「お金持ちになりたい」と漠然と望む人ほど、心のどこかでは気づいている。「今という現実」をこのまま続けただけでは、その延長線上に「お金持ち」「富裕層」「億り人」になる未来がないということに。
『億を稼ぐ人の考え方』著者の中野祐治氏も、かの名著『金持ち父さん、貧乏父さん』によってその事実にあらためて気付かされたという。中野氏の著書より、まずはあなたの今の「現実」と正しく向き合う方法を紹介する。ここが人生を変える第一歩になるかもしれない。
(本記事は、中野祐治氏の著書『億を稼ぐ人の考え方』きずな出版の中から一部を抜粋・編集しています)
あなたは、いまの自分の「お金」に満足していますか?
質問です。
あなたは、自分が得ている給料に満足していますか? その給料は、あなたの仕事内容や仕事量に対して「妥当」な額ですか?
自分の給与明細をこまかく見てください。
「けっこう税金取られてるなあ」 「これだけ働いて、この金額か?」 「もっと給料をもらってもいいはず!」
いろいろな思いがあると思います。
あなたの「本当の給料」は、いったいいくらなのでしょうか?
そもそも給料とは、どうやって決まっているのでしょうか?
簡単に言うと給料は、
「あなたが明日も同じように働けるために必要なお金」
です。
難しく言うと、
「あなたの労働力の再生産コスト」
です。
あなたが明日も同じように働くためには、
- 食事をとる必要があります=平均的な食費
- 休むために寝る必要があります=平均的な家賃
- 服を着替える必要があります=平均的な衣服代
- 適度にリフレッシュする必要があります=平均的なリフレッシュ費用
つまり、これらの合計が「あなたの労働力の再生産コスト」です。
会社はこの金額をもとに、給料の基準を決めています。
あなたが仕事でどれだけがんばったか、どれだけ成果を上げたかは考慮されていません。
「能力給や成果給をうたっている会社はたくさんあるぞ!」という反論もあるでしょう。
たしかに実際には能力や成果も給料に反映される場合もあります。しかし、それはあくまでも「多少のプラスα」でしかありません。
日本企業の場合、ほとんどが「あなたの労働力の再生産コスト」の合計が給料です。
ですから、みんなと同じように普通に食事をして、普通の家賃の家に住んで、普通の服を着て、普通にリフレッシュしていたら、まったく残らない――というわけです。
だから給料日前になると、みんなお金がないのです。
つまり、稼ぐ手段として給料だけに頼っていては、豊かになれるわけがないのです。
会社は従業員をお金持ちにしようとは思っていません。会社の持ち主をお金持ちにするために存在します。
こう考えると、「会社員を続けて、出世してお金持ちになる」のを期待すること自体がズレた考えと言わざるを得ません。
高度経済成長期の日本であれば、会社で一生懸命働くことが、豊かで幸せな人生につながったのかもしれません。しかし、いまの日本は違います。あなたもそろそろ気づいているはずです。会社で働くことが、豊かで幸せな人生につながらなくなっているのです。
私自身も、こういった現実を知る前は「一生懸命勉強して、いい大学に入って、いい会社に入れば豊かで幸せな人生を送れる」と思っていました。
しかし、社会人として2年ほど経験を積み、先輩や上司の姿を見て、「なんか、違うんじゃないか……?」と思い始めました。
そんなときに、ある本に出会い、衝撃を受けました。世界的ベストセラーの『金持ち父さん貧乏父さん』(ロバート・キヨサキ著/筑摩書房)です。
『金持ち父さん貧乏父さん』のなかでは、「給料をもらって、使って……という労働者はラットレースから抜け出せない」と書いてありました。
「俺って完璧に貧乏父さんや!」「俺、スーパーラットレーサーや!」と思いました。
たしかに出世すれば、給料は上がるかもしれません。
しかし、給料が上がると必ず支出も増えます。給料が上がると、生活レベルも上げたくなるのが人間の欲求です。一度上げた生活レベルはなかなか下げられません。
支出は収入に比例して増えていくのです。
あなたの先輩や上司も、毎月給料日前にはお金がないと言っていませんか?
結果として、何年働いても手元にはお金がほとんど残らないのが現実なのです。
年収1200万円でも金融資産ゼロという人たち
とくに大きな問題なのが、「金融資産がない世帯」の増加です。
金融広報中央委員会の2016年のデータによると、2人以上世帯で3割強、シングル世帯に至っては5割近くが貯蓄がありません。さらに、この割合はじわじわ増え続けています。
貯蓄がない人のなかでとくに多いのは「収入がない」世帯で、次が「年収300万円未満」の低所得世帯です。たしかに収入がない、または少ないから貯蓄ができないのは理解できます。
その一方で、「年収1000万円〜1200万円未満」の層でも20.3%、「年収1200万円以上」でも8.7%が貯蓄ゼロ(2人以上の世帯の例)というのです。
高所得でも、家計のコントロールができないと、貯められない場合もあるということです。
手元に残ったお金だけで、あなたとあなたの家族の未来を明るくできますか?
幸せいっぱいで、不安のない老後を過ごすことができますか?
実際の収入はいくらで、どれくらい差し引かれているか知ってますか?
もらっている給料のうち、あなたが自由に使える額はどれくらいですか?
あなたの、そして家族の未来を真剣に考えるためにも、まずはしっかりとあなたの現実と向き合いましょう。