ここ数年、日本では「米国株投資ブーム」が起きている。積み立てNISAの普及などを背景とした資産運用への意識の高まりに加え、米国株に投資する金融商品ラインナップの充実、売買手数料の引き下げなどもあって、米国株への投資がより身近になっているのだ。とはいえ、いまだ多くの投資家にとって主力の投資先が日本株であることも確かだろう。米国株で多くの資産を積み上げることに成功した投資ブロガーのたぱぞうさんは、「日本株だけではなく、米国株への投資も考えるべき」と声を上げる。ここでは、日本株より米国株が優れている点にスポットを当て、たぱぞうさんの主張を解説していきたい。
たぱぞうさんプロフィール
米国相場は着実に高値を切り上げていく
2月半ば頃から、日米の株式相場は調整局面の色合いが濃くなっている。2020年2月から3月にかけての下落局面、いわるゆ「コロナショック」以降、押し目らしい押し目をほとんど作ってこなかった両国の株式相場だが、今回の調整局面は格好の押し目買いチャンスと捉えることができそうだ。ただ、米国株、日本株ともに割高や過熱を指摘する声も聞かれ、素直に買っていいのか判断の迷うところである。
月間100万PVを誇る投資ブログ「たぱぞうの米国株投資」を管理する投資ブロガーのたぱぞうさんは、「米国株については、小型株を中心に銘柄によっては買われ過ぎてきた感はあります。一部の銘柄を除けば1年半から2年程度、利益を先取りして買われている面はあるものの、過熱感はその程度でしょう」と話す。
「米国企業のEPS(1株当たり利益)は着実に回復しています。確かにここ1、2年の目線で考えれば現在より相場が下がる局面があるかもしれませんが、5年、10年の目線で考えると、米国相場は着実に高値を切り上げていくと思います。一時的なリセッションで相場が下がることはあっても、長い目で見ればそこが買い場ということです」(たぱぞうさん、以下同)
これまで、たぱぞうさんが米国株投資を中心に積み上げてきた金融資産は4億円を超える。現在は米国株投資のブログを管理、運営する一方で、米国株セミナーに登壇するなど米国株投資の啓蒙活動を続けている。そんなたぱぞうさんも、投資を始めた直後から決して順風満帆というわけではなかったようだ。
「2000年、ちょうどITバブルがはじけた年に初任給を握りしめて日本株への投資を始めました。もともと祖父や父が株式投資をしていたため、株式投資への抵抗はなかったんです。その頃はバリュー(割安)株全盛で、PER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)などで割安と思われる銘柄を買っていました。2003年頃には不動産バブルの負の遺産で痛んでいた金融株に集中投資をして、買い値の2倍超になるなど一時は成功したので、『株=逆張り』だと思っていました」
逆張り投資から成長株投資へ
そんなたぱぞうさんに転機が訪れる。きっかけはリーマンショック以降のドル円相場の急落だ。ドル円相場は、2007年の高値1ドル=124円台から、2011年には同75円台まで半値近くに暴落。これを受けて、たぱぞうさんは金融資産の大半を日本円から米ドルにシフトする。
「当時の円高は、日米の購買力平価(物価によって為替レートが変動するという考え方)から極端に外れていて、長期的にこの水準は持続不可能だと思ったんです。100円台前半程度が“心地よい”水準と思い、資産をドルに転じました。為替だけで2割の値幅が取れるのであれば、まず負けないと考えたからです。これと同時に米国株への投資をスタートしました」
米国株への投資を始めた当初は、インド・ルピーが大きく下がった時にインドを代表する企業、タタグループの株を買うなど逆張りの目線がなかなか抜けなかったという。しかし、その後は現在も続ける「成長株への投資」にシフトしていく。