「小さいころに習っていたから」「両親とよく聴きに行っていたから」……。人の趣味は、幼少期の過ごし方が大きく影響するといわれています。富裕層のなかにはクラシック音楽を好む人が少なくないですが、その理由の1つとして、こうした点があると考えられます。

家庭の年収で子供の趣味に差

(画像= ballabeyla/stock.adobe.com)

総務省が過去に実施した「社会生活基本調査」では、年収300万円未満の家庭と年収1,500万円未満の家庭では、小学生の子どもの趣味に差があることがわかっています。

調査結果によると、年収1,500万円以上の家庭のほうが、「音楽鑑賞」「演劇鑑賞」「読書」などの趣味を持つ子どもが多いということでした。

音楽・映像ソフト販売大手HMVによる過去の調査でも、クラシック音楽に興味を持ったきっかけとして、幼少期の経験に起因していた人が多くいました。具体的には、「いつもクラシック音楽が流れている家に育ったから」「小さいころからピアノを習っていたため」といった回答があったようです。

ピアノやバイオリンはお金がかかる趣味

上記の回答からもわかるように、クラシック音楽に親しむきっかけとしては、両親の趣味のほか、クラシックピアノやバイオリンなどの習いごとが挙げられます。また、ピアノ教室やバイオリン教室などの月謝はスポーツ系のスクールに比べると高めで、ピアノやバイオリンの購入費用も高額です。

このような経済的背景も、富裕層家庭の子どもの趣味に影響するといえるでしょう。文部科学省の「子どもの学習費調査」によれば、年収が上がれば上がるほど親が負担する「塾・習い事などにかかる費用」も上がっています。

子どものころの体験はその後の人生に大きく影響

クラシック音楽には幼少期との体験とは無関係に、多くの人に好まれる魅力もありますが、幼少期の体験が「好き」のきっかけの1つとなっていることは確かではないでしょうか。

その人の趣味嗜好に幼少期の体験が大きく影響を与えるということを、あらためて考えさせられます。

文・岡本 一道
政治経済系ジャーナリスト。日本の国内メディアと海外メディアの両方でのジャーナリスト経験を経て、現在は国内外の政治・経済・社会・文化など幅広いジャンルにおけるトピックスで多数の解説記事やコラムを執筆。ニュースメディアのコンサルティングなども手掛ける

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