アートブロックチェーンでも生じるオラクル問題

そして、「デジタルデータはブロックチェーンで保証できるが、絵画などの現実に実体として存在する資産と、ブロックチェーン上のデータをどうやって信頼できる形で結びつけるのか」という質問も寄せられた。

施井氏は「いわゆるオラクル問題」と説明。オラクルとはブロックチェーン外にある情報をブロックチェーンに載せる仕組みであり技術のこと。施井氏は搭載の時点で「すり替えや入力ミスの可能性はある」と認める一方、「アートにはそもそも証明書というものがついていて、すり替わっていることもあったが、ギャラリーの信用で成り立ってるきた」と解説。さらに参加者全員で管理する「分散型オラクル」に取り組んでいる人たちもいることを紹介したうえで、重要なのことは「現実世界の来歴が残ること」と話した。

そのうえで、「(ブロックチェーンは脱中心的な発想が根底にあるはずなのに)過去からの権威に頼っているじゃないか」という反対があると紹介しながら、当初はそれで始めるのがいいと思っているとも話した。

青木氏は「既存のシステム(法規制など)で規制する必要があるかもしれない」との考えを表明した。

北斎のようにアートとして扱われなかったものが後世評価されるかもしれない

別の質問として「(施井氏は)アートの民主化を掲げているが、どんな作品をアートとして認めて登録するのか?」に問われると、施井氏は「アートの民主化とはハードルに下げるという一言に尽きる」と断言。売りたい人も買いたい人もマネジメントしたい人もすべての人にとって参入障壁を下がることを目指したいと述べた。

また「どんな作品がアートになるかどうかは分からない」としながらも、江戸時代の浮世絵師・葛飾北斎の作品も昔はアートとして広く評価されていたわけではない点を挙げ、「いまアートとして扱われていないものもアートとして扱わなければいけない」「二次創作もキャッチできるようなインフラにしなければいけない」と説明。(大手美術館やギャラリーのみが参加できるプライベートチェーンではなく)パブリックチェーンである必要があるとの認識を明らかにした。

青木氏が「ゲームの世界ではアイテムやキャラをゲーム間で共有する新しい世界を見たい。どんなゲームが生まれるか見たい」との希望を述べると、ゲームを研究していたという施井氏は青木氏に「そういう世界をつくってほしい。ツールやキャラだけじゃなく、がんばってキャラのレベル99まであげたのに(続編で)イチから始めるというのも嫌だ(笑)」などと話していた。

3月のCoinDesk日本語版ローンチ後は読者向けのイベントとして開催

セッションの後、およそ1時間にわたって交流会の時間が設けられ、参加者が名刺交換をしながら交流を深めていた。また経験共有Q&Aコミュニティ「QCCCA(キュカ)」のプレゼンが行われた。

ZコーポレーションおよびN.Avenueは今後もブロックチェーン関連のイベント開催を予定している。3月のCoinDesk日本語版ローンチ後は、読者向けのイベントとしてZblockを続けるほか、ブロックチェーン白書の発刊や大型カンファレンスの開催を予定している。

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