9月24日、トヨタ自動車(以下、トヨタ) <7203> の株価が一時7494円まで上昇し、年初来高値を更新した。トヨタ株の7400円台は2018年8月以来1年1ヵ月ぶりの水準である。トヨタは今年8月2日に業績予想を下方修正し、3期ぶりの営業減益の見通しを示したばかりである。折からの為替の不透明感に加え、日米通商交渉の貿易協定は締結したものの、自動車については協議継続で予断を許さない。このようなタイミングでトヨタ株が1年1ヵ月ぶりの高値を更新したのはなぜか? 詳しく見てみよう。
トヨタ、大型の外需株が意外と健闘?
8月6日、日経平均は米中貿易摩擦の長期化、世界景気の減速懸念等を背景に一時2万110円の安値を付け、2万円の大台割れに迫る場面が見られた。この日の終値は2万585円だった。その後、米中が歩み寄りを見せたことや、円高が一服ムードとなったことなどから日経平均は戻りを見せ、9月19日には一時2万2255円まで回復、終値は2万2044円となった。終値ベースで見たこの間の上昇率は7.1%である。
一方、トヨタ株は今年6月4日に直近安値となる6274円を付けたが、8月の日経平均の急落の影響は軽微で底割れは回避している。その後、トヨタ株は回復傾向を示し、9月24日には年初来高値となる7494円を付けている。
日経平均が直近安値から戻り高値をつけるまでの期間(8月6日〜9月19日の終値ベース)でファクター分析をしてみよう。ファクター分析とは銘柄等を「内需/外需」「大型/中小型」などのファクター別に分けてパフォーマンスをチェックするものだ。
8月6日 9月19日 上昇率
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日経平均 20585 22044 7.1%
日経内需50 16969 18387 8.4%
日経外需50 21824 23713 8.7%
日経高配当50 30712 33279 8.4%
JPX中小型 12636 13485 6.7%
トヨタ 6720 7364 9.6%
(※終値、小数点以下切り捨て)
日経平均が7.1%上げたのに対し、日経平均採用銘柄で内需ウェイトの高い50銘柄で構成する日経平均内需株50指数(日経内需50)は8.4%の上昇、同じく外需ウェイトの高い50銘柄からなる日経平均外需株50指数(日経外需50)は8.7%の上昇だった。為替市場では8月26日にドル円が一時104円48銭と2016年11月以来の円高水準を付ける場面も見られたが、結果的に外需株は内需株を上回る上昇率を示している。
もう一つ、注目したいのは長らく放置されていた高配当銘柄の上昇である。日経平均の構成銘柄の中から予想配当利回りの高い50銘柄で構成する日経平均高配当株50指数(日経高配当50)は同期間で8.4%上げている。その一方でJPX日経中小型指数(JPX日経中小型)は6.7%しか上げていない。
上記を考え合わせると、日経平均が直近安値から戻り高値をつけるまでの期間では「大型の外需株」が意外と健闘していたと見ることが出来る。それを象徴する企業の一つがトヨタである。トヨタは同期間で9.6%の上昇率を記録している。