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株式投資の醍醐味の1つに、成長する企業を見つけて長期的に株を保有し、その高い配当を受け取り続ける投資スタイルがあります。株価の短期的な変動に一喜一憂せず、収益力、成長力に長けたバリュー株に投資し続けることができれば、投資家として成功といえるでしょう。しかし、配当が高く長期投資に向く銘柄を探す方法はあるのでしょうか。本記事では、この優良な高配当銘柄の探し方と、20万円から買える銘柄例を確認し、投資の注意点を見ていきます。
目次
配当金生活とは?株式投資における配当の魅力
「所有する株式の配当金のみで生活できたら……」投資をしている方なら一度は思い浮かべたことがあるのではないでしょうか。では、本当に配当金生活は可能なのか。そもそも株式投資における配当とは何を指すのか?について説明します。
株式投資における2つの利益:キャピタルゲインとインカムゲイン
株式投資における利益には、キャピタルゲインとインカムゲインの2種類があります。キャピタルゲインとは、株価の値上がりによって得られる利益です。株価が上昇する前に株式を購入し、上昇した後に「売却」して利益を確定します。
一方のインカムゲインとは、株式を「保有」することにより、その間に配当などを受け取って稼いだ利益を指します。キャピタルゲインは大きいこともあるが単発的なもの、インカムゲインは比較的小さくても継続するもの、とも定義できるかもしれません。
また、キャピタルゲインは事前にどのくらいの利益になるか予測が難しいのに対し、インカムゲインは予測しやすいという点も大きな違いです。配当金の額は業績によって変更されることもありますが、前年の実績などをベースに、ある程度の予測が可能です。
このように、配当には、インカムゲインならではの魅力があります。インカムゲイン目的の株式投資では、日々の株価の動きに一喜一憂せず、長期に株式を保有して、配当金を定期的に受け取ることを目指します。このような配当金で生計を立てるような生活を「配当金生活」と呼んだりします。しかし、そんな素敵な生活は本当に可能なのでしょうか。
配当利回りとは
配当金の額は、企業によって異なります。またそもそも、株式を購入するときの株価も、対象の企業によって大きな差があります。そうしたなかで、各社の配当の魅力を比較する際に使われるのが配当利回りです。配当利回りは以下の計算式で算出されます。
配当利回り(%)=1株当たりの年間配当金額÷1株購入価額×100
執筆日(11月10日)現在、東証一部全銘柄の平均配当利回り(前期基準)は1.89%です。仮に1千万円分の株式を保有しており、その配当利回りがこれと同じ水準だった場合、年間の配当額は以下の通りとなります。
10,000,000円×1.89% = 18万9,000円
また、配当には合計20.315%の税金がかかるので、実際の手取り金額は、
18万9,000×(100-20.315)% = 15万605円
となります。
実際のところ、配当金だけで生活費を賄うには、かなりの金額の株式を保有する必要があることが伺えます。
しかし、生活費すべては難しくても、配当金が家計を潤してくれることは確かです。また、より高い配当利回りの株式を選別することによって、配当金額を増やすことも可能です。では、より良い配当金生活を目指すためには、配当利回りに着目して株式を選べばいいのでしょうか。
高配当銘柄は「利回りの高さ」だけで選ぶと失敗する
先に書いた通り、配当利回りは、配当金額と購入時の株価の関係によって決まります。これの意味するところは、配当利回りは配当が多い時に高まるだけでなく、株価が安い時にも高くなるということです。
配当利回りが高いのは、実は単に企業の業績悪化などの理由で株価が下落しているためであるかもしれません。そうした場合には、その株式への投資は慎重に検討する必要があります。業績が悪化しているなら、今後その企業は配当を減らす(減配)可能性もあるためです。そうなれば、配当利回りは結局低下してしまいます。
また、目的がインカムゲインの投資だとしても、株価が長期にわたって低迷するような企業への投資はやはり行うべきではありません。いつかは売却するタイミングが来るかもしれないのです。その際に出た売却損が、それまで受け取ってきた配当の累積額を上回るようなら、その投資は失敗と言わざるを得ません。最悪の場合、その企業の倒産や上場廃止などといったケースもあり得ます。配当狙いの運用であっても、企業の安定性や成長性を確認することが大前提であるということになります。
高配当銘柄を選ぶ際に確認すべき点
では、高配当銘柄を選ぶ際には、具体的にどのような点を見ていけばいいのでしょうか?
