ここ数年、数多くのインターネット専門を売りとする生命保険会社が立ち上げられ、多くのCMを目にするようになりました。しかし、いざ契約となると、対面で話を聞いてから決めたいという人も多いのではないでしょうか。
公益財団法人生命保険文化センターの「平成30年度 生命保険に関する全国実態調査(速報板)」によると、インターネットを含む、通信販売を通じて保険に加入した人の割合が、6.5%と非常に低いことが分かります。一方、対面営業による加入は53.7%と、保険業界においてはまだまだ対面営業の方が主流のようです。
今回は自分が本当に必要な保険に入るために、保険の営業員に相談する際にチェックすべきポイントを見ていきます。保険の営業員にとって痛いポイントを突く質問も挙げていきますので、契約を検討する時の参考にしてください。
保険の営業員が「嫌がる質問」【1】「その『ご家族のため』は、わが家にとっても必要だという根拠を教えてください」
結婚・子供の誕生など、人生の節目に保険の営業担当者が会いに来た、という方もいることでしょう。その時に、必ず使われるのは「ご家族のために」という言葉です。自分に万が一のことがあった場合の子供の教育資金、家族の生活が心配、と考えるかもしれません。しかし、冷静に考えると取り越し苦労である場合も多くあります。
まず、一番気になる住居費・生活費ですが、定年まで働いて得られる賃金程度は準備しておかないと、と考える必要はありません。持ち家で住宅ローンを抱えている場合は、団体信用生命保険で支払いを済ませてしまうことができます。また、賃貸住宅であっても家族が減るため、今よりも狭く家賃の安い家へ引っ越すという選択肢もあるでしょう。
生活にかかる費用にしても、今までの預貯金がある人や、実家に助けてもらえる人も多くいるはずです。営業担当者から「ご家族のために」と言われたら、「何を根拠にそう思うのか」を必ず聞いてください。具体的に数字を出してもらいながら説明してもらうのもおすすめです。「子供が独立するまで、数千万円は必要だ」と、契約を焦る前にやるべきことはたくさんあります。
保険の営業員が「嫌がる質問」【2】「なぜ、その保険金額、給付金額が必要なのでしょうか?」
みんなと同じものならば大丈夫、という日本人の性格に合わせた営業トークです。ですが、家族形態や必要な金額、実家の援助の有無で必要な保険は違ってきます。
「みんなが入っている」ならば、「その保険がどんな人にでもおすすめの理由は何ですか、どうしてわが家にも合っていると思うのですか」と質問してみてください。納得のいく回答は得られるでしょうか。1つの保険商品が誰にでも最適なわけはありません。CMでよく見かける保険商品であっても、自分には必要なのかどうか、しっかり考えるようにしましょう。
また、営業担当者に「みんなが入っているなら、あなたの家族・親族もその保険に加入していますか」と聞いてみるのもおすすめです。「もちろん加入しています」と答える担当者が大多数かもしれません。ですが、「なぜお宅ではその保険金額・給付金額が必要なのでしょう」と聞いてみると、しっかり回答できるでしょうか。この問いに回答できないのならば、急いで契約を決めないでください。「ノルマのため」「自社の商品だから」などの理由があるのかもしれません。
反対に、「子供が〇歳で、大学卒業までに〇万円必要になる予定。もし下宿するとしたら、さらに〇円上乗せして……」など、具体的に数字を出して説明できる人ならば、もっと話を聞いてもいい担当者です。
保険の営業員が「嫌がる質問」【3】「そのおすすめ商品、販売手数料が高いのはなぜですか?」
手数料の件は社外秘になっていることも多いため、はっきりとは答えられなくても、どうしてこの商品がいいのか、なぜあなたにすすめるのかは回答があるでしょう。全く答えられないのならば、契約は考え直すことをおすすめします。
ちなみに、保険会社では、特定の商品を強化的に売り出すキャンペーン時期を設けることがあります。その時期は、販売手数料の上乗せなどのインセンティブが付与されることが多いのです。もちろん、営業担当者の収入につながりますので、該当の商品を一生懸命おすすめします。職場に営業に来ている場合は、自分だけでなく職場の全ての人に同じ商品をおすすめしていることもありますので、気を付けて周りを観察してみてください。
保険は「高い買い物」だからこそ、いい営業担当者と出会いたい
対面で保険契約するのは面倒、営業担当者はいらないのでは、と思う人もいることでしょう。しかし、営業担当者が付いていることで、保険金・給付金の請求漏れが防げたり、適切な時期の見直しができたりと、良い面もたくさんあります。
保険は住宅購入と並んで「人生の中で最も大きな買い物」と言われるものです。だからこそ、信頼できる営業担当者と出会うことが大切ではないでしょうか。疑問に思うことがあったら、どんどん質問をぶつけてみて、納得の上で契約を決めるようにしてください。
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