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(写真=PIXTA)

個人型確定拠出年金(通称:iDeCo)に加入できる対象者の範囲が拡大することはご存じだろうか。これまで加入対象ではなかった公務員や専業主婦も、2017年1月からはiDeCoへの加入が可能となる。

確定拠出年金は、決まった掛金を支払うとともに、日本株、外国株、日本債券、外国債券、預金などの金融商品で運用を行う。それでは一体どのようなメリットがあるのだろうか。「こちら葛飾区亀有公園前派出所」、通称「こち亀」の主人公である両津勘吉(以下、両さん)をモデルに考えていくことで、理解を深めていこう。

確定拠出年金にはトリプルの税制メリットがある

確定拠出年金では、個人が掛金を支払うとその全額が「小規模企業共済等掛金控除」の対象となり、所得税・住民税を計算するときに所得から控除できる。また、運用時において生じた利益は全額非課税となり、将来、年金として受け取るときまで課税は繰り延べられることになる。さらに、年金として受け取る場合は公的年金等控除が、一時金で受け取る場合には退職所得控除がそれぞれ適用される。

つまり、確定拠出年金では、掛金拠出時にも、運用時にも、受取時にも税制優遇を受けることができるのだ。このようなトリプルの税制メリットがあるため、老後資金の準備を検討する場合には、確定拠出年金を使わない手はないと言えるだろう。

こち亀でおなじみの両さんが個人型確定拠出年金に加入したらどうなる?

それでは、両さんがiDeCoに加入した場合はどうなるのかを想像してみよう。

まず、両さんは警察官(公務員)であるため、これまでは確定拠出年金に加入することができなかったが、2017年からはiDeCoに加入できるようになる。両さんの日々の生活習慣を考慮すると、おそらく老後に備えた準備は一切行っていないだろう。そんな両さんでも、iDeCoに加入すれば、2017年からは自助努力で老後資金をなかば強制的に準備できるようになるのだ。

両さんの年収を仮定してシミュレーションを行ってみよう。

両さんの年齢は、公式設定では35歳なので、35歳の警察官と仮定しよう。仮に、年間で14万4,000円(月額1万2,000円)をiDeCoの掛金として支払うと想定する。この掛金額は、公務員の掛金の上限を示している。

両さんの年収は非公表なので、ここでは、年収が400万円のケースと800万円のケースを想定してみよう。運用益は考慮せずに、年収に対する節税だけに焦点を当てることとする。35歳から60歳まで25年間資産運用を行うものと想定し、社会保険料控除や基礎控除などの基本的な控除のみをもとに税額を計算してみた。

● 年収400万の場合
仮に両さんの年収が400万円の場合、毎年の節税額は2万1,600円となる。年収が変わらずに60歳まで継続したと仮定すると、節税額は25年間の累計で54万円にのぼる。掛金(年間14万4,000円)に対する節税額の割合は15%となる。つまり、運用益を考慮しなくとも、節税効果だけで15%もの利回りに相当することになる。

● 年収800万の場合
両さんの年収が800万円の場合、毎年の節税額は4万3,200円となる。この年収のまま60歳まで継続したと仮定すると、節税額は25年間の累計で108万円になる。掛金に対する節税額の割合は30%と、運用益を考慮しなくとも、節税効果だけで30%もの利回りに相当するのだ。

計画的な老後準備に適した制度

このように、両さんを例にとってみても、年収が高いケースほど、節税効果が大きく発揮できることが分かるだろう。こうした点から言えることは、計画的に老後資金準備を行う方法として検討する場合、iDeCoは大変心強い味方になるということである。安全資産中心の保守的な運用であっても、上記の節税メリットで得られる効果は大きい。しかもこれで資産運用をうまく行うことができた場合には、さらに老後資金を増やすことができる。

両さんもiDeCoの税制メリットに気が付けば、競馬などのギャンブルに走らず、コツコツ資産形成を開始するのではないだろうか。そして、老後資金も着実に貯まることだろう。もっとも、飲み代など日々のツケはきちんと返すことが前提となるが……。(提供: 確定拠出年金スタートクラブ

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