新型肺炎コロナウイルスの感染者拡大や原油相場の急落を背景に、世界的に株価が大幅に下落した。アセットマネジメントOne運用本部調査ブループの村上尚己シニアエコノミストは、月内の日経平均株価の下値めどは1万7000円程度を見込んでいる。ただ中国と同様に欧米など他の国々でも感染者拡大が鈍化する兆しが見えれば、値を戻す可能性もあると言う。
村上氏は10日、ZUU onlineとの電話インタビューで、悲観シナリオとして、「新型肺炎の感染者が米国など中国以外の他の国々で増えている。米国株が一段と下げて日本株もさらに10%下げるとすれば、3月末までの下値めどは1万7000円ぐらい。ドル・円相場は当面1ドル=95―105円のレンジを想定している」と述べた。
一方、楽観シナリオとしては、「新型肺炎の混乱が収束すれば、一気に株価が戻る可能性もある。中国は感染者を封じ込めて感染拡大を抑えている。1か月遅れとすれば、先進国の感染者・死亡者も1か月後にはピークアウトするのではないか。今が1番暗い時期で、3月中にこうした兆しが見えれば、反発すると思う。日経平均株価は2万1000円ぐらいまで戻ってもおかしくない」とも語った。
個人投資家、株を買うチャンスと思っている人も
村上氏は、「配当利回り4−5%の銘柄があり、個人投資家でキャッシュを持つ人で買っている人はいると思う。新型肺炎で家に引きこもっているし、やることもないので、株を買うチャンスだと思っている人はいるだろう」と述べた。
日本銀行や米連邦準備制度理事会(FRB)による政策対応への期待が高まっているが、その効果は限定的との見方を示す。「FRBは利下げ余地があり、市場ではさらに0.5%追加利下げが織り込まれている。今月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で追加利下げをやらない訳には行かないだろう」と予想。しかしFRBが3日に0.5%緊急利下げしても、「株価を下げ止まらせるには十分ではなかった」との見方を示した。
日銀に対しても、「ETF(上場投資信託)購入ぐらいはあってもおかしくない。手詰まり感がある中で、ETFやマイナス金利で企業へ貸し出しを行う資金繰り支援策などが出る可能性はある」と指摘。ただ「どの国も新型肺炎で同様に株価が下がっており、金融政策と財政政策一体となった政策発動が必要だと思う」と述べた。