あなたの身の回りに「気前は良いが、あまり貯金がない」という人はいないだろうか。あいつ、いいヤツなんだけど、いつも余裕がなさそうなんだよな……。

一方で、富裕層はすべからく「与える人」であり、ケチでもある、という。

いったいどちらが「正解」なのか?『億を稼ぐ人の考え方』に登場する、富裕層が1円玉を拾うエピソードを見てみよう。富裕層から見たお金の本質がよくわかるだろう。

(本記事は、中野祐治氏の著書『億を稼ぐ人の考え方』きずな出版の中から一部を抜粋・編集しています)

なぜ、大富豪ほど道端の1円玉を拾うのか?

積み上げる
(画像=PIXTA)

金融広報中央委員会がおこなっている「家計の金融行動に関する世論調査2019(単身世帯調査)」によると、老後の生活について心配している層は85.6%もいるそうです。「十分な金融資産がない」が圧倒的多数の理由だとか。

では実際に、60代の金融資産保有額がどれくらいかというと、平均値が1335万円。

中央値が300万円となっています。

今後、医学が発達して、人生100年時代を迎えるのは明らかです。

収入がストップして、手持ちの資産が300万円だったら大変なことになるということは、少し想像すればわかります。政府も、老後資金は年金だけだと定年後30年生きるとすると2000万円足りないと試算しています。

たとえば、たった2%の増税があったとしても、富裕層にとっては、「明日から何も食べられない」なんていう生活に陥ることはまずないでしょう

しかし、毎日ギリギリの生活をし、貯金もほとんどないという層は、なけなしのお金から2%も余分に支払いが増えれば、死活問題につながっていきます。

格差はどんどん広がっていっているのです。社会全体に貧困が蔓延していく可能性があるのです。

社会保障費が膨らんでどうしようもなくなっている状態なので、政府が消費税を引き上げるのは仕方がないことかもしれません。

そうであれば、年金も徐々に減らされていく可能性が高いでしょう。年金受給年齢も引き上げられる可能性が高いです。

高齢者だけが苦しいのではありません。経済的に苦しいのは若年層も同じです。

「非正規雇用が増えた」「終身雇用がなくなった」「すぐにリストラされる」「転職するたびに賃金が下がる」などの現実に苦しんでいるのです。

いままで通りに生きていたら、ほとんどの人が、貯金があったとしてもどんどん目減りしていくことになるのです。

政府は内需拡大によって、このような状態を打破したいと思っています。

しかし、1年間で人口が40万人以上も減っていき、子どもよりも高齢者が多い我が国では、内需拡大などとうてい望めないのではないでしょうか。

高齢化によって現状維持を好む人のほうが増えて、イノベーションも生まれにくいでしょう。社会がそのような構造になれば、当然のことながら高度成長は夢のまた夢です。2%の経済成長ですら、できそうにありません。

そうなると、日本人はまるで真綿で首を絞められるように、静かに困窮していくのではないでしょうか。

気がつけば、社会全体で貧困が蔓延していくという事態になっていくかもしれません。貧困が拡大するなかで、自分もその貧困に突き落とされてしまう可能性があるのです。

いまの日本人の平均貯蓄額で考えると、仮にリストラのような不幸な事件が自分の身に起きたとして、次の仕事が見つからなければ、平均的な貯金がある人であっても、半年で貧困に陥ることがわかっています。

たった半年で、永遠に抜けられない地獄に落ちるには充分なのです。

貯金がない人は、半年どころか仕事を失って1か月で窮地に陥ります。

皮肉なことに、資本主義社会では、お金がうなるほどある人には銀行も喜んでお金を貸します。しかし、お金がまったくない人には土下座してもお金を貸してくれません。

お金がなくて生活できない人にはお金を貸さないのが、資本主義なのです。

小さなお金は、何の力も意味もないように見えます。

だから、小さなお金であればあるほど、人々はそれを軽視してしまう傾向があります。

富裕層と貧困層では、「貧困層のほうが気前がいい」とよく言われます。

実際、貧困に落ちている人が気前よく、なけなしのお金を他人に与えるのは、多くの人が目撃すると思います。また、貯金がある人と貯金がない人では、貯金がない人のほうが逆に気前がいいのです。

自暴自棄になっているので、他人にお金をあげてしまいやすい心理状態にあると観察することもできます。

しかし、それだけが理由ではないと思います。持っているお金があまりにも小さすぎて、それが「大切なもの」という気になれないのではないでしょうか。

どんな小さなお金でも、貯めれば増える

あなたは「1円」を拾いますか?

