(本記事は、横山利香の著書『リスクが嫌いな人のお金の教科書』WAVE出版の中から一部を抜粋・編集しています)

お金を増やすには、お金の仕組みを知ることが重要です

お金,知識,学ぶ
(画像=PIXTA)

みなさんのお金は着実に増えていますか?

「うーん、よくわからないなぁ。増えているんじゃないかな?」と思った人は、あまりにもお金に無頓着です。お金に関心がなさすぎるということは、お金が日々どういう動きをしているのか気にしていないということになりますから、お金が増えていない可能性が高いかもしれません。少しでもいいので自分のお金が着実に増えているのか、すぐに確かめてみましょう。

もしお金が増えていないのであればこれからお金を増やすために、お金が少ししか増えていないのであればお金をもっと増やすために、お金の流れや仕組みに対して敏感になって、お金を増やす仕組みについて理解を深める必要があります。

というのも、お金に無頓着な人や、リスクをとることに抵抗感がある人には、お金を運用することについての知識が少ないことが多くあるからです。

「同じ職場で働いているから、そんなに変わらないお給料をもらっているはずなのに、家族で海外旅行に行くなど、いつも優雅な暮らしを送っている」 というような人が、あなたの周りに一人や二人はいるのではないでしょうか。

優雅な生活を送っているように見える人たちの多くは、お金の流れや仕組み、そして、新商品や新サービスに対して敏感な人が多く、お金が増えやすい、集まりやすい生活を普段から積極的に送っている場合があります。

お金を増やすための生活を送ることが生活の一部になってしまって苦に感じていない人と、まったく何もしない人とでは、同じお給料をもらっているにもかかわらず少しずつ生活に差が出てしまい、それが年月とともに積み上がって優雅な生活を送っているように見えてしまっているのです。もちろん、なかにはお給料をもらったらもらっただけ使って優雅な生活を送っている人もいますが......。

もしあなたが、将来への不安を少しでも解消するためにお金を増やしたいと考えているのであれば、お金が増える仕組み、そして、お金の流れをいますぐ理解することから始めましょう。

普段の行動一つひとつがお金を増やすことにつながっていること、そして、一つひとつできることからコツコツと積み上げていくことで、お金がどんどんあなたの元に集まってくることを実感できるようになるはずです。

老後の生活が不安だから、お金を減らしたくない

まずは、お金を増やすための種銭をつくるために、そのお金を得る方法から考えてみましょう。

あなたは、お金を得るためにはどのような方法を思いつきますか?

正社員なのか、派遣社員なのか、アルバイトなのか、働き方はさまざまですが、お金を得るための方法として会社などで働くことを思いつく人が多いかもしれません。仕事の内容や、その人の能力などによって得られる金額は異なりますが、働けば働いた分だけお金は得られます。一般的には、高校や大学などの学校を卒業してから会社員として働き、平日朝9時から夜6時頃までの約8時間、定年退職するまでのおよそ40年間働き続けます。

日本経済が高度成長期だった頃は、会社員として働くことで安定的な収入を得ることができ、その収入は右肩上がりに増えました。そして、定年退職後は公的年金制度によって年金収入を得るという安心感がありました。お金の使い方次第ではありますが、いま働いている現役世代に比べれば、それなりに余裕のある老後の生活を送っている人が多いかもしれません。

「失われた10年」というふうに言われたりもしますが、バブル崩壊を経た日本経済は、いま戦後2番目の景気拡大期にあります。しかし、「実感なき景気回復」とも言われるほど、景気拡大を実感している人は少ないとも言われています。

というのも、日本では少子高齢化が進み、年金や健康保険などといった社会保険料の負担が増大しているため、私たちが受け取る手取りの所得が年々減少傾向にあるからです。景気が拡大しているにもかかわらず、手取りで使えるお金が増えないため、生活が楽になったという実感がわかないのでしょう。

