個人型確定拠出年金(iDeCo・イデコ)が注目を浴び、ニュースや雑誌でも特集が組まれることが多くなっているが、まだ一般に浸透しているとは言いがたい。特に、若い未婚の世代は、将来に対して漠然とした老後の不安を持ってはいるものの、老後というとずいぶん先の話になるので、iDeCoを今から利用する必要性を感じていないのが現状だ。

しかし、iDeCoは本来、加入期間が長いほどメリットが多い。今回は、20代の未婚女性でもiDeCoを利用した方が良い理由について説明する。

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(写真=PIXTA)

利用するだけで税制メリットが得られる

iDeCoは、遠い老後の資金形成手段というだけでなく、いま現在の生活にもメリットをもたらす制度だ。iDeCoに拠出した掛金は、課税所得の対象外になる。

例えば、25歳で課税所得300万円の未婚女性の場合、本来ならば所得税・住民税合わせて約51万2,000円の税金がかかる。しかし、月に1万円をiDeCoに拠出すると、年間で支払う12万円は所得控除の対象となるため、課税所得は288万円(=300万円-12万円)となり、かかる税金は約48万8,000円になる。つまり、iDeCoを利用するだけで、差額の約2万4,000円の税金が軽減されるのだ。

次に、運用益がかからないというメリットも見逃せない。運用益とは、iDeCoの商品で運用したことによる、利息、配当、売却益のことである。通常、銀行預金等の利息には20.315%の源泉分離課税がされるため、運用期間が長くなればなるほどこの差は見逃せない。

最後に、税制メリットは、将来受け取るときにも享受することができる。iDeCoの受け取り方には、一括(一時金)で受け取る方法と分割(年金形式)で受け取る方法があるが、一時金で受け取る場合は、利用期間が長ければ長いほど、税金がかからない額が増える。

具体的には、一括で受け取る場合は「退職所得控除」が適用され、加入期間1年に対して控除額が40万円ずつ加算される。さらに、加入期間が20年を超えると1年につき控除額が70万円加算されることになる。

ここで、40歳で加入した人と25歳で加入した人を比べてみよう。40歳で加入した人は、一括で受け取る場合の控除額は40万円×20年=800万円となる。つまり、800万円までは税金がかからない。一方、25歳で加入した人は、利用期間は35年となり、控除額は40万円×20年+70万×(35-20)年=1,850万円となる。退職所得控除額は、運用成績や拠出額ではなく単純に加入期間だけで決まるので、加入時期が早ければ早いほど、将来払う税金は大幅に少なくなるのである。

資産運用の勉強にも最適

iDeCoを若い時期から利用するメリットとしては、資産運用の勉強ができる点も見逃せない。一般的な会社員は、退職金をもらってから資産運用について考える人が少なくないが、高齢になってから投資を始めようと思っても、取れるリスクが限られるのだ。

若い時期から少額でも資産運用を始めていると、自分の資産のことなので、少なからず投資に興味を持つようになるだろう。自分の勉強量で資産が増減するとなれば、なおさらである。また、長期的な視野で考えることで、不況で慌てることがなくなることも大きなメリットである。投資の経験が少ない場合、経済には波があると頭では理解できても、株価が急激に下がると、このまま景気が回復しないのではという不安から、狼狽して売却してしまうことが多いものだ。しかし、若いうちから市況に接していれば、不景気が永遠に続くことはないと体感することができ、長期的に投資を考えられるようになる。

また、iDeCoの運用商品のスイッチング(預け替え)に手数料がかからないのが通例だが、これは、資産運用の勉強という観点からも重要な要素である。通常の株式や投資信託の売買であれば、売買の都度手数料がかかるため、五分の成績で運用できても手数料分だけマイナスになることが多い。しかし、iDeCoではいちいち手数料を気にしなくていいので、運用商品の変更やリバランスも積極的にしやすくなる。さまざまな商品を試せるし、比較もしやすいのである。

iDeCoで恩恵をうけたいなら20代から始めよう

上記のように、iDeCoは老後が心配になりはじめた年代の人だけではなく、若い世代にとっても多くのメリットがある制度だ。老後について漠然とした不安を抱いていても、消極的な気持ちになるだけだ。それらの不安を払拭するためにも、ぜひうまくiDeCoを活用して、若いうちから将来の資産形成に役立てていただきたい。(提供:確定拠出年金スタートクラブ


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