資産の安全性を高める4つの方法
安全性だけを考えて資産を運用していると、気がついたら運用資産のポートフォリオがすべて債券になってしまうかもしれない。資産運用はあくまで、安全性も考えながらリターンを狙うのが目的だ。
特に30歳以下など若い人が老後の資産形成を目的に長期投資をする場合、株式投資などハイリスク・ハイリターンの商品で積極的にリターンを狙うことも検討すべきである。年齢が若いうちは損失が出ても取り戻せる時間があるためだ。
重要なのは、積極的にリターンを狙いつつもリスク分散を行うことだ。ここでは投資のリスクを分散し、資産の安全性を高める代表的な手法を紹介しよう。
資産の分散
各投資先に資産を配分し、リスクとリターンのバランスを取ることを「アセットアロケーション」という。長期運用においては、この配分の比率が運用成績を左右する一番のファクターだといわれる。
基本的には、自分の運用方針、目標金額、期間などに応じて、収益性、安全性、流動性のバランスを決定し、そこからどのように資産を分散投資するかを決める。
原則としては、年齢が若く、かつ老後資金など長期目標のために投資を行う場合は、ハイリスク・ハイリターンな資産である株の比率を高くする。対象的に、家を建てる、結婚する、子どもが進学するなどの理由で近い将来の資金需要が見込まれるときは、安全性や流動性が高い資産の比率を上げるといいだろう。
ちなみに、日本国民の公的年金を長期にわたって運用しているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は、2021年度第3四半期末現在、運用資産199兆円で世界一の年金運用機関である。GPIFのモデルポートフォリオは、日本株・日本債券・外国株・外国債券の割合について、それぞれ25%をターゲットにしている。自分の運用計画を考えるうえで参考になるだろう。
地域の分散
日本だけでなく、各国の資産に投資を行うこともリスクの分散につながる。
昨今は米国株の人気で外国株に分散投資する投資家が増えたが、平成の日本株バブルやリーマンショック前の中国株バブルなどの例からもわかるとおり、1つの国や1つの地域に集中投資するのはハイリスク・ハイリターンだ。
同じ株式のなかでも、日本国内株のほかに、地域や通貨、先進国か新興国かの区分をもとに、さまざまな国の株式を組み合わせるとリスクを軽減できる。
時間の分散(ドルコスト平均法)
積み立て投資は、時間による価格変動のリスクを分散できるため、特に長期の投資において効果が高い。
そのなかでも、購入量(口数)ではなく購入金額を一定にして商品を定期的に購入する投資戦略を、ドルコスト平均法という。
ドルコスト平均法で分散投資を行うと、価格が高いときは買い付ける口数が少なくなり、安いときは多くなるため、購入平均単価を抑えることができる。時間分散の効果をより高めるためにも有効活用したい。
長期保有を味方につけリスクを軽減する
長期投資とはその名のとおり、長い期間にわたって投資を続ける方法である。
長期運用の一番のメリットは複利効果だろう。たとえば、毎月3万円を35年積み立てると投資元本は1,260万円だ。ただ、それを35年間年利3%で複利運用すると、資産は約2,220万円に膨れ上がる。
過剰なリスクを負った投資を行わなくても、長期投資でコツコツ運用すれば、複利の力で十分に資産形成は可能だ。