資産1億円は決して手が届かない貯蓄額ではありません。資産1億円を達成するには、どのような計画で資産形成に取り組めばいいのでしょうか。この記事では、資産1億円を目指す人に向けて、投資対象や必要な金額をシミュレーションし、具体的な行動が起こせるよう具体策をお伝えします。資産1億円を目指したい人は、ぜひ参考にしてみてください。

目次

  1. 資産1億円は手が届かないレベルではないが、預貯金だけでは難しい
  2. 資産形成を可能とする投資。種類別にメリット・デメリットを解説
  3. 資産1億円に20年で到達するシミュレーション
  4. 株式投資で資産1億円を考えてみる
  5. 資産1億円を目指す7つの行動
  6. まとめ:資産1億円は日頃の積み重ねで達成可能

資産1億円は手が届かないレベルではないが、預貯金だけでは難しい

(画像=SergeyNivens/stock.adobe.com)

資産1億円というと、みなさんはどのようなイメージを持つでしょうか?「両親から受け継いだ資産がないと達成できない」「高年収でないと達成できない」と思うかもしれません。しかし、実は資産1億円は決して手が届かないレベルではないのです。

資産形成というと、まず貯金が頭に浮かぶ人が多いと思われます。しかし、超低金利の今の時代、貯金だけで資産1億円を達成するのは簡単なことではありません。

仮に20年で1億円貯金しようとすると、毎月41.7万円を貯金する必要があります。しかし、20年間で受け取れるトータルの利息額は、たったの9,958円。1万円にも満たないのです。

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資産形成を可能とする投資。種類別にメリット・デメリットを解説

資産1億円を目指すには、効果的な投資が大切です。投資をし、資産を運用することで、資産形成の効率を高めることができます。

主な投資の種類と、それぞれのメリット、デメリット・注意点、さらには向いている人について、下記の通りまとめてみました。自分に合った投資方法は何か検討してみてください。

投資の種類1:国債

  • 特徴:国にお金を貸し、代わりに利息を受け取る仕組み
  • メリット:元本割れリスクが低い。国が投資対象なので安心感がある。
  • デメリット・注意点:2020年現在、表面利率は0.05%。高い投資効果は期待できない。
  • 向いている人:大きなリターンは得にくくとも、絶対に元本割れリスクは避けたい人。

投資の種類2:貯蓄型保険

  • 特徴:解約した時に解約返戻金が受け取れたり、満期になった時に満期金が受け取れたり、貯蓄性をあわせもつタイプの保険
  • メリット:貯蓄しながら保障も手に入る。
  • デメリット・注意点:高い投資効果は期待できない。
  • 向いている人:保障も重視しながら資産形成したい人。

投資の種類3:投資信託

  • 特徴:投資家から集めた資金を、運用の専門家が国内外の株式や債券に投資し、運用益を投資家に分配する投資商品
  • メリット:運用をプロにお任せしながら分散投資でリスクを抑えて投資できる。つみたてNISAやiDeCoを活用できる。積立ならドルコスト平均法によって効率的に資産形成ができる
  • デメリット・注意点:元本割れリスクがある。運用をプロにお任せする反面、自身で売買する機会が多くないため投資の知識は身につきにくい
  • 向いている人:投資初心者で、一定のリターンも確保したい人。リスクを抑えて長期的に資産形成したい人

投資の種類4:REIT

  • 特徴:投資家から集めた資金を、運用の専門家が不動産投資で運用し、運用益を投資家に分配する投資商品
  • メリット:不動産投資を少額からスタートできる。分散投資でリスクを抑えて不動産投資ができる
  • デメリット・注意点:元本割れリスクがある。不動産投資のノウハウは身につきにくい
  • 向いている人:投資初心者で、不動産投資に関心が高い人。リスクを抑えて長期的に資産形成したい人

投資の種類5:外貨預金

  • 特徴:日本円を外貨に換えて預金する投資方法
  • メリット:海外の高い金利で利息を受け取れる。為替レートによっては為替差益を受け取れる
  • デメリット・注意点:為替レートによっては為替差損が生じ、元本割れリスクがある。為替手数料に注意
  • 向いている人:海外のニュースに関心が高い人。海外旅行や海外出張によく行く人