たとえば、道端に1円玉が落ちていたとします。

数百億円の資産を残した、作家にして実業家だった邱永漢氏は、

「自分でも拾うし、落ちていたら拾え」

と著書に書いています。

1円を粗末にする者は、大金もまた粗末にするのです。

1円を大事にする者は、大金ならなおさら大事にします。

だから「1円玉でも拾う」のが正解なのです。

これは意外に多くの富裕層に共通しています。

ビル・ゲイツもエレベーターで1セント硬貨を拾って大喜びしていたのを同僚に呆れられていますし、ウォーレン・バフェットも1セント硬貨を拾って「未来の10億ドルだ」と言って、それをポケットに入れていたそうです。

「1円」に価値を見出せるか。

小さいお金を積み重ねたものが、大きなお金です。

ところが、貯金が少ない、またはまったくない層は、その部分に気づかないのです。

だから、1円玉が落ちていても鼻で笑って拾おうとはしないし、1円に価値を見出さないのです。さらに持っているお金も無駄に使っていくのです。

1円なんてたかが知れていると思う人間にとって、1円を貯めるというのは、やる気も意味も感じられないのかもしれません。これが10円や100円になってもやはり大したことがないように思うかもしれません。

しかし、それは間違っていると思います。

10円玉を100枚貯めると1000円になります。

1000円札を10枚貯めると1万円になります。

小さいお金であっても、それを貯めると増えるのです。

どんな小さな仕事でもいいから継続すると、10万円を20万円に、20万円を40万円に、そしてどこかで100万円にまで積み上がります。

私のメンターはわかりやすく、このようなお話をしてくれました。


「中野君、1円玉が落ちていたら助けてあげるんだよ。

1円玉を助けてあげれば、皆、集まってお礼に来てくれるんだよ。

汚れていたら、きれいにしてあげる。

そうするとね、1円玉のお父さんが、
『子どもを助けてくれて、ありがとうございました』
とお礼を言いに来てくれる。

1円玉のお父さんは5円玉なんだよ。その5円玉のお父さんは10円玉。

そうやって50円、100円、500円、1000円、5000円、1万円と続く。

1円玉を助けてあげれば、皆、集まってお礼に来てくれるんだ。

だから、1円玉が落ちていたら助けてあげるんだよ」

あなたも道端に1円玉が落ちていたら、助けてあげてくださいね。

億を稼ぐ人の考え方
中野祐治
株式会社YAPPY代表取締役。ほかにも複数の会社を経営する実業家。飲食店、オーガニックショップ、人材派遣事業、講演会、業務コンサルティング、ビジネストレーニング事業などを多岐にわたって展開する。大阪府大阪市生まれ。神戸大学卒業後、シャープ株式会社(SHARP)に入社。24歳で経営のメンターと運命的に出会い、そこからメンターに学び始める。26歳のときに親族の借金を肩代わりしていた両親が夜逃げ。借金取りが家に押しかけてくることも経験。その経験から、1回きりの人生を全力で生きると決める。人生において「すべての人を勝利に導く」をビジョンとして掲げ、事業の道に踏み出し、27歳で独立。そのビジョンを実現していくために、「すべての人の幸せのお手伝いをする!」を経営理念として、人々の多様化するニーズやライフスタイルの変化にいち早く応えるために、さまざまなサービスを展開している。39歳ですべての事業からの収入が年収1億円を超える。500人規模から1000人規模の講演会を毎月開催し、多くの若者からメンターと慕われる、いま注目の起業家。

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