家計の安定的な資産形成を促進するため、新たな少額投資非課税制度「つみたてNISA」が2018年からスタートする。積立の上限額が年40万円、期間が20年となっており、毎月数千円から長期の積立投資が始められるということで注目が集まっている。今回は、つみたてNISAを始める際に「どんな手続きが必要か」を中心に解説する。

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(写真=veryulissa/Shutterstock.com)

まずは金融機関を選ぶ

最初に決めたいのが、「どの金融機関でつみたてNISAの口座を開くか」だ。なぜなら、NISA口座は、1人につき1つの金融機関でしか開設ができないからである。金融機関によっては、つみたてNISAで購入できる運用商品の種類が変わってくるので注意したい。金融機関を適当に選んでしまうと、自分が買いたい商品を取り扱っていなかったりする可能性もあるのだ。

NISA口座を開く金融機関は年1回変更することができるが、余計な手間を省くためにも、最初の段階でしっかりと考えて選んでおきたい。金融機関が決まれば、実際の手続きに移ることになる。この際、その金融機関にすでに口座を持っているか、また現行のNISA(以下「一般NISA」)口座を持っているかどうかで、手続きが異なる。

新規にNISA口座を開設する場合

これまで一般NISAを利用していなかった人が、つみたてNISAを新たに利用する場合は、すでに金融機関に投資用の口座を持っているかどうかで手続きの流れが変わる。

まず、投資用の口座を持っていない人が初めてNISA口座を開設する場合、金融機関の口座とNISA口座をセットで申し込むことになる。具体的には、「証券会社の口座+つみたてNISA口座」や、「銀行の投資信託口座+つみたてNISA口座」といった具合である。

また、つみたてNISAを始めようとする金融機関にすでに投資用の口座がある場合は、その金融機関に「つみたてNISAの口座開設届出書」などの必要書類を提出することになる。いずれの場合も、マイナンバーの提出が必要だ。

一般NISA口座を開設済みの場合

一般NISA口座を持っている場合は、少し手続きが面倒になる。まず、一般NISA口座を開設している金融機関でつみたてNISAを始める場合、マイナンバーの提出状況によって手続きは変わる。2017年9月30日までにマイナンバーの届出を行った場合、一般NISAからつみたてNISAへの「変更」という扱いになるため、「つみたてNISAへの変更届出書」を提出すればよい。

しかし、上記の期間内にマイナンバーの届出を行っていない場合、2018年分のNISA口座は自動開設されないため、変更ではなく「新規開設」の扱いになる。よって、NISA口座を新規に開設する場合と同様、「つみたてNISAの口座開設届出書」と「マイナンバー」の提出が必要になる。

では、一般NISA口座を持っている金融機関とは別の金融機関でつみたてNISAを始めたい場合はどうだろうか? この場合、NISA口座は1人1口座しか持てないので、一般NISA口座を「廃止」する必要がある。

手順としては、まず一般NISA口座がある金融機関に「金融機関の変更届出書」を提出し、「勘定廃止の証明書」を受領する。その後、つみたてNISAを始める金融機関に、「勘定廃止の証明書」「つみたてNISAの口座開設届出書」および「マイナンバー」を提出することになる。

一般NISAとつみたてNISAはどちらか1つしか選べない!

NISAは税制上優遇されているため、1人につき1つの金融機関でしか開設することができない。あらかじめ特定の金融機関を決めておいて新規開設や変更をする分には、金融機関から必要書類等のアドバイスが期待できるので、比較的簡単に手続きを進められる傾向にある。

しかし、従前のNISA口座を廃止せずに別の金融機関にNISA口座を開設しようとしたり、複数の金融機関にNISA口座の開設を申し込んでしまった場合は、注意が必要だ。なぜなら、手続きの重複により、意中の金融機関につみたてNISAの口座が開設できないといった事態にもなりかねないからだ。

最後に、一般NISAとつみたてNISAは併設することができない。「A銀行で一般NISA口座」「B証券でつみたてNISA口座」を開設することも不可である。そのため、自分の投資スタイルにあったNISA口座を検討・活用することが何より重要である。(提供:確定拠出年金スタートクラブ


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