投資の種類6:株式投資

  • 特徴:企業が発行する株式を売買して売買益や配当金を狙う投資方法
  • メリット:株式を購入した企業が成長し株価が上昇すれば売却時に大きなリターンが得られる可能性がある。企業の業績が安定していれば定期的に配当金が得られる
  • デメリット・注意点:企業の業績悪化などがあった場合、大きく損をする可能性がある。株価のチェックや情報分析に時間がかかる。初心者が利益を出すことは難しいため、一定の投資経験が求められる
  • 向いている人:リスクを理解しつつもリターンを重視したい人。特定の企業を応援しつつ投資による利益も得たい人

投資の種類7:FX

  • 特徴:2国間の通貨を売買して為替差益を狙う投資方法
  • メリット:元手の何倍もの金額でレバレッジ取引ができるため、大きなリターンが得られる可能性がある
  • デメリット・注意点:大きく損をする可能性がある。為替レートに注意。初心者が利益を出すことは難しいため、一定の投資経験や勉強が求められる
  • 向いている人:ハイリスク・ハイリターンの投資にチャレンジしてみたい人。為替の勉強などを根気よく続けられる人

投資の種類8:不動産投資

  • 特徴:不動産を所有して第三者に賃貸し、家賃収入を受け取る投資方法
  • メリット:うまく運用し続けることで安定的に資産形成ができる
  • デメリット・注意点:不動産投資ローンを組むため、事業計画通りの家賃収入が得られないと、返済に苦労する。売却したくても売却できないと、出費がかさむ
  • 向いている人:不動産が好きで、不動産投資について一定の勉強や情報収集をするのが苦にならない人

リスクを抑えて一定のリターンも目指すことを考えると、バランスがいいのは投資信託やREITといえそうです。リスクが比較的少ない投資商品で少しずつ経験を積み、株式投資や不動産投資に挑戦するのもいいでしょう。また、海外に関心があるなら外貨預金やFXをしてみるのもいいでしょう。

資産1億円に20年で到達するシミュレーション

続いて、資産1億円を20年で目指す場合をシミュレーションしてみました。

1億円を20年で貯めるなら?利回り別のシミュレーション

利回り3%、5%、7%、10%で運用した場合を想定し、1億円貯めるために毎月いくら積立が必要かを計算しました。

利回り率(年利) 毎月の積立額 元本 運用収益 合計
3% 30.6万円 73,427,180円 26,572,820円 100,000,000円
5% 24.6万円 59,141,781円 40,858,219円 100,000,000円
7% 19.7万円 47,287,251円 52,712,749円 100,000,000円
10% 13.9万円 33,414,120円 66,585,880円 100,000,000円

メガバンクの普通預金の金利は、0.001%です。そのため、投資をスタートする前は、利回り3%や10%といっても、イメージがわきにくいかもしれません。しかし、実際に投資信託等で投資をスタートすれば、上記の利回りが決して夢物語ではないとわかるはずです。

投資信託でも、積立を始めるタイミングや選んだ商品によっては、利回り20%を超えることもあります。また、株式投資であれば、資産が2倍、10倍になることもあるのです。

期間が長くなれば毎月の積立額は抑えられる

続いて、毎月の積立額をもとに、利回り3%、5%、7%、10%で運用した場合、1億円貯めるまでにどのくらいの期間がかかるかをまとめました。

毎月の積立額 利回り3% 利回り5% 利回り7% 利回り10%
5万円 60年3ヵ月 45年4ヵ月 37年1ヵ月 29年8ヵ月
10万円 42年1ヵ月 33年3ヵ月 28年 23年

毎月の積立額がたったの5万円でも、利回り10%で運用できれば、約30年で資産1億円を達成できます。実際には、ボーナスなどを投資に回すことも可能なので、もっと目標額達成までの期間は短縮できるでしょう。

毎月の積立額が10万円なら、利回り10%で運用できれば、23年で資産1億円を達成できます。毎月10万円ということは、1年間で120万円です。たとえば、毎月5万円、年2回のボーナスからそれぞれ30万円と考えれば、決して非現実的な金額ではないとわかります。

株式投資で資産1億円を考えてみる

株式投資で資産1億円を目指す場合を考えてみましょう。

分散しすぎると資産は増えないので、ある程度の集中も必要

株式投資で資産1億円を目指すなら、あれもこれもと手を出すのではなく、「これだ!」と思う銘柄に絞って投資することが大切です。

たくさんの投資先に資産を分散してしまうと、株価のチェックに時間がかかり、それぞれの情報分析もおろそかになってしまいがちです。選択と集中を意識して、選んだ銘柄の分析に時間をかけましょう。