さらに、最近は景気回復や人件費の高騰などによって、食料品をはじめとしたさまざまな物の価格が値上がりしています。仮に価格が上がらなかったとしても、内容量が少なくなる「シュリンクフレーション」が採用されている場合もあり、結果的に価格が上昇している状況が多くあります。

さまざまな負担が増えている状況もあり、生活が潤ってきたという実感がなかなかわかないのです。

そのうえ、少子高齢化の進展で公的年金制度を支える働き手が減少することで、「将来、受け取れる年金額が減少するのではないか」「将来年金を受け取る年齢を引き上げられるのではないか」といった報道が行われています。

なかなか所得が増えない状況だからこそ、日本経済を支えている若い世代を中心に老後の生活への不安が高まり、「いまあるお金を極力減らさないようにしよう」という動きにつながっているのかもしれません。

お金を増やすには発想の転換が必要です

しかし、「お金を減らさないようにしよう」という考え方は、そもそも収入が増えないという前提です。収入源は本業による収入が一つだけだと思いこんでいるため、「収入が増えないから、お金を減らさないようにしよう」という考えになってしまうわけです。

本業による収入が増えないのなら、収入源を増やすことでお金を増やそうというふうに発想を転換しなければ、いつまでたってもお金を増やすことは難しいでしょう。

収入源を増やす方法は、大きく分けて3つ考えられます。

1つめは、いま働いている仕事に加えて、さらにお金を稼ぐために収入源となる仕事、つまりお給料を増やすという方法です。たとえば、平日の昼間に会社員として働いている人の場合には、夜や休日に別の仕事で働くわけです。アルバイトなど働き方はいろいろありますが、いわゆるダブルワークの状況になります。仕事が増えれば単純に収入源が増えますから、所得金額も増えます。

「将来的に〇〇で起業したい!」などと考えてダブルワークを行う場合には、夢や自己実現のためですから、多少の困難も経験と考えられますし、むしろ楽しみのほうが大きいかもしれません。

しかし、収入を増やすためだけのダブルワークは、収入が増える分だけ自分が働く時間が増えることになります。収入を一時的に増加させることはできるでしょうが、体力面や健康面から考えても、ダブルワークを長く続けることにはいずれ限界がくる可能性が高いでしょう。仕事を増やして収入源を増やす方法は、長く続けられないことがデメリットだと言えるかもしれません。

2つめは、節約を行って日々の生活を切り詰めることで、使えるお金を増やすという方法です。たとえば、電気契約のアンペア数を下げることで基本料金を引き下げたり、こまめに電気を消したり、近所のスーパーでお買い物をする時にはいつも底値で買えるように普段から価格チェックをしておくなど、生活のなかに節約できることはたくさんあります。

たとえば、契約している電気契約のアンペア数を下げるだけで、毎月支払う基本料金を数百円下げることができます。1か月では数百円かもしれませんが、1年間で見れば数千円にもなります。また、家計のなかでも意外と高い割合を占めているのが携帯電話料金です。利用の仕方にもよりますが、家族4人で2万円程度という家庭も珍しくはありませんが、格安携帯電話会社に乗り換えれば、毎月の支払金額を半分以下に引き下げることも不可能ではありません。

節約をいままで一度もやったことがないという人は、これらの節約をいますぐ実行しましょう。節約を行えば生活のムダが省かれますので、収入が変わらなくてもお金が新たにつくりだされるようになります。最初のうちは、節約による効果の大きさに楽しみも大きくなることでしょう。

リスクが嫌いな人のお金の教科書
横山利香(よこやま・りか)
国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe)。
日本FP協会認定ファイナンシャルプランナー。
金融系出版社を経て独立。株式や不動産など、投資に関する執筆やセミナー、投資塾などを開催している。著書に『お金を増やす勇気 貯金から投資へマインドチェンジする! 知識ゼロでもわかる!投資の始め方』(日本文芸社)、『図解10万円から始める!誰でもラクラク株投資生活』(辰巳出版)などがある。

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