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(写真=Thinkstock/Getty Images)

強制年金システムが作られたのは、1889年のドイツが始まりとされている。かの有名なビスマルクによって制度化されたものだ。日本では、明治期の恩給制度という軍人のための制度が始まりとされている。現在では、国民全員が支え合い、高齢者を支えるシステムとなっている。しかし、昨今の人口減少により、その危うさが叫ばれ、自身で老後に対しての備えを行わなくてはならない時代になったと言える。

今回は、自分の老後を守るための一つの選択肢である確定拠出年金制度について解説していく。


個人型確定拠出年金、通称iDeCo(イデコ)とは

確定拠出年金は、確定拠出年金法を根拠とする私的年金制度である。私的年金とは、国民年金、厚生年金、共済年金などの公的年金とは異なり、任意で加入する年金制度である。

日本では、2001年から制度が開始されたものの、まだまだ国民全員の深い理解が得られていないのが事実であろう。この制度は、アメリカの401Kという制度を模して導入され、日本版401Kと呼ばれる。今年2016年には個人型確定拠出年金に、Individual-type Definesd Contribution pension planの頭文字を取り、iDeCo(イデコ)という愛称がつけられた。

確定拠出年金には、企業型と個人型という2種類が存在する。今回は、個人型確定拠出年金(以下、iDeCo)にスポットを当てる。この制度は、一言で言えば税制面で大きなメリットを受けることのできる、積み立て型の年金制度である。うまく活用すれば、老後の備えになるだけではなく、資産運用の重要な軸ともなりうるものだ。

iDeCoは誰が使えるのか

では、そのiDeCoは誰が加入できるのだろうか。実は内容の改正があり2017年1月から、20歳から60歳までの方であれば加入できることになり、加入者の要件が緩和される。

ただし、自営業などで国民年金保険料を免除を含めて納めていない方、農業者年金基金の被保険者、企業型の確定拠出年金に加入している方、勤務先で厚生年金基金、確定給付企業年金、石炭鉱業年金基金に加入している方は対象外である。

従来は専業主婦、公務員の方は加入ができなかった。それが今回の改正により緩和された箇所である。

運用する商品の種類はそれぞれどう違うか

iDecoを始める場合には、金融機関で自身に適した金融商品を選ぶことになる。

大きく分類した時、元本保証型とそうでないものがある。年金なのに元本保証ではないものがあることに疑問を抱く方もいるかもしれない。これが確定拠出年の大きな特徴の一つでもある。つまり、あなたの将来設計に応じて商品を選ぶことができるのだ。

確実に積み立てたお金を受け取りたい場合には元本保証型を、資産運用と捉え少しアクティブな投資信託を、といった具合に選択可能である。

個人型確定拠出年金は税制で優遇されるのか

iDeCoの最大のメリットである税制面でのメリットについて見ていこう。iDeCoの掛け金は全額、所得控除の対象となるのだ。毎年、支払った掛け金について掛金振込証明書が発行され、送付される。その証明書を年末調整の際に添付することで控除を受けることができるのだ。具体的には、所得税、住民税の節税が可能となる。

掛け金の平均・上限は

では、掛金をできるだけ多くして節税しよう、と思う方もいるだろうが、実はiDeCoには下限額、上限額が定められている。

下限額は5000円、上限額は厚生年金加入のサラリーマン、国民年金第3号被保険者である専業主婦の方は、2万3000円。国民年金第1号被保険者の自営業の方などは、6万8000円。公務員の方は、1万2000円がそれぞれ月の上限額となっている。

利用している人はどれくらいの金額を掛金としているのかは、それぞれ自身の老後の人生設計により異ってくるが三菱東京UFJ銀行によると(http://www.bk.mufg.jp/sonaeru/401k/chishiki/401k_5.html)60歳で受け取る金額別に、シミュレーションを提示している。

それぞれ60歳から20年間の支給と考えると、約2万7000円の受け取りの場合は、60歳時の資産残高が500万円。約5万5000円で、1000万円。約8万2000円で、1500万円となっている。これらを基に期間と掛金を計算してみてはどうだろうか。

