特集『withコロナ時代の経営戦略』では、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が続く中での、業界の現在と展望、どんな戦略でこの難局を乗り越えていくのかを、各社のトップに聞く。

株式会社動力は太陽光発電業界が注目を集め始めた2008年に設立された。住宅用太陽光発電導入支援対策費補助金や固定価格買取制度が追い風となり、2015年にはTOKYO PRO Marketに上場、さらにM&Aで規模を拡大して全国展開を推進。太陽光発電の部材を開発するなど技術力が高く、販売から施工、メンテナンスまで一貫した対応が可能で、業界で一定の地位を築いた。新規事業にも着手しており、時勢に合わせ新型コロナウイルス対策として滅菌装置を開発。また、プラスチック廃棄物の再資源化のために新しい製品の製造も急ピッチで進めている。

(取材・執筆・構成=安田勇斗)

(画像=株式会社動力)
鈴木 竜宏(すずき・たつひろ)
株式会社動力代表取締役
1971年愛知県生まれ。
屋根部材メーカーを経て2008年に株式会社スズキ太陽技術(現・株式会社動力)を設立。 2015年から16年にかけて協力会社2社を吸収合併し、全国展開を推し進める。

部材開発から販売、施工、メンテナンスまで対応

――2008年に前身である株式会社スズキ太陽技術を設立されたきっかけは?

もともと太陽光関連の仕事をしていたのですが、2009年1月に太陽光発電の補助金制度(住宅用太陽光発電導入支援対策費補助金)がスタートすることになり、それを見越して2008年12月1日に起業しました。

――住宅用と産業用の両方でサービスを展開しています。

会社を設立した当初から住宅関連のサービスをメインとしていて、今も8割ぐらいを占めています。

――太陽光発電事業における強みはどんなところですか?

太陽光発電を屋根に取り付けたり、地面に取り付けたりする際の部材を開発しているところが特徴の一つです。また、太陽光発電の設備を販売するにあたって、販売して終わりではなく、取り付け、さらにメンテナンスまで一貫して対応しているところも強みです。

加えて、各都市に営業所を構えており、全国の方々に信頼していただけているという点は我々が自信を持っているところです。部材開発から販売、施工、メンテナンスまで対応できて、それを全国規模で展開しているのは当社以外にないと自負しています。

――部材は具体的にどんなものを開発しているのでしょうか?

一例を挙げると、太陽光発電を屋根に取り付ける際の部材です。例えばアメリカの住宅の屋根は8割ぐらいがアスファルトシングルという資材でできています。しかし、日本の屋根は瓦やカラーベスト、板金など多種多様で、部材開発をする際、標準化が図りにくいんです。そうしたそれぞれの屋根の高度な知識をもとに、適した部材を開発しています。

――2015年の名古屋営業所をはじめ、東北営業所、東京営業所、中国営業所、九州営業所と次々と拠点を開設しています。

2015年12月にTAKグリーンサービス株式会社を子会社化したことが全国展開のきっかけです。TAKグリーンサービスがもともと全国規模で太陽光発電の販売をしていて、その取り組みを活用して各地に営業所を開設しました。

――同じ2015年にTOKYO PRO Marketに上場しています。

もともと私自身、中小企業の社員として働いていました。ただ、中小企業って外から見ると何をやっているかわかりにくいなと感じていたんです。それで自分が起業したときには従業員にもお客様にも公明正大にいろいろなことを公開できればと思い、2015年に上場しました。名刺に東京証券取引所のロゴマークが入ることでお取り引き先からも良い反応をいただいています。

2月1日に販売を開始した「Virus Eliminator(ウィルスエリミネーター)」(画像=株式会社動力)

滅菌装置開発やプラスチック廃棄物の再資源化にも着手

――エネルギー関連では2009年から始まった固定価格買取制度がありますが、価格変動や一部10年満期による影響などはありますか?

固定価格買取制度は創業時の追い風となりました。そこから数年も価格が上がり、かなり良い影響がありました。ただそれからは価格が下がり、業界の競争も激しくなりましたが、我々はTAKグリーンサービスと一緒になることで規模を拡大して乗り越えてきました。全国展開すること、より良いサービスをご提供することでお客様からの信頼を得られ、今は良い流れになっていると思います。

――新型コロナウイルス感染症の感染拡大による影響はありますか?

ありますね。特に昨年の秋頃からその影響が顕著になってきました。我々は建築関連の企業とのお取り引きが多く、新築の物件がなかなか建たなかったりして、それに伴ってやや冷えこんでいる状況です。ただ、他業界に比べれば落ち幅は小さいかなと感じています。

とはいえ、コロナによる経済の低下は大きいので、太陽光発電関連ではないのですが、我々の技術力を活かして「Virus Eliminator(ウィルスエリミネーター)」という滅菌装置を開発して、2021年2月1日から販売させていただきます。簡単に言うと、室内のウイルスを不活化する製品です。

――こうした状況下で近い将来を見据えて目標に掲げていることは?

太陽光発電事業をより強化していくことはもちろん、「Virus Eliminator」の拡販にも注力していきます。それと、プラスチック廃棄物を使用可能なオイルに変えていくことも大きな目標として掲げています。プラスチック廃棄物は油化しても、塩素分が入っているためそのまま使うことはできません。塩素分がエンジンを痛めてしまうからです。そこで塩素分を除去する装置の開発を進め、試作品を完成させるところまでいきました。来年度末(2022年3月)までにはプラントを作り、実用化できるところまで持っていければと考えています。

さらに医薬品などに使用される酸化マグネシウムを精製する事業にも力を入れており、プラスチック廃棄物の再資源化とともに、推進していきたいと思っています。