確定拠出年金,DC
(写真=Thinkstock/Getty Images)

老後資金を貯めることが目的の確定拠出年金(DC)。そのDCには大きなメリットがある。拠出金、運用利益、一時金または年金のいずれも、所得税・住民税の計算において税制優遇を享受できるというものだ。

しかしDCは、運用商品を自分で決めなくてはいけない。どのような商品にいくら配分するかを考えていかなければいけないのだ。その商品の組み合わせを「ポートフォリオ」という。当然ポートフォリオ運用の結果次第で、つまり老後資金の額も変わってくる。

今回は、老後の生活が現実味を帯びてきた50代にお勧めの「DCポートフォリオ」を紹介しよう。

運用商品のリスクと特徴を理解する

今回、筆者のFP事務所を訪れたAさんは53歳で年収800万円の男性管理職である。家族は妻50歳で年収300万円(30歳から正社員として勤務)、貯蓄は1000万円、退職金予定額は1500万円。自宅は持ち家、リフォーム費用は貯金で賄う予定である。

そんなAさんは、毎年源泉徴収票をもらう度に支払税額に驚いている。何か節税できる方法はないかと、今話題のDCに興味を持った。会社には企業年金がないので、個人型の資料を取り寄せたが、投資経験が全くないAさんにはどの商品をどれぐらいの割合で選べば良いか分からない。結局、全て元本確保型の商品を選ぼうかと考えている。

確かに元本確保型を選べば、元本が減ることはない。しかし、今の超低金利時代、元本以上には全く増えないということになる。また、インフレになった時には資産の目減りさせることにもなりかねない。さらに、DCでは毎年「口座管理料」が発生するのである。

やはり、DCを始めるからには「資産運用」をしっかり考える必要がある。そのためには、商品のリスク(価格変動の幅)と特徴、そして年代別の基本的な考え方を理解しておくことが大切だ。以上を踏まえたうえで、商品のリスクと特徴について説明しよう。

商品には「元本確保型」と「元本変動型」がある。さらに「元本変動型」には大きく分けて以下の6つに分類される。

(1) 国内債券型
(2) 国内不動産型
(3) 国内株式型
(4) 外国債券型
(5) 外国不動産型
(6) 外国株式型

資産運用のリスクを下げるには分散投資をすることが重要だ。株式、債券、不動産の区分だけではなく、国内か海外かで分けることも考えなければならない。外国商品は、価格変動リスクに加えて「為替リスク」もあるため、国内型よりもリスクは大きくなっていくことは覚えておきたい。

50代世帯は「住宅取得資金」「教育資金」の心配はいらないが、その一方で老後資金が具体的にいくら必要か心配になってくる年代である。受給が視野に入った頃に、リスクの高い商品に大きく比重を置いたままにしていると、受給年齢になったとき資産が大きく目減りしていた場合、それを取り返す「時間」的なメリットがない状況になってしまう。従って、50代からは時間の経過とともに少しずつリスクの低い商品、または元本確保型の商品の比重を増やすことが必要だ。

DCポートフォリオの具体例

ポートフォリオを決める上で重要なのが「リスク許容度」と「求めるリターン」である。リスク許容度とは、どれくらいのリスクを取ることができるかという「程度」をいう。主な要因は投資期間、収入、保有財産で、この3つが大きいほどリスク許容度は大きいといえる。

一方「求めるリターン」とは、拠出する人が運用することによって、いくらの利益を望むのかというものだ。多くのリターンを期待するのであれば、リスクの大きい商品を選ぶことになり、価格の変動幅は大きくなる。

Aさんのプロフィールからリスク許容度は大きいと判断できるが、Aさんにヒアリングすると、「投資は初めてなので大きなリターンは望まず、定期預金の利息以上は欲しい」ということであった。50代の相談者にはこのような方が多いので、筆者は以下のポートフォリオを勧めている。

(1) 国内債券  40%
(2) 外国債券  30%
(3) 国内株式  15%
(4) 外国株式  15%

上記のようにポートフォリオを決めれば、それで終わりではない。運用するなかで、当然価格の変動があるので、時間が経てば資産の比率は変わってきてしまう。その比率をポートフォリオで定めた比率に戻すことを「リバランス」という。

必要に応じて「リバランス」と「スイッチング」

リバランスするためには、値上がりして比率が増えた商品を売って、値下がりして比率が減った商品を買い増す「スイッチング」が必要となる。値上がりしたものを売って、値下がりしたものを買い増すというのは勇気が必要だ。しかし、長期投資ではそのことがとても大切なのである。

また、資産配分そのものを変更することが必要になることもある。「病気になり収入が激減した」「急に大きな出費が必要となり貯蓄が減った」など、リスク許容度が極端に小さくなった場面では、元本確保型の比率を大きくする必要があり、その場合もスイッチングをすることとなる。

DCではスイッチング自体にはコストはかからないが、商品購入時や解約時に手数料がかかる。3カ月に1回以上スイッチングができるように、DC法で決められているが、あまり頻繁にするのはお勧めできない。お誕生月にはポートフォリオの確認をする、くらいに考えておくといいだろう。

最後に、商品を選ぶときに重要なのが「信託報酬」だ。投資信託を保有している期間ずっとかかってくる手数料で、一般的にリスクの大きい商品の信託報酬は高く、リスクの小さい商品は低くなっている。DCにラインナップされている商品の信託報酬は一般と比較すれば低いものの、長期投資ではその差は結果的に大きな額となる。商品選びの際には十分注意してほしい。

小野みゆき 中高年女性のお金のホームドクター
社会保険労務士・CFP・1級DCプランナー
企業で労務、健康・厚生年金保険手続き業務を経験した後、司法書士事務所で不動産・法人・相続登記業務を経験。生命保険・損害保険の代理店と保険会社を経て2014年にレディゴ社会保険労務士・FP事務所を開業。セミナー講師、執筆などを中心に活躍中。 FP Cafe 登録FP。