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(写真=PIXTA)

現在は、会社員などの一部の人しか利用できない個人型確定拠出年金だが、2017年からは「iDeCo(イデコ)」という名称で、ほぼ全ての現役世代が利用可能となる。

個人型確定拠出年金で支払う掛金は、その全額が所得税・住民税の控除対象となる。その税制メリットに注目が集まっている一方で、年末調整の時にしっかり手続きをしていないと、せっかくの税制メリットを活かすことができない。確定申告の時期になって慌てる前に、確定拠出年金の年末調整について確認しておこう。

個人型確定拠出年金とは? 企業型との違い

確定拠出年金は、個人型(iDeCo)と企業型の2種類に分かれる。企業型とは、確定拠出年金の制度を取り入れている会社に勤める会社員が対象の制度だ。また、日本国内に居住している20~60歳未満の公的年金被保険者は、原則としてiDeCoの加入対象となる。

この2種類では、掛金の金額設定が異なってくる。iDeCoでは、自営業者などの国民年金第1号被保険者の場合、最大で月額6万8,000円まで掛金を拠出することができるが、会社員などの国民年金第2号被保険者の場合は、最大で月額2万3,000円までの拠出となる。

企業がすでに企業型確定拠出年金を導入している会社に勤めている方は、企業が掛金額を設定しているケースが多く、加入者の意思で掛金額を変更することは原則としてできない。逆に、iDeCoは加入者自身が掛金額を設定することができる。

賢く利用して節税しよう

確定拠出年金の掛金は、全額が所得税・住民税の所得控除の対象になるというメリットがある。会社員の場合、給与所得から基礎控除などの各種控除を差し引いて、その後の所得額の割合に応じて所得税・住民税を支払うが、確定拠出年金を利用することによって、月々の掛金の年間額を全額控除の対象にすることができるのだ。

また、60歳になって年金資産を引き出す際は、一時金として引き出す場合は退職所得として退職金と同じように税金の控除の対象となる。年金として引き出す場合は雑所得として課税対象にはなるものの、公的年金等控除が適用される。さらに、掛金で運用して得られた収益も非課税となる。そのため、例えば退職金がわりに確定拠出年金への積み立てを行うことで、一時金受け取りの際に退職金と同様の税制メリットが得られるのである。ただし、自分が選んだ運用商品によって資産運用を行った結果によっては元本割れとなる場合もあるので、注意が必要だ。

年末調整のコツ

確定拠出年金に加入している場合、毎年10月頃に、その年に支払った(支払予定の)掛金について「掛金払込証明書」が発行される。会社員などは会社が年末調整を行うので、毎年「給与所得者の保険控除申請書 兼 給与所得者の配偶者控除申請書」等の控除申請の用紙を配布されるはずである。用紙の「個人型または企業年金加入者掛金」の欄にその年の掛金金額を記入し、さらに郵送されてきた「掛金払込証明書」の原本を貼り付けて提出することで、会社に手続きをしてもらうことができる。一方で、自営業者等の場合は、自身で確定申告を行う必要がある。

iDeCoの対象者拡大にあたり、確定拠出年金のメリットが再認識されているようだが、あくまで自分の老後資金を積み立てるための制度である。貯蓄とは異なり、途中で引き出すことができない。そのため、どの金融機関を選択するかがポイントになってくる。

iDeCoの掛金額の変更は、毎年4月から翌年3月までの間で1回のみ可能のため、毎年自分の日々の生活に負担のない範囲の掛金で計画的に利用することが重要だ。また、所得控除は自分で申告しないと手続きできないため、年末調整時に忘れず申告するようにしよう。(提供: 確定拠出年金スタートクラブ

※当記事は2016年11月現在の税制・関係法令などに基づき記載しております。今後、税務の取扱いなどが変わる場合もございますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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