アメリカン・カレッジ・オブ・ファイナンシャル・サービシズ大学が実施した退職所得認定専門職(RICP)指定アドバイザーを対象とした市場動向調査によると、多くの顧客が新型コロナウイルスの影響で退職後の貯蓄額に不安を抱いているが、依然として計画を維持しているという。
2月28日から3月2日までに245人のRICPアドバイザーを対象とした調査では、65%以上が、最近の市場の不安定な動向を受けて、顧客がRICPに相談する可能性が高くなったことを示した。
退職後の保障、半数が昨年よりも今年を懸念
調査によると、回答者の68%が退職しているか、1−5年以内に退職すると回答しており、半数が2019年よりも今年の方が退職後の保障についてより懸念していると回答した。
調査によると、顧客はより懸念しているが、アドバイザーの60%以上が、最近の市場動向にもかかわらず、顧客は計画を変更していないと回答した。
RICP共同考案者で同大学名誉教授でもあるデビッド・リテル氏は、景気循環後期は常に不安感が高まるものだが、「新型肺炎コロナウイルスによる最近の市場の不安定さは、退職者と退職者間近の人々に大きな打撃を与えている」と述べた。
また同氏は、「大多数が嵐を乗り切るために計画を据え置いているとの事実は、RICPに対する顧客の信頼と、RICPが構築した計画が強固であることを示している」と述べた。
調査対象のアドバイザーによると、顧客が市場の混乱に備えた計画を立てることを支援するための戦略には、次のようなものがある。市場の変動を通じて顧客と連絡を取り合う。市場の変動に左右されない収入保証基盤を設けるよう助言する。市場の下落で利用できる現金準備を利用すること。退職後の様々な時期に複数のポートフォリオを作成し、最も長期的なポートフォリオを積極的なものにする。
同大学は、新型コロナウイルスが世界中に広がり続け、今後の見通しが不透明になる中、世界同時不況以来、最悪の週を迎えた株式市場では、迫り来る景気減速への懸念が高まったと指摘した。
しかしアメリカン・カレッジ・オブ・ファイナンシャル・サービシズの退職所得センター共同ディレクターであるスティーブ・パリッシュ氏によると、「まだブラックスワン(めったに起こらないが壊滅的被害をもたらす事象)ではない」という。
同氏は、「新型肺炎が市場を混乱させ、パニックを引き起こしかねないことは誰もが知っていた」ものの、「調査結果は、市場の投機を楽しんでいない限り、特にまだ退職していない場合、市場を乗り切る以外に、退職資本の投資先をより効果的に保護する戦略はない」と述べた。
退職所得センター共同ディレクターで、同大学退職所得プログラムのディレクターを務めるウェード・ファウ氏は、RICPは過去の教訓について顧客に相談を行っていると説明した。「市場のボラティリティが原因でストレスが生じているにもかかわらず、投資家は一般的に戦略を維持する方が賢明だ」と述べた。
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