2017年から、個人型確定拠出年金(個人型DC)に加入できる方の範囲が大幅に拡大することはご存知だろうか。
個人型DCは、これまで自営業者や一部の会社員に加入が限られていたが、公務員や国民年金の第三号被保険者(専業主婦など)も加入が可能となる。また、企業年金に加入する会社員も加入できるようになり、企業型確定拠出年金(企業型DC)に加入する会社員であっても、条件が合えば個人型DCにも加入できるようになる。
つまり、公的年金の被保険者であれば誰でも加入できるような仕組みへと変更になるのだ。これに合わせて、個人型DCの愛称が「iDeCo(イデコ)」に決定した。今後は、愛称とともに、認知度向上のための普及活動が実施されていくだろう。
ライフサイクルファンドとは何か?
すでに確定拠出年金に加入されている方や、これから加入を検討される方もいると思うが、どのように運用を行えばよいのかとお悩みの方も多いのではないだろうか。そんな方に、一つの運用方法として「ライフサイクルファンド」を検討してはどうだろうか。
ライフサイクルファンドとは、投資家のライフサイクルにあわせて運用する資産配分が変化するファンドである。運用期間が長くとれる若年層の間はリスクをとり、長期的には高いリターンが得られるように、株式などの比率を高めた運用を行っていく。年齢が高くなるにつれ、運用期間が短くなることから、リスクを減らした安定運用を心掛けるように債券などの比率を高めていくことになる。
このようにして、ライフサイクルを通じて積極運用から安定運用へと資産配分を自動的に変更しながら運用を行うファンドが、ライフサイクルファンドの特徴だ。
ライフサイクルファンドには2種類ある
ライフサイクルファンドには2種類存在する。一つが「スタティックファンド」、もう一つが「ターゲットイヤーファンド」と呼ばれるもの。
スタティックファンドでは、リスク資産である株式、安定資産としての債券などを組み合わせる比率を選べるように「安定型」「安定成長型」「成長型」といったパターンが用意されている。こうしたファンドでは、「バランス30/50/70」といったように表記されており、30や50、70という数字は通常小さい方が安定型、大きくなると成長型の株式への投資比率が大きくなることを示している。そのため、年齢やリスク許容度に合わせて投資するパターンを選択することになる。
ターゲットイヤーファンドとは、退職時などのタイミングに焦点を当てて運用を行うファンドである。例えば2040年に退職する方であれば、2040年まで運用するターゲットイヤーファンドを選択する。こうすることで、ファンドの運用担当者が運用ルールに基づき適宜資産配分比率を変更するため、投資家は特に運用比率等を考える必要がないといえる。
ライフサイクルファンドのメリット、デメリットは?
いずれのファンドも運用のプロがルールに従い、適正な運用を行ってくれる点はメリットといえる。ただし、ターゲットイヤーファンドでは運用比率についてあれこれ考える必要がないが、スタティックファンドでは自分のリスク許容度に合わせて選択する必要があるため、年齢などを考慮し、自らで選択しなければならない。
運用が任せられる反面、何に投資を行っているのか分かっていないというのでは本当に運用を任せてよいのか問題があるといえる。そのため、実際に何に投資をおこなっているのか、運用成果はどうなっているか、定期的に確認したい。そして自身が描いた運用結果に近い状況にあるかどうかも確認したほうが良い。もし運用結果が異なるのであれば、今後の運用方針を検討すべきである。
ライフサイクルファンドの特徴を把握し、ご自身の運用方針に合わせて活用の検討をしてみてはいかがだろうか。(提供: 確定拠出年金スタートクラブ )
※当記事は2016年9月現在の税制・関係法令などに基づき記載しております。今後、税務の取扱いなどが変わる場合もございますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。
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