値上がり益といったキャピタルゲインを狙う投資であれば、事業の新規性や、経営改革の積極性などは重要な視点となります。インカムゲイン投資でも、そうした点はもちろん無視すべきではありません。しかし、長期保有を前提とするインカムゲインでは、企業価値の安定性をより重視する必要があると考えます。すなわち以下のような点の確認が重要となります。
高配当銘柄選びの確認ポイント1:企業業績は良好か
配当を払い出すのに十分な利益を企業が上げていなければ、その配当政策は健全なものとはいえません。この点については、当期純利益がきちんと上がっているかを見ることで確認することができます。
利益が出ていても、それが一時的な特殊要因によるものでないかどうかも確認しておくことが必要です。これには、営業利益もきちんと黒字となっているかなどを見て判断します。
また、業績は悪いだけでなく、安定しているのが理想です。売上高や経常利益の推移を見ることで、業績の安定性をある程度うかがい知ることができます。
高配当銘柄選びの確認ポイント2:財務体質は健全か
一時的に業績が悪化する場合があっても、財務体質が強固であれば配当を継続できる体力があると考えることができます。
財務体質を見るには、自己資本比率や負債比率などを確認しましょう。自己資本比率とは、総資本のうち、資本金や利益剰余金などといった返済の必要のない自己資本(=純資産)がどれくらいの割合を占めるか示したものです。この比率が高いほど、財務体質は強固であるということになります。
また、負債比率とは、自己資本に対する負債(返済義務のあるもの)の比率を指します。負債額を自己資本額で割って求めることができ、一般的にその数字が低いほど中長期的な安全性が高いと考えます。安全性を確認する指標はほかにも多くあり、上記はその一例にすぎません。まずはこうした数字を確認するところから始めてみるのが良いでしょう。
高配当銘柄選びの確認ポイント3:過度な高配当ではないか
利益が出ており、また財務体質が健全であったとしても、高すぎる配当には注意が必要です。長続きしない可能性が高いと考えられるためです。
特に、「1株当たり配当額」が「1株当たり利益」を上回っている場合には注意が必要です。これは、企業が儲けた利益を新規の設備投資や研究開発には回さず、すべて、あるいはそれ以上を株主に分配している状態を示すためです。これでは、企業は成長どころか、現状維持ができるかどうかも疑われます。
企業が純利益のどの程度を配当に回しているかを示す指標として「配当性向」があります。配当性向は以下の計算式で算出されます。
配当性向(%)=1株当たりの配当額÷1株当たりの当期純利益×100
配当性向を見ると、その企業が利益のうちのどのくらいを株主に還元しようと考えているかを推し量ることができます。株主としては、この数字が高いほど有難いはずです。しかし先にも述べた通り、配当性向が高いほど、企業に残る利益は少なくなり、会社の成長に使われるためのお金も少なくなります。企業の持続的な経営を考えるなら、配当性向も高ければ良いというわけでもないのです。
配当性向は、業種や、その企業の成長サイクルなどによって大きく異なります。たとえば、成長し始めて間もない企業では投資などに資金が多く必要であり、配当性向は低くなりがちです。配当性向は同業種の他の企業と比較したり、企業の成長状況を鑑みたりしながら、自分が納得できる水準を探ることになります。
20万円以下で購入できる高配当銘柄を厳選
では、実際にはどのように高配当銘柄を見つければいいのでしょうか?世の中には、高配当銘柄に対象を絞って運用する投資信託も多くあります。それを利用するのは簡単ではありますが、運用手数料などの費用がかかるため敬遠する人もいるかもしれません。
投資信託を使わず自分で個別に高配当銘柄を選別したい場合には、各企業のホームページや株式に関する情報誌、大手の証券会社の店頭などで情報を得ることができます。なかでも、ネット証券のサイト上で利用できる株式スクリーニング機能は非常に有用です。
ネット証券のスクリーニング機能では、さまざまな条件を指定して銘柄を絞り込むことが可能です。
たとえば今回は高配当銘柄を選別するために、以下の条件でスクリーニングをかけてみました。
▽高配当銘柄の抽出条件
(1)東証1部上場の大型株か中型株であること:小型株は安定性においては劣る場合が多いと考えられるため
