投資でリターンを追求するとき、同時にリスクも高まることを忘れてはならない。より高いリターンを狙う場合でも「安全資産」をヘッジに活用して安全性を高めるべきだとよく言われるが、その「安全資産」について、われわれ個人投資家はどこまで理解できているだろうか。安全資産が持つ性格や種類、そして実際の安全性などについて知れば、安定した資産運用につながるだろう。

目次

  1. 安全資産とはなにか? 保有する意味は?
  2. 金融資産が持つ3つの性格と安全資産の条件
  3. 「安全性」「流動性」「収益性」どれを重視するのか。安全資産の比率とは
  4. 安全資産の代表的な商品とその特徴
  5. 安全資産は本当に安全でリスクはないのか
  6. 資産の安全性を高める4つの方法
  7. まとめ:資産形成の目的をしっかり決め、安全資産をバランスよく配分しよう

安全資産とはなにか? 保有する意味は?

投資家として知っておきたい「安全資産」とは。種類と特徴、リスクが小さいその理由を解説
(画像=WilliamW.Potter/stock.adobe.com)

「安全資産」とは、元本が減るリスクの少ない金融資産のことである。キャッシュ(現預金)や国債など、「価格の変動(ボラティリティ)」の低い資産がそれにあたる。

たとえば、キャッシュを保有していれば元本が減ることはないし、国債は債券価格が下がったとしても、発行した国が破綻さえしなければ、償還まで保有すれば元本が返ってくる。安全資産の特徴として、元本が減るリスクは低いが、大きく増える可能性も低いことが挙げられる。

▽ボラティリティ

証券などの価格の変動性のこと。期待収益率が期待通りとなる度合いを示す。ボラティリティが高ければ期待収益率から大きく外れる可能性が高い。

引用:野村證券|証券用語集解説 | ボラティリティ(ぼらてぃりてぃ)

安全資産の反対は「高リスク資産」。その特徴を確認しよう

逆に、価格変動が大きく「ボラティリティが高い」とみなされる金融商品は「高リスク資産」である。元本が減るリスクが大きい金融資産であり、株式や不動産などがそれにあたる。

投資において、高リスク資産は「ハイリスク・ハイリターン」、安全資産は「ローリスク・ローリターン」だといえる。投資において高リターンを狙う場合にリスクはつきもので、この関係を「リスクとリターンのトレードオフ」ともいう。投資をする場合、リターンを追い求めることは大切だが、常にリスクヘッジも考えておくべきだ。

投資家は長期の資産運用を考えるうえで、まずは安全資産で資産のヘッジの仕方や、資産の守り方の基本を知っておかなければならない。

世界一の投資家として有名な米国のウォーレン・バフェット氏は、金持ちになるための2つのルールとして以下の言葉を残している。

「第1ルール、損しないこと。第2ルール、第1ルールを忘れるな。」

つまり、資産運用において、安全資産をポートフォリオに組み込むことはマストなのだ。

▽安全資産とリスク資産の主な違い

安全資産とリスク資産の違い
画像:筆者作成