(本記事は、横山利香の著書『リスクが嫌いな人のお金の教科書』WAVE出版の中から一部を抜粋・編集しています)

景気の実感はどの金融商品を選んだかで違います

ネット銀行
(画像=MK photograp55/Shutterstock.com)

ここまでの説明で、銀行の普通預金にお金をただ預けているだけでは、生きているうちにお金が増えないことを理解した人も多いことでしょう。

これまで何度も触れたように、2012年末から始まった景気は戦後2番目の長さになっているにもかかわらず、多くの人が景気回復を感じない「実感なき景気回復」というふうにも呼ばれています。なぜ景気の回復を実感していない人が多いと言われているのでしょうか。

景気回復は、企業の業績を回復させ、結果、株式市場の上昇、不動産価格の上昇といった形で現れています。しかし、日本では安全、安心を資産運用の中心に据える人が多いため、金融資産の半分以上を「現金・預金」で保有しているという状況があります。長く〝超低金利〞の状況が続いていることもあり、現金や預金で金融資産を運用している人はお金が増えることはほとんどないため、景気回復を実感できないわけです。

一方、株式などの金融商品で資産を運用している場合であれば、それなりに景気拡大の恩恵を受けている人も少なくないでしょう。

たとえば、日本の株式市場の代表的な株価指数である日経平均株価を見ると、1012年11月末の株価は9000円台でしたが、2018年10月には2万4000円台まで上昇しました。

日経平均株価は景気拡大とともに時間をかけて2.5倍程度までに上昇しているわけですから、リスクをとって株式投資で少しでも運用していた人は景気拡大を実感できた可能性が高いでしょう。

つまり、どの金融商品に金融資産を預けていたのかで、景気回復を実感できている人と、実感できない人とに分かれてしまったのです。

日本では、金融資産の半数以上を「現金・預金」が占めているために、景気回復を実感できていない人が多くいる状況になってしまっているのでしょう。

ネット銀行に新規に口座を開いてキャンペーン特典をGET!

とはいえ、いままでリスクをとったことがない人にいきなり「投資を始めて」と言っても、なかなか一歩を踏み出せないでしょう。

ならば、投資商品にチャレンジする前に、ネット銀行の定期預金に預けることから始めてみてはどうでしょうか。

というのも、スマートフォンで課金ゲームを楽しんだりする人は意外に多くいるのに、「大切なお金をインターネットで取引するなんて不安」「店舗がないと何かあった時に心配」と考える人は意外に多く、ネット銀行に口座を持っていないという人も少なくないからです。

ネット銀行の定期預金は一般的な銀行よりも高く設定されている場合が多いので、まずはネット銀行に口座を開設してみましょう。

ネット銀行の定期預金は、現在、100万円未満を預ける場合は0.15%が一般的な目安になるでしょう。

たとえば、KDDIと三菱UFJ銀行が設立したじぶん銀行では、新規に口座を開設した場合は、1年物の定期金利が税引き前0.15%になります。0.15%は大手銀行の定期預金金利0.01%の実に15倍、50万円を預けた場合には税引き前で750円、100万円なら1500円の利息を受け取れます。ただ、これは新規に口座を開設した人限定のキャンペーン(「デビュー応援プログラム」)なので注意してください。

ホームページなどを研究して自分に合ったネット銀行を探しましょう

三井住友信託銀行とSBIホールディングスが共同出資で設立した住信SBIネット銀行も注目です。2019年3月の時点では、1年物の定期預金金利は税引き前で0.02%ですが、キャンペーン時に1年物定期で0.20%という好金利を提示することがあります。50万円を預けた場合、税引き前で1000円の利息を受け取れるようになります。ホームページを定期的にチェックするといいでしょう。

また、大和証券が出資して設立した大和ネクスト銀行は1年物定期(最低預入金額10万円以上)で0.10%を提示しています。ただし、大和証券に口座を開設することが条件になります。

もう少しお金を増やして、100万円を預金できるのなら、オリックス銀行の「eダイレクト定期預金」の3年物の金利が税引き前0.25%、5年物なら税引き前0.30%です。100万円を5年間預けた場合には税引き前で1万5101円の利息を受け取れる計算になります。

ちなみに、普通銀行のあおぞら銀行でも、100万円以上なら「あおぞらポケット定期」の1年物の金利が税引き前で0.15%を提示しています。さらに、別の取引口座になるあおぞら銀行インターネット支店では、2019年3月末まで、1年物の定期預金(あおぞらネット定期)の金利を税引き前0.25%とするキャンペーンを行っていました。

ボーナスなどの時期には、各銀行が独自にキャンペーンを行う場合があります。あおぞら銀行インターネット支店でもまた実施される可能性はあるので、おトクな金融商品がないか常にアンテナを張り巡らせておいたほうがよいでしょう。

ネット銀行というと、一般的な銀行のような店舗がないために利用に不安を感じる人も多いかもしれません。

しかし、預金残高や保有する金融商品に応じて、ATMを利用する際にかかる手数料の無料回数を増やすなどの対応を行っていますので、そう不便を感じることもないでしょう。

カード保有で金利引き上げやデビットカードでキャッシュバックも

預金残高や保有する金融商品に応じて、普通預金にもかかわらずネット定期並みの金利を提供しているのがイオングループのイオン銀行です。

イオン銀行の通常の普通預金金利は0.001%ですが、イオンが発行している年会費無料のクレジットカード「イオンカードセレクト」を保有するなどすると、普通預金の金利を最大0.12%まで引き上げることができるのです。

普通預金でネット定期なみの金利を受け取れるのに、定期預金のようにお金が拘束されませんから、必要な時に引き出せるので便利です。

また、ソニーフィナンシャルグループのソニー銀行には、「Sony Bank WALLET」というデビットカードとしても使えるキャッシュカードがあります(デビットカードとは、クレジットカードとは異なり、お買い物代金を銀行の預金口座からリアルタイムで引き落とすものです)。

多くの銀行では一般的に、預金残高や取引している金融商品などに応じて、受けられるサービスが異なる仕組みをとっています。ソニー銀行では利用状況に応じて、複数のステージが設定されています。

「Sony Bank WALLET」のデビットカード機能を利用してお買い物などを行うと、ステージに応じて利用金額に対して0.5%から2%がキャッシュバックされます。ただし、1か月20万円までがキャッシュバック上限金額に設定されています。

使いすぎを心配して、クレジットカードの利用に抵抗がある人の場合、デビットカードならそのまま預金口座から引き出されますので、現金感覚でキャッシュレス生活を送れるようになりますのでおすすめでしょう。

あまり深く考えずに、使い慣れている身近な銀行をつい利用してしまいがちな人は多いでしょう。

しかし、ネット銀行を利用すれば金利がおトクですから、わずかではありますがお金を増やすことができます。

手堅く堅実に増やすための第一歩として、まずはネット銀行の利用を検討してみましょう。

リスクが嫌いな人のお金の教科書
横山利香(よこやま・りか)
国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe)。
日本FP協会認定ファイナンシャルプランナー。
金融系出版社を経て独立。株式や不動産など、投資に関する執筆やセミナー、投資塾などを開催している。著書に『お金を増やす勇気 貯金から投資へマインドチェンジする! 知識ゼロでもわかる!投資の始め方』(日本文芸社)、『図解10万円から始める!誰でもラクラク株投資生活』(辰巳出版)などがある。

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