金融資産が持つ3つの性格と安全資産の条件
金融商品には、リスクとリターンなどを見極めるための基準となる「安全性」「流動性」「収益性」という3つの性格がある。自分の運用目的や計画に応じてどの性格を重視するかあらかじめ整理しておくことが、運用計画の第一歩だ。
そのためまずはそれぞれの性格について重要なポイントを理解しておこう。また、各商品がどのような性格を備えているか理解することも、ポートフォリオをバランスよく組むために必要になる。
安全性:安全資産は元本割れしにくい
安全性とは、どれだけ元本が保証されているかをいう。高いリターンが望める金融商品であっても、元本割れを起こす可能性のある商品は「安全性が低い」とえる。
また、一般的に預金は安全性が高いと言われるが、金融機関が破綻する可能性もゼロではない。安全性を考える上では、破綻した場合に預金保険制度でカバーされるか確認しておくことも重要だ。
流動性:安全資産は流動性を備える
流動性とは、換金のしやすさだ。一部の金融商品はすぐに換金できなかったり、中途解約ができなかったりする。解約ができる場合でも、解約手数料がかかったり解約時の買取価格が低かったりすると結果的にコストが高くなる。
特に決まった目的のために投資を行う場合は、その資産が望むタイミングで現金化できる流動性を備えているか確認しておく必要がある。
収益性:安全資産はリスクが低い=収益性に低い
収益性とは、期待できる収益の度合いを意味する。先述のとおり、安全性と収益性はリスクとリターンの関係であり、収益性の高さはリスクの高さと言い換えることもできる。また、収益性が高い商品は流動性が低いとされており、こちらも両立は困難だ。
「安全性」「流動性」「収益性」どれを重視するのか。安全資産の比率とは
「安全性」「流動性」「収益性」のすべてが優れた金融商品はない。特に「安全性」と「流動性」は相反するし、「流動性」と「収益性」も相反することが多い。
金融商品を選ぶときには、まず投資の目的と期間をはっきり決めることが重要だ。そのうえで、どの性格をもっとも重視するかを、それぞれの長所・短所をチェックしながら決める。
結婚や出産、子どもの進学など将来のある程度の資金需要が決まっている場合は「安全性」を重視する。20代など若く、数年内にこれといった使用目的がない場合などは「収益性」を重視した資産形成をするとよいだろう。
大切なのは比率を計画し、安全資産の比率を定期的に見直すこと
繰り返しになるが「安全性」「収益性」「流動性」の3つの性格が優れる商品はない。自分のライフスタイルと、予想される生活の変化にあわせて運用計画を見直し、安全資産とリスク資産の比率を見直すべきだろう。
ライフステージの変化に合わせて運用を変更する例として、以下のようなケースが考えられる。まず、20代など若いうちは「安全性」と「流動性」の高い資産を合わせて20%、「収益性」重視の資産を80%で運用する。
結婚した場合は、安全資産の比率を少し高め、「安全性」「流動性」の高い資産を30%、「収益性」重視の資産を70%にする。
その後、子どもが大学を卒業した、とすれば、「安全性」「流動性」の高い資産を10%、「収益性」重視の資産を90%に戻す、といった具合だ。
ここからさらに、定年が近くなりリスクを取りにくくなる年齢になったら、「安全性」「流動性」の高い資産を70%に高め、「収益性」重視の資産は30%に抑えるなど、資産の比率はライフステージごとに見直すことが大切だ。