ドル・円相場が一時1ドル=101円台へ急落し、日経平均株価が2万円の大台を割り込み、リスク回避の動きが強まっている。こうした中、金融市場では、日本銀行や米連邦準備制度理事会(FRB)が今月の会合で政策対応を行うかが焦点となり、次第に緩やかな動きへ向かうとの声が聞かれた。
りそなホールディングス市場企画部の梶田伸介チーフストラテジストは9日、ZUU onlineとの電話インタビューで、「市場では悲観論が広がっており、当面、弱い動きが続きそう。新型肺炎コロナウィルスが欧州・米国などへ広がり、不透明感が高まっているほか、サウジアラビアが原油増産など協調しない姿勢を示し、オイルマネーの不透明感も重なった」と説明。「完全に落ち着くには感染拡大の一服が見えないと難しい。また各国中央銀行による利下げやリスク資産の買い入れなど政策対応も焦点になる」と述べた。
ドル100円割れでも為替介入ないと予想
梶田氏は、ドル・円について、「新型肺炎の感染拡大など悪材料に敏感になりやすく、円高傾向は否定できない。ボラティリティが高く、100円割れにならないとは言い切れない」と分析した。
ただ「100―101円へ円高が進む中で、財務省・日銀から急激な動きを注視するとの発言は出るだろうが、為替介入はないと思う。介入にはまだ距離があると思う」と語った。
日経平均株価の2万円割れに関しては、「日銀がETF(上場投資信託)購入を増やすなどの観測がある」と指摘した。もっとも、「政策効果には限界がある」とも語った。
FRBは0.25%の追加利下げを予想
今月初めにFRBは0.5%緊急利下げを実施した。同氏は、「市場が混乱している中、3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25%の追加利下げを行う可能性を否定できない。市場は0.5%追加利下げを織り込んでおり、サプライズにはならない」と見込んでいる。
その上で、「FRBが追加利下げをしても、新型肺炎を巡る混乱で景気が悪くなるリスクはあり、今後1―2週間が勝負になりそう。為替・株に割安感が出ており、徐々に底値買いが入れば、市場も落ち着くだろう。先週来の急ピッチな動きから、このまま奈落の底に行くというよりも、徐々に緩やかな動きになると思う」と述べた。