(2)配当利回りは3%以上7%未満であること:東証一部上場企業の平均配当利回りが約2%であることから、その1.5倍以上の配当率であること。一方、高すぎる配当率は長続きしづらいと考えられるため、一定の上限も付すこととした
(3)自己資本比率が40%以上であること:自己資本比率は業種によっても平均水準が大きく異なるものの、一般的に40%以上あれば倒産リスクはほぼないと考えられているため
(4)直近決算期の最終決算が赤字で無いこと:今回はコロナ禍の難しい時期ではあるものの、当期純利益が少なくともマイナスとなっていない企業を対象とした
(5)3年前年度比の経常利益変化率が―100%よりも悪くないこと:コロナ禍ではあるが、業績の安定性の観点から一定の条件を付すこととした
すると、これらの条件に当てはまる企業が22社ありました。
さらに、そのなかでも利益率の高い企業を選別するために売上高経常利益率(売上高経常利益率(%)=経常利益÷売上高×100)の高い順に並び変えると、トップ10は以下の企業となりました。
コード | 銘柄名 | 現在値 | 配当利回り(%) | 当期純利益(百万円) | 自己資本比率(%) | 経常利益変化率(%) | 売上高経常利益率(%) |
5301 | 東海カーボン |
1,217 |
3.94 |
31996 |
45.77 |
312.18 |
20.22 |
4004 | 昭和電工 |
1,986 |
6.55 |
73089 |
46.39 |
86.83 |
13.16 |
4042 | 東ソー |
1,723 |
3.25 |
55550 |
64.01 |
-35 |
10.94 |
6113 | アマダ |
975 |
4.92 |
23391 |
77.17 |
-17.11 |
10.56 |
6448 | ブラザー工業 |
1,833 |
3.27 |
49567 |
58.58 |
-3.76 |
10.52 |
5334 | 日本特殊陶業 |
1,869 |
3.75 |
33698 |
59.68 |
-35.23 |
10.5 |
1808 | 長谷工コーポ |
1,320 |
5.3 |
59851 |
48.5 |
-15.17 |
10.08 |
5101 | 横浜ゴム |
1,634 |
3.92 |
41970 |
46.16 |
5.23 |
8.88 |
1928 | 積水ハウス |
1,885.00 |
4.3 |
141258 |
48.06 |
5.02 |
8.86 |
3407 | 旭化成 |
984.4 |
3.45 |
103931 |
48.58 |
-13.43 |
8.55 |
もちろん、上記はスクリーニングの一例に過ぎません。ほかにもさまざまなスクリーニング結果を導き出すことができます。もし期待している業種があるならそれを条件に加えたり、あるいは、規模による信頼性をより重視して売上高や時価総額から選別をかけたりしても良いでしょう。簡単に操作できるので、あらゆる条件でスクリーニングを試し、自分が納得のいく銘柄を見つけてみてはいかがでしょうか。ただし、先に述べた選別の上での注意点には気をつけるようにしてください。
まとめ:スクリーニング機能を駆使して高配当銘柄を選びぬき、配当生活を楽しもう
株の値上がりで利益をコンスタントに上げていくことは、決して簡単なことではありません。一方で、現在は金利がほぼゼロの時代であり、預貯金だけで資産を増やすこともできません。株式を保有してその配当を継続的に受け取るとるやり方は、それら二つのほぼ中間の運用方法と言えるかもしれません。リスクもリターンも、預金とキャピタルゲイン狙いの株式投資の間に位置すると考えられるためです。
ただし、最終的にそうした配当狙いの運用が上手くいくかどうかは、いかに上手に銘柄選択ができるかにかかっています。さまざまな情報の収集や分析に努め、ネット証券などが提供しているスクリーニング機能をうまく活用して銘柄選択を行い、少しでも豊かな配当金生活を送ってほしいと思います。
※本記事は2020年11月25日現在の情報をもとに作成しています。掲載する銘柄はあくまで解説例であり、投資を推奨するものではありません。
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