経営について真剣に考える1年または2年間こそが、今後のビジネスパーソンとして生きるために本当に必要な知識を獲得するための貴重な期間になる」と自信を持って話す。

B氏は「もしMBA取得に迷っているのであれば、是非、その足を一歩踏み出してみてほしい」と呼びかける。まだ迷っている人に対しても、「まずは受験をしてみるか、応募書類の申請だけでもやってみては」と言う。その理由として、「受験申し込みの際に研究計画書などを作成することになるので、その中で気づくこともあるし、心理的な変化もあると思う」と付け加える。

そして、「MBAの取得、修士論文の執筆は今後経営に関わる人、目指している人にとって揺るぎのない経験・知識の土台になる」と話す。「働きながら学ぶことで、タイムマネジメントを鍛えることもできるし、修了すると大きな自信と達成感につながる。MBA取得までの時間は、想像を超えてとてつもなく有意義なものになる」と太鼓判を押す。

そしてC氏。ヨーロッパで優秀な人材と仕事をしていると、20年以上同じ国に留まっている人は存在せず、複数の国や地域で勉強や仕事をしてきた人としか会わないという。中国で起業したことがあるドイツ人、オランダで博士課程を取得したマケドニア人、ブラジルでインターンしたフランス人......。

「皆が専門的なスキルを有し、異なる言語や文化を吸収する人間的な幅を備えている」と話し、「日系企業での経営層への外国人登用が増える現状を見ると、たとえ日本にいても、外国人と競争してキャリアを築いていきたいと思うのであれば、このような国際感覚は当然身に付けるべき」と指摘する。

海外でのMBA取得について、「この国際感覚を身に付ける格好の舞台。目先の給与といった些末なことにとらわれずに、80年ほどある人生をどう送りたいのか、その目標にMBAがどう役立つかを考え、挑戦していただきたい」とエールをおくる。