全資産をつぎ込むのではなく、大きく上昇を狙うための金額を投じる

投資をしようと考えたとき、余裕資金のほとんどを投資につぎ込んでしまう人がいます。しかし、その状態で評価額が下がると、精神的に追い込まれてしまいがち。余裕資金のうちの一部を株式投資にあてることが大切です。

大きく上昇する銘柄で狙いたいのは中小型銘柄

余裕資金のうちの一部で株式投資をするなら、中長期的に成長する株式を選びましょう。5年、10年で株価が5倍、10倍になる成長株は、中小型銘柄に隠れていることが少なくありません。時価総額300億円以下を目安に、ビジネスモデルや業績推移を確認し、有望な株式を探しましょう。

資産1億円を目指す7つの行動

資産1億円を目指すなら、投資を始めるだけでは十分ではありません。生活コストを下げるための基本的な習慣を身につけることも重要です。

最後に、資産1億円を目指す人が身につけたい行動習慣を紹介します。

資産1億円を目指す7つの行動1:固定費を下げる

生活コストを下げることを考えるなら、まずは固定費を削減しましょう。たとえば、保険を見直したり、格安SIMに変更したりといった方法があります。固定費が下がるだけで、投資に回す金額も捻出しやすくなるでしょう。

資産1億円を目指す7つの行動2:投資観点でお金を使う

お金の使い方には、浪費・消費・投資の3種類があります。お金を使う時は、将来的なリターンが見込めるかを意識してみてください。

たとえば、健康のためのサプリは一見高価ですが、それによって仕事をがんばることができ、年収アップにつながるなら、むしろ支払った金額以上のリターンがあるかもしれません。日常生活でも、投資の観点を持つことが大切です。

資産1億円を目指す7つの行動3:見栄を張らない

見栄を張っても、お金は出ていくばかりです。一瞬の見栄のために、散財してしまうことがないよう注意しましょう。賢い人は、見栄を張らずに控えめに暮らしながら、着実に資産形成をしています。しっかりと資産形成ができれば、逆に見栄を張る必要性もなくなるのです。

資産1億円を目指す7つの行動4:「ラテマネー」に気をつける

つい立ち寄ったカフェのコーヒー代、いつも買ってしまうペットボトルのドリンク代など、知らぬ間に積み重なっていく費用を「ラテマネー」といいます。ラテマネー1回あたりは少額でも、積み重なるうちに大きな出費になっている場合も。

一度、1年あたり、10年あたりの金額を計算してみてください。そのうえでマイボトルを持ち歩くなど、対策を検討しましょう。

資産1億円を目指す7つの行動5:クーポンやキャッシュレスなどを賢く活用

マネーリテラシーが高い人は、クーポンやキャッシュレスを賢く活用しています。自分にとって無理なく取り組めるものを見つけ、上手に活用しましょう。

資産1億円を目指す7つの行動6:ふるさと納税・iDeCo・つみたてNISAなどお得な制度を活用する

国が用意したお得な制度には要注目です。地方自治体に寄付することで特産品を受け取れるふるさと納税や、年金を積み立てることで節税効果が得られるiDeCo、運用益が非課税になるつみたてNISAなどは、ぜひ活用を検討してみてください。

資産1億円を目指す7つの行動7:シェアサービスを賢く活用

所有する時代は終わりつつあり、シェアサービスが急速に台頭しています。カーシェアなどのシェアサービスを賢く活用し、所有する物を減らせば、自然と生活も出費もコンパクトになります。

まとめ:資産1億円は日頃の積み重ねで達成可能

資産1億円は、決して手の届かない金額ではありません。生活コストを下げたり、お得な制度を活用したりしながら、無理のない範囲で資産形成をスタートしましょう。最初は夢物語に思えても、少しずつ投資経験を身につければ、資産1億円は現実的な目標になるはずです。

株式投資をスタートする時は、余裕資金の一部を、絞った銘柄に投じましょう。自分が選んだ銘柄が大化けすれば、資産1億円の目標にぐっと近づけるはずです。

欲を出さず堅実に資産形成に取り組み、夢を叶えてください。

文・緒川 棗

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