医療費控除の還付金の計算方法

最後に、医療費控除の還付金を実際に計算する方法をみていこう。ここでは例として次のケースを計算してみる。

・支払った医療費の総額 …70万円
・医療保険による給付金 …20万円
・年間の収入金額 …700万円
・医療費控除以外の所得控除額 …100万円

計算方法は以下の4ステップだ。

ステップ1 1年間の医療費を計算する

最初に、1年間の医療費の合計額を計算する。保存してある医療費の領収書などから計算しよう。

ステップ2 医療費控除額を算出する

次に、医療費控除額を算出する。医療費控除の金額は、支払った医療費の総額から、医療保険などから支給された給付金の金額、および10万円(所得金額が200万円以下の場合は所得金額の5%)を差し引いたものとなる。

医療保険の給付金はこのケースでは「20万円」としているから、医療費控除の金額は、

医療費控除額 = 医療費総額 - 医療保険の給付金 - 10万円
= 70万円 - 20万円 - 10万円

で計算され、「40万円」となる。

ステップ3 所得税率を確認する

次に、所得税率を確認する。所得税は累進課税で、課税所得金額が大きくなるにつれ税率も高くなる。具体的な税率は下表のとおりである。

【課税所得金額による所得税率一覧】

課税所得金額 所得税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円超~330万円以下 10% 97,500円
330万円超~695万円以下 20% 42,7500円
695万円超~900万円以下 23% 636,000円
900万円超~1,800万円以下 33% 1,536,000円
1,800万円超~4,000万円以下 40% 2,796,000円
4,000万円超 45% 4,796,000円

課税所得金額は、年間の収入金額から所得控除金額の合計を差し引いたものとなる。

課税所得金額 = 年間の収入金額 - 所得控除金額

ここでは医療費控除が40万円、その他の所得控除額が100万円だから、所得控除金額は合計140万円だ。これを年間の収入金額700万円から差し引いて課税所得金額を求めると、

課税所得金額 = 700万円 - 140万円

で計算され、結果は「560万円」ということになる。

課税所得金額が560万円の場合の所得税率を上の表から求めると、「20%」になる。

ステップ4 医療費控除額に所得税率をかける

最後に、医療費控除還付金の金額を求めよう。還付金の金額は、前述のとおり医療費控除額に所得税率をかけたものとなる。このケースでは医療費控除額は40万円、所得税率は20%だから、還付金の金額は、

医療費控除還付金の金額 = 医療費控除額 × 所得税率
= 40万円 × 20%

で計算され、結果は「8万円」ということになる。

医療費を、医療保険からの給付金を除いても50万円支払ったのに、還付されるのが8万円では「少ない」と感じるのも無理はない。しかし、全く還付されないよりは良いのだから、医療費控除はしっかりと申告し、受け取れるお金は受け取ろう。