個人型確定拠出年金のデメリット

これだけのメリットがあるiDecoだが、良い面ばかりではないことも十分理解しておきたい。

最大のデメリットは、手数料の問題である。iDeCoを利用する場合には、様々な手数料が掛かる。大きく、国民年金基金連合会に支払う手数料、委託先金融機関に支払う手数料、投資信託を選んだ場合の信託報酬、受け取りの際の手数料の4つに分類できる。

それぞれの金融機関により、手数料の金額は異なっている。少額ではあるが、長い目で見るとかなりの差が出てくる部分でもある。ぜひ、その点に注目して金融機関を選んで欲しい。国民年金基金連合会に支払うものとしては、加入時手数料がある。初回時のみ最低2,777円が掛かる。それに加え、毎月103円(税込)が事務手数料として掛かる。

委託先金融機関は、月々数百円の手数料を取る金融機関が多い。また、投資信託の場合には、商品ごとに年率数%の信託報酬が掛かるので、その点に注意したい。給付を受ける場合には、月々500円前後の金額を設定している金融機関が多い。

企業年金と併用や変更は可能か

先の説明したように、企業年金の制度を利用しているものは対象とはなっていないため、iDeCoを利用できないこととなる。

企業型の確定拠出年金に加入をしており、退職をした場合には一度口座にある資産を売却し、iDeCoの口座で商品を買い付ける必要があるので注意しよう。

株式などの他の金融商品との違いとは

では、他の資産運用、投資とはどのような点に違いがあるのだろうか。

例えば、株式投資を行う場合、運用益や配当金を受け取った場合は課税の対象となる。しかし、iDeCoを利用した場合、投資信託などの運用益が非課税になるだけではなく、掛金も控除の対象となり、2重にメリットがある。つまり、制度をうまく活用すれば、通常の投資を行うよりも利点があると言える。

個人型確定拠出年金の選び方!比較のポイント

iDoCo向けの商品を選ぶ際の最大のポイントは、手数料である。国民年金基金連合会に支払う手数料は、どの金融機関でも一定なのでそれ以外の部分に特に注目してほしい。

運営管理費と信託報酬がより低いものを選びたい。0円という程設定の金融機関から、643円という手数料が掛かる金融機関もある。643円を30年間支払った場合にはなんと23万1480円を手数料として支払う計算になる。

また、年金の受け取りの際には毎月手数料が掛かる。100円の差でも、一年で1200円、20年で2万4000円もの差が出る。

個人型確定拠出年金をご紹介

具体的に例を挙げるとSBI証券は、年金資産残高が50万円以上の場合、運営管理費は0円である。年金資産残高が50万円未満の場合には、324円が掛かるがそれでも低水準と言える。

実際の商品を少し見てみよう。国内株式、海外株式、国内債券、海外債券、国内REIT、海外REIT、バランス型、MMF、元本保証型と金融機関によってラインナップはさまざまである。

例を挙げると、元本保証型として金利が高めのものでは「セブン銀行確定拠出年金専用定期預金5年」という商品がある。5年満期の商品だが、元本と利息を併せて自動継続される固定金利であり、着実に貯蓄をと考えている型には向いている。しかし、中途解約の際には期間に応じた利率が引かれることになるので注意したい。

また、リスクコントロール型の商品として「野村DC運用戦略ファンド(愛称:ネクスト10)」という商品がある。国内外(新興国含む)の株式、公社債、REITを投資対象としており、バランスのとれた内容になっている。ただしこちらは、手数料はかからないものの元本保証ではなく、信託報酬も掛かる商品である。

知ったことはアドバンテージ

確定拠出年金は、まだ十分に内容を理解している人は少ない。しかしながら、これだけの大きなメリットのあるものを知っているのと、知らないのとでは大きな差が生まれることになる。もしあなたが、この制度を知らずに定期預金のみ行なっているような場合、それは税制面でのマイナス分を損していることになってしまう。

もちろん、確定拠出年金は資産運用の選択肢の一つである。用途や目的を明確にし、活用することが何よりも大切となってくる。NISAなどの非課税制度と併用することで、かなり大きな金額で非課税、控除を受けられるかもしれない。

これを読んでいただいたあなたは、もう確定拠出年金を「知っている」人間になった。この制度を生かすも殺すも、あなたの判断になる。ぜひ、最大限に確定拠出年金の制度を活用してもらいたい。