2018年から新しく始まる「つみたてNISA」は、取り扱う商品が厳しい基準によってあらかじめ厳選されているのが特徴である。2017年3月に金融庁が発表した資料によると、日本には公募株式投信が約5,400本程度あるとされるが、つみたてNISAの基準を満たす対象投信はわずか131本にとどまっている(2017年12月6日時点)。しかし、投資になじみのない人にとっては、131本でもまだ多いと感じるだろう。本コラムでは、より良い商品を選ぶための、つみたてNISAのラインナップで見るべきポイントを紹介する。

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(写真=ESB Professional/Shutterstock.com)

資産・銘柄の構成を確認しよう

まずは、自分が投資しようとしている投資信託が、どういった資産・銘柄で構成されているかを確認しておこう。投資信託に組み込まれる資産には、主に株式、債券、REIT(不動産投資信託)があり、さらに国内の資産を中心にしたものと海外の資産を中心にしたものに分類される。リスクを避けたいと考える人には、債券を中心に構成されている商品が向いているし、反対にリターンを狙いたい人は、株式やREITの比率が高い投資信託を選ぶことになるだろう。

ここで注意したいのは、つみたてNISAの商品だけで考えるのではなく、「自分が保有している資産全体で資産構成を考える」ということである。例えば、iDeCoで元本確保型の商品を中心に運用している人であれば、つみたてNISAでは株式を中心に考えてみてもいいし、他の金融機関で国内の資産を多く保有している人は、つみたてNISAでは海外の資産を中心に積み立てるなど、保有している金融商品全体でバランスを取ることも大切だ。

手数料を意識しよう

つみたてNISAは、最大20年間と長期にわたって運用を行うため、わずかな手数料の違いが大きな差を生み出す。そのため、手数料の違いは、しっかりと比較検討しておきたい。なかでも見るべきポイントは「信託報酬」というコストである。信託報酬は、投資信託へ投資している期間の分だけ、基準価額から差し引かれているコストだ。

なお、つみたてNISAでは、信託報酬の通知は原則1年に1回となっている。そのため、投資信託を選択する前に、その投信が年何%の信託報酬なのかをしっかり把握して投資することが必要だ。

信託報酬は、投資信託の資産構成によって変わる。一般的に、海外の資産の管理コストは、日本の資産の管理コストより高くなるし、新興国の投資信託の信託報酬は先進国のものより高く設定される傾向にある。そのため、単純に信託報酬の水準だけで比較するのではなく、例えば、同じTOPIXに連動するインデックスファンドで比較したり、海外の株式をメインに運用したりする投資信託の中で、相対的に信託報酬が低いものを見てみて欲しい。

基準価額や純投資総額も大切な要素

毎月の積み立て先のラインナップが、安全かどうかも大切な要素だ。なぜなら、解約が増えて投資信託の資産規模が小さくなりすぎると、信託設定期間が長期や無期限のものであっても、運用が途中で終了(繰上償還)される恐れがあるからだ。運用が終了した時点で投資信託の成績が悪ければ、自動的に損失が確定してしまうし、年間40万円という非課税投資枠も、償還された枠は再利用できない。

対象投信が安全かどうかを見るポイントとしては、「基準価額」と「純資産総額」の推移が挙げられる。基準価額とは、対象投信の価値を表すものであり、株式投資でいう株価と同様のものである。基準価額に関しては、上がるときもあれば下がるときもあるため、長期で運用を行うつみたてNISAの場合、一時的な値下がりを気にする必要はない。

一方、純資産総額は、投資信託の規模を表す数値となる。基準価額が下がれば当然純資産総額も下がるし、解約が大量に発生して投資信託の信託財産が減った場合も下がる。最も気をつけたいのが、「基準価額は変わらないのに純資産総額が下がっている場合」である。これは、投資信託の価値は変わらないものの解約する人が多いことを示すので、おすすめできる商品とはいえない。

対して、純資産総額が長期にわたって安定的に増えている投資信託は、基準価額だけでなく、その商品を買う参加者も増えていることを示すので、優良であるといえよう。

資産全体の投資バランスを総合的に検討しよう

つみたてNISAで大切なことは、一時的に投資信託の価値が下がっても慌てて解約したりせず、コツコツと積立を継続していくことである。そのためには、つみたてNISAだけでなく自分の資産全体の投資バランスを総合的に見直すことが必要だ。各投資商品の手数料や純資産総額の推移を吟味することで、自分が長期にわたって積立していくのに適した投資信託を選ぶようにしよう。(提供:確定拠出年金スタートクラブ


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