「新型コロナウイルスなど関係ない」「人工肉ブームは衰え知らずだ」「ブームから生活必需品へ」ウォール街の市場関係者からそんな声が聞かれる。昨年5月、米ナスダック市場に新規上場したビヨンド・ミート。植物由来の人工肉を開発・製造する同社は株式公開(公開価格25ドル)から2ヵ月半で約10倍に爆上げし、市場関係者の注目を集めた。その後、株価は調整局面へ移行したものの、投資人気は根強いものがある。
最近では新型コロナウイルスの影響でダウ平均やS&P500など米主要株価指数の年初来騰落率が軒並みマイナスに沈む中、ビヨンド・ミートは約35%の上昇率を示している。とはいえ、2019年10~12月期決算が予想を下回ったことから一部では「投資家の期待が膨らみ過ぎている」(トレーダー)と警戒する声も聞かれる。
今回はビヨンド・ミートの最新動向をリポートしよう。
売上は3倍増、それでも黒字ならず
ビヨンド・ミートの2019年10~12月期決算は売上高が9850万ドルと前年同期(3150万ドル)から3倍に増加、市場予想の8120万ドルを上回った。だが、純損益は45万2000ドルの赤字、1株損益も0.01ドルの赤字であった。純損益は前年同期の750万ドルの赤字から大きく改善したものの、市場予想の72万5000ドルの黒字にほど遠い数字となった。ビヨンド・ミートは2019年7~9月期決算で初めて黒字を達成していたが、10~12月期は再び赤字に転落することとなった。
ビヨンド・ミートは10~12月期決算について「生産能力の増強を見据えた2つの共同工場で一時的に問題が発生したことが響いた」と説明、調整後の損益は950万ドルの黒字だったことも明らかにしている。
なお、2019年通年での純損益は1240万ドルの赤字、1株損益は0.29ドルの赤字だった。同じく売上高は2億9790万ドルで前年の8790万ドルから3.4倍となっている。
ロックアップ解除後の安値から回復
ビヨンド・ミートの株価は3月4日現在で101.89ドル(終値)で、年初来の上昇率は約35%となっている。米主要株価指数が軒並みマイナス圏に沈む中、ビヨンド・ミートは大幅なプラスを維持する数少ない銘柄の一つである。
昨年5月2日、公開価格25ドルで新規株式公開したビヨンド・ミートは7月26日に一時239.71ドルの高値を記録、わずか2ヵ月半で10倍近くに爆上げした。その後は競合する大手食品会社が人工肉提供に乗り出したことやロックアップ(売却制限)解除等もあって調整局面へ移行、株価はやや荒い値動きとなっている。