紅葉がきれいな季節が近づいてきた。日本の紅葉は、海外からも注目を浴びる美しさである。日々の忙しさから抜け出して、自然の美しさを満喫すれば、また力が湧き上がってくるだろう。
じつは、紅葉と資産運用には似ているところがある。今年の秋は、紅葉狩りをしながら、資産運用を美しく彩らせる秘訣を考えてみてはいかがだろうか。
紅葉が美しく色づくメカニズムとは
なぜ緑の葉っぱが赤や黄色に変化するのか、ご存じだろうか。「葉が枯れているだけだろう」と思われがちだが、ここではそのメカニズムについて触れよう。
モミジやイチョウなどの落葉樹は、春になると葉が茂り始め、夏は太陽の光をいっぱいに浴び、光合成をして葉から樹木に栄養をどんどん送り続ける。しかし、日光が弱くなる冬は、光合成が活発にできなくなるため、葉をつけておく意味がなくなるため落葉する。秋を迎えて葉を落とす準備をするために、葉の中の成分を変化させて色が変わり紅葉するのだ。
つまり、紅葉は落葉樹の「冬支度」であると言える。変化する色が赤や黄色と異なるのは、木の種類によって葉の成分が異なるためだ。紅葉がきれいな色になる条件の1つに、夜と昼の「温度差」がある。寒暖の差の大きい日が続いた方が、美しく色づくといわれる。そのため、紅葉の名所と言われる場所は、一般的には谷や川沿いや高山などに多い。
「紅葉」と「資産運用」の共通点
じつは、紅葉と資産運用には共通点がある。紅葉に温度差(温度の変化)が必要なように、資産運用とりわけ積立投資では「価格の変化」がある方が効率が良い。また、紅葉も資産運用も、「冬支度」ができているかどうかで結果が変わってくる。
投資の世界における「冬」とは、相場の下落局面に例えられる。そのような局面では、落葉樹が四季に合わせて葉の成分を変化させるように、下落局面と上昇局面の両方に対応できる仕組みを作っておくことにより、ピンチをチャンスに変えて効率よく資産を増やすことができる。
その代表的な方法の1つが「ドルコスト平均法」だ。これは、価格が変動する金融商品を、常に一定の金額で定期的に買い続ける積立投資の手法だ。購入金額を一定に保つことで、価格が高いときは少ししか買えないものの、価格が安いときにはたくさん買うことができる。相場の下落局面であっても上昇局面であっても、自動的に毎月一定額を積み立てる仕組みを継続することが、じつはリスクヘッジにもなるのだ。
過去には、投資の世界では「厳冬」であったリーマンショックの際、一時的に損をしたものの、ドルコスト平均法で愚直に積み立て投資を行うことにより、危機が去ったあとに資産がむしろ増えたという事例が多数ある。
落葉樹が毎年同じサイクルで「緑の葉→紅葉→落葉」を繰り返すように、資産運用も相場の上昇や下降に関係なく、淡々と着実に投資を続けることが大切だ。
紅葉と資産運用、勝利の方程式は似ている
紅葉がきれいな色になる条件は先に述べたが、夏の間の気温が高いと、さらに美しい紅葉が期待できるといわれる。秋になり、明け方の最低気温が8度以下になると紅葉が始まるといわれている。それから数十日後に見ごろを迎える傾向だ。
資産運用の場合も、価格が下がり始めてしばらく経ったころが最大の買い時であることがよくある。しかし、買い時がいつ到来するかを見極めるのは、資産運用のプロでも至難の業だ。しかし、相場に一喜一憂せずドルコスト平均法を継続的に行うことにより、相場の戻り局面を逃すことなく、気持ちよく迎えることができるだろう。
そして、ドルコスト平均法による積み立て投資を行うのに最も適しているのが、個人型確定拠出年金(iDeCo)だ。iDeCoは、毎月一定の掛金額を、自分で選んだ定期預金や投資信託に積み立てていく仕組みであり、ドルコスト平均法が半ば織り込まれている制度だ。また、自分で定期預金に積み立てるのと比べると、iDeCoは税制上の優遇措置が手厚いのも魅力だ。
今年の紅葉シーズンは、自分の資産運用方針と照らし合わせながら紅葉を鑑賞してみるのも、趣向が変わって面白いかもしれない。(提供: 確定拠出年金スタートクラブ )
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