新型肺炎コロナウイルスの感染拡大によるリスクオフ(回避)の流れを受け、米国株の大幅安につれて、日本株も大幅続落している中、市場では当面の下値めどは日経平均株価が2万500―2万1000円、TOPIX(東証株価指数)は1450ポイント程度でいったん下げ渋るとの見方が出ている。
SMBC信託銀行投資調査部の佐溝将司マーケットアナリストは28日、ZUU onlineとの電話インタビューで、「当面の下値めどはPBR(株価純資産倍率)1倍の水準や今後1年間のEPS(1株当たり利益)予想に基づくPER(株価収益率)で15倍とすると2万429円になる。目先の下値めどは2万500円から2万1000円の間を想定している。TOPIXなら昨年8月安値水準1450ポイント程度。新型肺炎の影響によるが早ければ来週にもつける可能性がある」と述べた。
今後1−2週間で最悪を織り込み様子見姿勢に変化か
ただ、「さすがに株の下げが急なので、経済活動の自粛効果を見極めようとするのではないか。漠然と気温が上昇して暖かくなれば、新型肺炎が収束に向かうとの見方もある。今後1−2週間で最悪を織り込み、様子見姿勢に変わると思う。3月半ばには、自粛効果や気温による事態の変化を見たいと下げ渋るのではないか」と見込んでいる。
同氏は、「現状WHO(世界保健機関)は宣言していないが、市場参加者はパンデミック(世界的流行)とほぼ同じと見ている。米国内でも感染拡大は時間の問題とみられており、世界的な新型肺炎の流行という最悪の事態を市場はある程度織り込んでいる。感染拡大で一段と悲観的というよりは、徐々に市場の反応は限定的になると思う」と説明し、新型肺炎の影響は一時的との見方をメインシナリオに挙げた。
為替相場に関しては、「株の下げがきついためドル・円はリスクオフの流れとなっているが、ドル安の動きが強く、円高ではない」と指摘。「新型肺炎への対応が後手に回っていることを背景に、日本経済への不安があり、景気後退リスクがある中、安全資産としての日本円へ逃避という動きにはなっていない。クロス円でユーロや豪ドルは円に対して上昇している」と語った。